ADVERTISING

異素材で描く“予期せぬもののエレガンス” 「ドリス ヴァン ノッテン」2024年秋冬メンズ

IMAGE by: Dries Van Noten

IMAGE by: Dries Van Noten

異素材で描く“予期せぬもののエレガンス” 「ドリス ヴァン ノッテン」2024年秋冬メンズ

IMAGE by: Dries Van Noten

 予期せぬもののエレガンス—— 「ドリス ヴァン ノッテン(Dries Van Noten)」が1月19日に発表した2024年秋冬コレクションのショーノートは、この一文から始まった。"予期せぬもの"とは、異なるテクスチャーがひとつのルックに組み合わされたときに起こるハプニングを指し、それをポジティブに捉えようとする態度だ。

 ファーストルックは、そのコンセプトを凝縮した形で体現している。細身のロングコートにレザーのインナーを合わせ、ニットのアームカバーで腕を覆い、オーバーダイのパンツの裾からレザーのフラットシューズを覗かせた。アイテムひとつひとつの衝突が積み重なり、ミニマルながら力強いルックが生み出されている。

ADVERTISING

Imaged by Dries Van Noten

 コレクション冒頭は、ブラックとネイビーのダークトーンが大半を占めるミニマルな展開。豊富なコートのバリエーションには、レザーのTシャツ、オーバーサイズのカーゴパンツ、ロンググローブ、光沢のあるウールのワイドパンツが合わせられ、フリンジ付きの大きなスカーフや、ジップを開けたニットのスリーブを首に巻き付けて遊び心を添える。

Image by Dries Van Noten

Image by Dries Van Noten

Image by Dries Van Noten

Image by Dries Van Noten

 その後、カラーパレットはベージュやグレーに移り、コーラルやイエローといった明るい色やプリント柄が登場。

 時折、ニードルパンチやデニム、ワックス・コットンがアクセントをつけながら、終盤はまたダークトーンへと戻っていく。

Image by Dries Van Noten

Image by Dries Van Noten

Image by Dries Van Noten

 最後のルックはダブルブレストのブラックタキシード。ストレートネックのインナーにやや違和感を残しつつも、美しいラインを描くタイムレスなテーラード・ルックで締めくくり、全63体のルックで現代のエレガンスを表現した。

Imaged by Dries Van Noten

 他分野からの直接的な引用は、ランウェイへの招待状にも記載された「Theme For Great Cities」のみ。これは、1980年代にU2らとともに活躍したスコットランドのバンド、シンプル・マインズ(Simple Minds)の1981年のアルバム『Sons and Fascination』に収録されたインストゥルメンタル曲に由来する。アルバム発売当時23歳だったドリスにとって、思い出の曲なのだろうか。ベルギーのバンド、ソウルワックスがリワークしたこの曲は、ショー全体に響き渡り、コレクションのムードを増幅させ、そのタイトルはジャケットの刺繍にも採用されている。

 2023年に行われた「WWD」によるドリス・ヴァン・ノッテンへのインタビューで彼は、セレブリティの報道が重要視され、コレクションの内容より誰が来場したかが重要になった状況に辟易していると述べていた。人々の生活がソーシャルメディアに依存していき、ファッションがカバーする経済範囲が広がったことが理由のこの現象は、まだピークを迎えてはいないだろう。セレブ優先の状況がヒートアップすればするほどに、ドリスのコレクションは研ぎ澄まされる。服そのものの魅力、そしてルック上で繊細に計算された異素材の組み合わせによって、圧倒的な凄みが生まれているのだ。2024春夏シーズンもそうだったが、服そのものにフォーカスするために、あえて特定のテーマや具体的なインスピレーションを設けていないのではないかとも思える。特に今回のドリスが得意とする柄やプリント、刺繍も控えめに抑えられたソリッドなコレクションからは、ファッションへの愛が痺れるほどにビシビシと伝わってきた。

DRIES VAN NOTEN 2024年秋冬メンズ

全ルックを見る

DRIES VAN NOTEN 2024年秋冬メンズコレクション

2024 AUTUMN WINTERファッションショー

エディター / ライター / プロデューサー

上岡 巧

KO UEOKA

1993年生まれ、東京出身。早稲田大学社会科学部卒業。メンズファッション誌『Them magazine』編集部を経て、2022年に独立。ロンドン生活の後、現在はパリに拠点を移し、フリーランスとして活動する。

ADVERTISING

READ ALSO

あわせて読みたい

ドリス ヴァン ノッテン、デザイナーのドリスが6月末で退任へ 2025年春夏メンズがラストコレクションに

トラディショナルが透けるモダンなツイスト「エルメス」24年秋冬

ストレンジャー・シングス「デモゴルゴン」ジャケットなど、ゾンビたちの心身をケアした「ダブレット」新作

J1ユニフォームがパリコレのランウェイに 「ホワイトマウンテニアリング」2024-25年秋冬コレクション

「あえて疲れていることを楽しんでみようとした」メゾン ミハラヤスヒロ 2024-25年秋冬コレクション

JOB OPPOTUNITIES

最新の求人情報(求人一覧

求人

ブティックマネージャー

Chloé

ブティックマネージャー

月給

40万 〜

詳細を見る

ジャーナル

導入企業が増加している「AI面接」。その実態と対策方法とは

導入企業が増加している「AI面接」。その実態と対策方法とは

記事を読む

求人

セールススタッフ

Chloé

セールススタッフ

月給

25万 〜

詳細を見る

ジャーナル

アスリートの悩ましいキャリア形成に、三菱総研が光を当てる。企業とのマッチング促進のカギは、“強...

アスリートの悩ましいキャリア形成に、三菱総研が光を当てる。企業とのマッチング促進のカギは、“強...

記事を読む

ジャーナル

【8月5日(月)】GUCCI主催!2024AWファッションセミナーのお知らせ

【8月5日(月)】GUCCI主催!2024AWファッションセミナーのお知らせ

記事を読む

ジャーナル

躍進を続けるヘラルボニー。新ライン「HERALBONY ISAI」と共に、“国内外へ届けるブラ...

躍進を続けるヘラルボニー。新ライン「HERALBONY ISAI」と共に、“国内外へ届けるブラ...

記事を読む

コラボパートナーの募集情報
コラボ募集一覧

コラボ

”水辺の宿場町”をデザインコンセプトとするアートホテル「東京ベイ潮見...

東京ベイ潮見プリンスホテル ”水辺の宿場町”をデザインコンセプトとするアートホテル「東京ベイ潮見...

詳細を見る

コラボ

自然素材をアップサイクルしたサステナブルなシューズブランド「Liberato(...

Liberato 自然素材をアップサイクルしたサステナブルなシューズブランド「Liberato(...

詳細を見る

コラボ

ドイツ腕時計ブランドの"ZEPPELIN"とのコラボレーションウォッチパートナ...

ZEPPELIN ドイツ腕時計ブランドの"ZEPPELIN"とのコラボレーションウォッチパートナ...

詳細を見る

コラボ

自治体の枠にとらわれない幅広いコラボ実績をもつ「サガプライズ!」とのコラボレーシ...

サガプライズ! 自治体の枠にとらわれない幅広いコラボ実績をもつ「サガプライズ!」とのコラボレーシ...

詳細を見る

Powered by

IMAGE by: Dries Van Noten

現在の人気記事

NEWS LETTERニュースレター

人気のお買いモノ記事

公式SNSアカウント