「ジル サンダー(JIL SANDER)」は9月24日(現地時間)、ミラノ・ファッション・ウィーク内でメンズとウィメンズ合同でのファッションショーを開催した。合同で発表するのは、クリエイティブ・ディレクターのルーシー(Lucie)&ルーク・メイヤー(Luke Meier)のデビュー直後、2018年春夏の5年ぶりとなる。当日はあいにくの雨。ショー会場は、緑の生い茂る公園の中で、屋根がない仮設の建物に雨が降り注いた。しかし、そんな雨天も自然の演出に変え、モデルたちは傘をさしてランウェイを歩く。植栽を背景に、情緒を感じる美しいショーを披露した。
カリフォルニアのエッセンス
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今季の着想源になったのは、「理想郷としてのカリフォルニア」。クリエイティブディレクターの2人は、「カルフォルニアは、思想や自由という概念において、進歩的で、幅広い可能性のある新しく異なる世界」とし、「ヒッピーの思想からシリコンバレーのフューチャリズムまで、新しいもの、異なる生き方への願望を表す場所」とプレスノートに記した。ブランドらしいミニマルなテイストを生かしながらも、昼と夜や、労働と娯楽、機能性と華やかさといった対比をキーワードに、西海岸のエッセンスを融合。ワークウェアやハリウッドの華やかな装いまでをミックスして、ジルサンダー流に現代的なウェアとして提案してみせた。
キーアイテムはジャケット
ショーの序盤はジャケットとワイドシルエットのパンツのセットアップが続く。アイボリー、スモーキーグリーン、イエロー、ピンクなど、華やかながら落ち着いたカラーパレットがポイントだ。メンズもウィメンズと同様に、ジャケットのセットアップや、ノースリーブのトップやドレスを提案している。ブランドらしく、一見ミニマルだがパンツの裾にビジューを装飾したり、トップスには華やかにスパンコールを施していたりと、ジル サンダー流のハリウッド・グラマーが表現されている。
ミニマルなデザインに映えるハリウッドグラマー
中盤には、風になびくフェザーのスカートや、スパンコールを総刺繍したパンツなどをグラマラスな要素をプラス。雲のような形をした小さなミラーのカットワークを刺繍したトップスやボトムスも目を引いた。キーディテールは、切りっぱなし。上品なシェニール織のミニドレスはウエスト部分や裾を大胆にカットして、ほつれた糸が装飾に。
ラストルックにベラ・ハディッド
終盤には、スパンコールのフリンジを流れるように装飾したトップスやスカート、ドレスなどが、歩くたびにダイナミックに揺れ動いた。ラストルックには、ベラ・ハディッド(Bella Hadid)が登場。スリーブレスジャケットと、フリンジスカート、スニーカーの今季の代表的なアイテムを着こなした。ジル サンダーがセレブリティモデルを起用することはごく稀だが、コレクションの着想源になったカリフォルニア・ロサンゼルス出身の彼女を起用することは、イタリア・ミラノでショーを披露する上で必要なエッセンスだったのかもしれない。
素材のバリエーションが豊かなスニーカー
足元は、底がゴムで覆われたバルカナイズドスニーカーがスタイリングのポイントに。キャンバスやレザーのほか、ウェアと共布のテキスタイルの豊富なスタイルでそろう。他にもレザーサンダルやチェルシーブーツ、丸みのあるソールが特徴的なロングブーツなどもお目見え。
カラフルな新作バッグ
バッグはカラフルで、新作が豊作。ゴールドやシルバーのチェーンをハンドルに用いたハンドバッグや、レザーのドローストリングバッグは、レッドやイエロー、グリーン、パープル、ブラックなど多色で展開する。またスパンコールがついた糸で編み込んだショッピングバッグや、フェザーをあしらったクラッチバッグ、カリフォルニアの夕空を表現したようなグラデーションの色が映えるバッグなども目を引いた。
この5年間、別々に発表してきたウィメンズとメンズは違和感なく、美しく融合されていた。ルーシーとルークの2人の描く、エレガントで洗練されたデザインに、ハリウッドの煌びやかさが加わり、より一層ドラマチックで華やかな印象が強まった。
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