東京の街を舞台に、どこか既視感がある日常ながらも物憂げで時には思わずクスッと笑ってしまうスナップ写真を撮るオカダキサラ。そんなオカダによる連載「歳時キサラ」。独自の観察眼で切り取られたその季節ならではの4枚の写真を、それぞれに付随するタイトル&テキストと共にお届け。各地で桜が見ごろを迎えた4月。オカダがついついシャッターを切りたくなったのはどんな瞬間?
さいじ‐き【歳時記】
1,一年12ヵ月、または季節に分かち折々の自然・人事などを記した書物。
2,俳句の季語を集めて分類・整理し、解説や例句を載せた書物
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桜メモ
桜の開花予測が発表されるとワクワクする。
どこの桜を見に行こうか、
少し足を伸ばして遠方もいいな、と
地方の桜の名所を見つけてはメモをする。
想像で楽しんでいるうちに、桜前線が間近まで迫ってきてしまった。
一気に咲く花に、ワクワクはバタバタに変わる。
近場の見事な桜景色に満足してしまって、せっかく調べた場所はまた来年へと先送り。
そうしてメモは年々厚みを増していく。
サムネイルの中は、春
満開の桜を見られる期間は短い。
昔は記憶に焼き付けるしかなかったけれど、今は誰もが手軽にカメラで記録できる。
見頃の花の下、みんなシャッターを切っていた。
4月も半ばを過ぎると、東京周辺の桜はほとんど散ってしまう。
代わりに新芽が景色を彩る。
前に撮った場所にもう一度立って、満開の時に撮った写真を同じ場所にかざしてみる。
そこだけ春が蘇る。
花を植えよう
小田原城の桜は見事で、機会を見つけては撮りに行く。
今年もとても見事な花をつけていた。
お城に桜が植えられるようになったのは明治以降だという。
敵を見張るのに邪魔だったため、大きな木は植えられなかったらしい。
城は軍事拠点としての役目を終えて、みんなが花を楽しめる場所へと変わっていった。
この話を知った時、争いがあるところ全てに花が植えられるようになればいいのに、と思った。
多分、衛星
太陽が沈んだ直後、
空が青のグラデーションに染まるブルーアワーは、ライトアップされた桜がよく映える。
綺麗な花と空につられて、誰もが上を向いていた。
少し離れたところから眺めていると、夜空に輝く1点の光を見つけた。
多分、星ではなく衛星だ。
見事に咲いた花に隠れて気づかなかった。
小さな光で桜とその下で花見する人々を照らしていた。
1988年東京生まれ。武蔵野美術大学映像学科卒業。大学在学中に東京をテーマにストリートスナップを撮り始める。忘れられてしまうばかりの瞬間には、毎日の見方を変える不思議な仕掛けが隠されているのではないか。そんな思いで街にレンズを向け続けている。第4回1_WALLファイナリスト、2015年度ユーナ21入選、2016年度コニカミノルタフォトプレミオ入選。
公式オンラインストア
■開運ブックマーケット「未知しるべ」にオカダキサラが出展
日時:2023年5月3日(水)9:30〜13:45
会場:中野サンプラザ13Fコスモルーム
公式サイト
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