ADVERTISING

ここのがっこう修了展で受賞、高橋耀が個展「滲んだ足元」開催 「玄関」がテーマの靴と絵を展示

文・佐々木エリカ

Image by: FASHIONSNAP

Image by: FASHIONSNAP

Image by: FASHIONSNAP

 「ここのがっこう(coconogacco)」在学中のアーティスト ⾼橋耀が、初の個展「滲んだ足元」を東京・自由が丘のアートスペース「traffic」でスタートした。会期は11月23日まで。

ADVERTISING

 高橋は、2001年4⽉14⽇⽣まれ、埼⽟県出⾝。帝京⼤学⽂学部⽇本⽂化学科卒業。⼤学在学中からここのがっこうに通い、現在は同校アドバンスドコースに在籍する。2024年2⽉には、コバヤシダイスケ、相原⺠⽣らとともにグループ展「交友園」に参加した。2025年には山梨・富士吉田で開催された「coconogacco exhibition 2025 in Fujiyoshida」で「L-AIR Award」、2026年には「coconogacco exhibition 2026 in Fujiyoshida」で「ASHU Award」を受賞した。

 展示では、靴作品9点とアクリルペインティングによる絵画作品5点の計14点を披露。実際に履くことができる実用的な「靴」と、言葉にできない内面を投影した「絵画」という2つの異なるアプローチから、人が社会と関わり、生活を営む境界線としての「玄関」を浮かび上がらせた。

 元々は服の製作を行っていたという高橋は、時代の消費の速さや服の“軽さ”に違和感を覚えるようになったという。「もう少し重たいマテリアルで、経年変化していくものであれば、人の人生にもっと寄り添えるのではないか」と考えたどり着いたのが、レザーを用いた靴作りだった。

 デザインへの考え方はここのがっこうで学び、靴作りの技術は大学時代から続けていた靴修理のアルバイトで、解体と再構築を繰り返す中で独学で習得。また、靴への興味は自身のパーソナルな記憶にも紐づく。「病気で片足を亡くした祖母の片足だけの靴や、歳の離れた4人の兄たちが毎日違う靴を履いて出入りする『玄関』がキャンバスのように、靴が絵の具のように見えていたのがルーツの一つです」と語る。

 同展のテーマであり、高橋が靴作りにおいて考え続けているのも「玄関」だ。玄関を「社会と家族、外側と内側のあいだにある場所」と位置づけ、靴を履いて外へ向かい、脱いで自分に戻る往復の中に、人が社会で生きることの一端があると捉えている。「社会が外に向かって開かれている今、靴に残っている身体の感覚や、自分自身の解像度を上げるということを提案したいと考え、『玄関から家へ向かっていく』流れを今回の作品にしました」と語る。

Image by: © Akira Takahashi

 会場では、玄関を出て夜の街へ歩き出した際、街灯を越えるたびに伸びていく「影」を表現した先の長い靴や、下駄箱に押し込まれて変形したローファー、煤けて埃をかぶってしまった玄関脇のルームシューズ、「社会との摩擦があったとしても、まずは前からストレートにぶつかっていくしかない」との思いを込めた、つま先が擦れて広がったようなデザインの靴などを展示。いずれも「玄関」の気配を暗喩的に込め、靴を通してそこに不在の人間の生活や過ごした時間が立ち上がるような佇まいが特徴だ。靴はコンセプチュアルなデザインながら、すべて実際に履ける仕様になっている。

 また、会場には独学で描かれたアクリルペインティングも並ぶ。「靴が外の世界に残る生活の痕跡だとすれば、絵は内側にある『曖昧な感情』を扱うもの」だという。「僕にとって絵は『言葉未満、感情以上』のものを掬い上げる、もう一つの言語。デザイナーとして描くドローイングの延長線上にあります」。コンセプチュアルな靴作品に対し、絵にはあえて「普通の靴」が描かれており、新しい靴をもらいカーテンにくるまって喜んだ幼少期の記憶や、靴を脱いで過ごす冬の室内など、言語化しきれない空気感や感情が落とし込まれている。

 高橋は現在、来年末から再来年初頭のローンチを目指し、自身のシューズブランド設立に向けた準備を進めている。「どこへでも行けて誰とでも繋がれる見晴らしのいい時代の中で、自分の輪郭を確かめるための境界として設けられているのが『玄関』。僕の靴が、履く人が自分に立ち返り、自身の生活や解像度を見つめ直すきっかけになれば。そのミニマムな生活の単位から、社会が少しずつ変わっていくような提案をしていきたいです」と今後の展望を語った。

最終更新日:

■⾼橋耀 個展「滲んだ⾜元」
会期:2026年10⽉8⽇(⽊)〜11⽉23⽇(⽉)
会場:art space「traffic」
所在地:東京都⽬⿊区⾃由が丘1-25−21
休廊⽇:⽕曜⽇・⽔曜⽇
営業時間:11:00〜19:00
企画:亜洲中⻄屋(ASHU)
制作:亜洲中⻄屋(ASHU)/traffic
問い合わせ:03-3725-8877/www.traffic-pr.com

文・佐々木エリカ

Erika Sasaki

FASHIONSNAP 編集記者

埼玉県出身。早稲田大学国際教養学部卒業後、国内大手アパレルメーカー、ケリング傘下ブランドのMDなどを経験した後、2023年にレコオーランドに入社。現在はウィメンズのデザイナーズブランドを中心に、サステナビリティやSDGs、教育分野も担当。ファッションやカルチャーに加えてジェンダーや社会問題にまつわるトピックにも関心があるため、その接点を見出し、思考や議論のきっかけとなるような発信をしていけたらと願っている。

1

Image by: FASHIONSNAP

2

Image by: © Akira Takahashi

3

Image by: © Akira Takahashi

4

Image by: © Akira Takahashi

5

Image by: © Akira Takahashi

6

《⾜元と⾏⽅》(2026)

Image by: © Akira Takahashi

7

Image by: © Akira Takahashi

8

《カーテン》(2026)

Image by: © Akira Takahashi

9

《染まる靴》(2026)

Image by: © Akira Takahashi

10

《室内の斜陽》(2026)

Image by: © Akira Takahashi

11

《⻑靴》(2026)

Image by: © Akira Takahashi

12

高橋耀

Image by: © Akira Takahashi

ADVERTISING

現在の人気記事

NEWS LETTERニュースレター

人気のお買いモノ記事

公式SNSアカウント