2025年春夏の「ドリス ヴァン ノッテン(Dries Van Noten)」ウィメンズコレクションは、今年6月のメンズコレクションで創設者ドリス・ヴァン・ノッテン自身が退任して以降、初めて発表されたコレクションとなった。今回は新しいディレクターを迎えることはなく、これまでの「ドリス」を支えてきたデザインチームが手がけたコレクションだ。
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ファーストルックに選ばれたのは、スパンコールで表現されたパイソン柄のコート。パイソン柄は、2025年春夏のドリス最後のメンズコレクションで印象的に使われていたもので、スパンコールにプリントする手法は、2024年秋冬のウィメンズコレクションから取り入れられたものだ。ここに、今回のショーが、前シーズンからの地続きであることが暗示される。
パリ9区にある退廃的な空間を背景に、ソランジュの「Binz」や、ジョゼ・ジョヴァンニ監督の1970年のフランス・イタリア合作映画『Dernier domicile connu』からのテーマ曲をミックスした音楽が流れる中、総数60のルックが発表されたが、それはまさに柄、柄、柄のオンパレードだった。これは、柄をあまり使用しなかったドリス自身の前回のラストコレクションとは対照的だ。しかし、この柄の使い方は、間違いなく観衆が「ドリス」に求めるイメージのひとつである。ぼやけた斑点模様のような蘭の花などのエキゾチックな花々は、どれもが軽快で毒々しい美しさを放つ。ジャガードやプリント、刺繍など、さまざまなテクニックと素材で表現され、それらを自由に組み合わせることで、ファッションの純粋な楽しみを謳歌しているようだった。
Image by ©Launchmetrics Spotlight
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パッドの入ったパワーショルダーなど、マスキュリンとフェミニンの自由な融合から、カラフルなアイメイク、ジャケットをハイウエストでタックインする気ままなスタイリングまで、コレクションのあらゆる側面にドリスの影が見てとれた。ブランドとしても、改めてアーカイブを丁寧に紐解いていき、“ドリスらしさ”を確かめていくような制作プロセスだったのかもしれない。
Image by Dries Van Noten
Image by Dries Van Noten
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継続している点が多いが、変わった点もある。特筆すべきは、ドリス在籍時より、あの独特の不穏な雰囲気が少し薄れ、よりフレッシュで若々しくなったことだ。シルエットはよりクリーンになり、ランジェリーからの発想や官能的なスリップドレス、風をはらむサテンのドレスなど、これまであまり見られなかったアプローチには、レガシーを受け継ぎながらも新しさを追求し、前進していくという意志が感じられる。
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ショーの終わりには、15名ほどのデザインチームが挨拶に登場し、観客からの大喝采で迎えられた。ドリスという偉大なデザイナーの後を継ぐというプレッシャーから逃れることはできなかったかもしれないが、ドリス・ヴァン・ノッテンなしで「ドリス ヴァン ノッテン」のコレクションを作り上げるという素晴らしい仕事を成し遂げた。ブランドの新章として、良いスタートだろう。ブランドは、いつになるかはわからないが、近い将来にクリエイティブ・ディレクターを迎える予定である。
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