東京の街を舞台に、どこか既視感がある日常ながらも物憂げで時には思わずクスッと笑ってしまうスナップ写真を撮るオカダキサラ。そんなオカダによる連載「歳時キサラ」。独自の観察眼で切り取られたその季節ならではの4枚の写真を、それぞれに付随するタイトル&テキストと共にお届け。まだまだ寒さが厳しい2月の東京。オカダがついついシャッターを切りたくなったのはどんな瞬間?
さいじ‐き【歳時記】
1,一年12ヵ月、または季節に分かち折々の自然・人事などを記した書物。
2,俳句の季語を集めて分類・整理し、解説や例句を載せた書物
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Image by Kisara Okada
ベストコンビ
街では珍しい大きなワンちゃんに出会った。ゴマちゃんという名だそうだ。
ご主人が大型犬を飼うのは2頭目。
ゴマちゃんとの出会いは、亡くなった前の子が夢に現れたことがキッカケだという。
ゴマちゃんはご主人にギュッと抱きついて甘える。
「この子は相棒です」とご主人も幸せそうに微笑む。
羨ましいと思っていたことに気づいてくれてたのか、ゴマちゃんは私にもギュッとしてくれた。
優しいコンビだ。

Image by Kisara Okada
義理にもならない
私は職場の義理チョコイベントが苦手だった。
男性側にもあまり喜んでいない人がいたらしい。
気持ちが重ならないまま、物だけを渡しても虚しいだけだ。
義理にもなっていない。
最近は本当に親しい人や、自分へのご褒美として珍しい高価なチョコを買うようになってきたという。
正しい贈り物のあり方だと思う。
やっぱり互いに愛がないと、プレゼントの意味はない。

Image by Kisara Okada
シャンシャン
平日の中途半端な時間に上野の動物園を訪れた。
シャンシャンをひと目見れるかもしれない、と期待していたのだが、
私が入った時間にはすでに入場制限されていて、行列にすら並べなかった。
もっと早く来れば良かったと少し後悔した。
会える時間はたくさんあったはずなのに、肝心な別れ際には間に合わないという場面は多い。
久々に訪れた動物園で思い出の場所を探したが、
その景色すら忘れてしまっていた。

Image by Kisara Okada
一部、春
まだ春には遠く、裏起毛のズボンの下に発熱性のスパッツを履かないと、とてもじゃないけれど外を出歩けない。
厚手の上着を何枚も重ねるけど足りず、ギュッと縮こまりがちに街を歩く。
ふと見ると、早咲きの桜が咲いていた。
蕾が開くように、私も暖かさに身が解ける日が来るのだろうか、
と、自分を花に例えたことがあまりに不相応で恥ずかしくなった。
きっと頬だけ桜色だ。
1988年東京生まれ。武蔵野美術大学映像学科卒業。大学在学中に東京をテーマにストリートスナップを撮り始める。忘れられてしまうばかりの瞬間には、毎日の見方を変える不思議な仕掛けが隠されているのではないか。そんな思いで街にレンズを向け続けている。第4回1_WALLファイナリスト、2015年度ユーナ21入選、2016年度コニカミノルタフォトプレミオ入選。
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