Image by: ARMANI beauty

Image by: ARMANI beauty
ジョルジオ・アルマーニ プリヴェ オートクチュール 2026-27年秋冬コレクションでメイクアップを手掛けた「アルマーニ ビューティ(ARMANI beauty)」グローバル メイクアップ アーティストの上田裕美氏が、ショー翌日にオンラインセッションを開催した。コレクションテーマ「Boudoir(ブドワール)」から着想したメイクの制作背景やクリエイションのプロセス、同ブランドが大切にする美の哲学について語った。
ADVERTISING
今シーズンのテーマはブドワール。フランス語で、女性が他者の目を気にすることなく、自分のために身支度を整える私的な空間を意味する。同氏はムードボードを受け取った際の印象について、「官能的でありながら落ち着きがあり、自信に満ちた、とてもパーソナルで映画的な世界観を感じた。ブドワールとは、女性が自分自身や感性とつながることができる親密な空間であり、それが今回の創作の出発点になった」と振り返る。
この世界観を表現するために目指したのは、誰かに見せるためではなく、自分自身の内側にある静かな強さを感じさせるメイク。今回のルックの核はスモーキーアイだ。「完璧な輪郭よりも感情や雰囲気を大切にしている。神秘や官能、静かな自信を感じさせる『記憶のようなメイク』を目指し、色を置くのではなく溶かし込むような感覚で仕上げた」。
アイペンシルをラッシュラインにのせ、ブラシでぼかしながら少しずつ色を重ねていく。「始めからたくさん付けずに、少量を何層にも重ねてコントロールしていく。ショーでは足すことはできても引くことは難しい…。チームには『small amaunt, many layer(少量ずつ、層を重ねて)』と伝えている」と話す。コレクションカラーのブルーのマスカラをさりげなくイン。「主張するのではなく、繊細なニュアンスとして取り入れた。目頭のアイティントも、モデルがランウェイで美しく光を拾うためのテクニック。これは、多くのショーで取り入れている」と明かした。

©Launchmetrics Spotlight
肌そのものを美しく見せるベースメイクでも、アルマーニ ビューティが大切にする考え方は一貫している。「本物の自然な肌がアルマーニの哲学。当日は暑く、マットとルミナス、それぞれのプライマーを部位によって使い分け、ファンデーションの内側から光がにじむような仕上がりを目指した」。
さらに、「リバース・スカルプティング」というテクニックも紹介。「顔の外側には自然な色、前に出したい部分には少し明るいファンデーションを使うことで、厚塗りせず磁器のような肌を表現した。異なるテクスチャーのファンデーションを組み合わせることで、持続力と輝きを両立させている」と解説する。
着想源は1960年代からの膨大なアーカイブやカルチャーから
上田のクリエイションを支えているのは、長年蓄積してきた膨大なアーカイブだ。オフィスには「ヴォーグ(Vogue)」や「(ハーパーズ バザー)Harper’s Bazaar」をはじめ、1960年代から現代までの雑誌や写真集が並び、音楽や映画、建築、美術など幅広いカルチャーから着想を得ているという。
インスピレーションは、「源は無限。音楽や映画、アート、文化など、あらゆるものから着想を得ている。休日には必ず美術館やギャラリーを訪れ、絵画から色や質感、構図、光、感情を学び、そのアイデアをメイクのデザインへ落とし込んでいる」と語った。

Image by: Courtesy of Giorgio Armani

Image by: Courtesy of Giorgio Armani
今回のジョルジオ・アルマーニ プリヴェ オートクチュール 2026-27年秋冬コレクションは、画家ジェームズ・ディクソン・イネス(James Dickson Innes)の色彩表現に加え、写真家サラ・マン(Sally Mann)、デボラ・ターバヴィル(Deborah Turbeville)、パオロ・ロヴェルシ(Paolo Roversi)らの作品を参考にしたという。「イネスの作品には、色が生み出す深みや空気感があり。サラ・マンやロヴェルシ、ターバヴィルの作品に共通する親密さや神秘性、時を超えた感覚も、ブドワールというテーマに重なった」と上田。
ジェームズ・ディクソン・イネス:1887年イギリス生まれ。画家。主に山岳風景を描いたが、人物画も描いた。フランスの「ポスト印象派」やドイツの「表現主義」のスタイルに近い作品を描き、後のイギリスの画家に影響を与えた。
サリー・マン:1951年アメリカ生まれ。フォトグラファー。19世紀の古典的な写真技法を用い、家族、南部アメリカの風景、生と死などの重厚なテーマをモノクロ写真で表現。大型カメラを使用し自身の子どもたちの成長を美しくも、どこか不穏にはらんだ世界観で捉えた写真集「Immediate Family(親密な家族)」で世界的な論争と注目を集めた。
デボラ・ターバヴィル:1932年アメリカ生まれ。ファッションフォトグラファー。ハーパーズ バザー誌のファッション・エディターとしてキャリアをスタートし、1970年代に写真家に転身した。
パオロ・ロヴェルシ:1947年イタリア生まれ。ファッションフォトグラファー。20歳のときに写真家としてデビューし、1980年よりポラロイドフィルムを使用するようになり、実験的なライティングを駆使した幻想的でポエティックな作風を確立する。
クリエイションの過程では、感覚だけに頼ることはしない。コレクションの色彩を整理し、客観的に捉え直す工程も欠かせないという。制作プロセスについては、「コレクションのキーカラーをパントーン・カラーチャートで1枚の紙に整理する。そうすることで全体を客観的に見ることができ、メイクに取り入れる色もイメージしやすくなる」。整理した色彩に自身のアーカイブから共鳴するイメージを重ね、1つのムードボードへと仕上げていくそのプロセスは、感性と論理を行き来する作業でもある。
アルマーニ ビューティが表現する美しさは、「エレガントで、ミニマルで、タイムレス。それがアルマーニのルック。アルマーニ ビューティは重たいメイクではなく、シアーでモダン、そしてさまざまな表現に対応できることが本質」とブランドの魅力を語り、締め括った。
最終更新日:

Image by: ARMANI beauty

Image by: GIORGIO ARMAN

Image by: GIORGIO ARMAN

Image by: GIORGIO ARMAN

Image by: GIORGIO ARMAN

Image by: GIORGIO ARMAN

Image by: GIORGIO ARMAN

Image by: GIORGIO ARMAN

Image by: GIORGIO ARMAN

Image by: GIORGIO ARMAN

Image by: GIORGIO ARMAN

Image by: GIORGIO ARMAN

Image by: GIORGIO ARMAN
ADVERTISING
PAST ARTICLES
【インタビュー・対談】の過去記事
RELATED ARTICLE


















