カラー 2024年秋冬コレクション
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デザイナー阿部潤一による「カラー(kolor)」が、パリで2024年秋冬コレクションを発表した。会場になったのは「ソルボンヌ大学(旧パリ第6大学)」。前シーズンの「カラー」のショーは同校内の屋外で行われたが、今回はフランスの建築家ユニットMARIN+TROTTINが設計したアトリウムで実施された。カラフルな床と壁、コンクリート、メタルが色彩と質感のコントラストを生み、楕円形の窓や渦巻くように吊るされた蛍光灯など、レトロフューチャーな空間だ。
男らしさを変換
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ショー音楽がダビーなリズムを刻み始めると、中央にあるエスカレーターかモデルたちが次々と降りてきた(音楽を担当したのはUKダブの第一人者、エイドリアン・シャーウッド)。ファーストルックを飾ったのは、飛ぶ鳥を落とす勢いの日本人モデル、源大。カットアウトした裾から内側を露出させたハーフコートの上に、ダメージ加工されたデニムベストを身につけている。
続くモデルは、ハーフムーンポケットと両肩ガンパッチのジャケットを羽織り、ペンキが激しく飛び散ったパンツを合わせた。
そして、開襟のサファリシャツやモーターサイクルジャケット、デッキパーカー、無数のハトメが抜かれたトレンチコートなどが登場。ハンティング、カントリー、ワーク、ミリタリー、ウエスタンをデザインソースに、旧来的な男らしさが、現代の「カラー」流に変換・昇華されていた。しかしそれ以上に、何かがいつもと決定的に違っている。いくつかのルックが目の前を通り過ぎたとき、昔の「カラー」が戻ってきたような印象を受けた。
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"ドッキング"と"マキシマリズム"は、近年の「カラー」の大きな特徴だ。多重のレイヤーを一着のアイテムの中に潜ませるデザイン手法ーーパンツの一部がジャケットにくっついていたり、裾が折り紙のようにめくりあがっていたり、ギア的なポケットが付いていたり、Vネックのニットは左右がズレていたり、一部のみがインサイドアウトされたり、左身頃がボンバージャケットで右身頃がコーチジャケットだったり。ブランドのアイデンティティのひとつでもある“切り替え”のアイデアがマキシマイズされ、騙し絵のようなプレイフルなデザインは、コレクションに若々しさをもたらしていた。
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一方、それ以前の「カラー」といえば(色々な段階があるが)、独特の素材使いと色彩感覚、日本人の体型に合いやすいパターンワークで、ベーシックに一捻りを求めた大人に評価されたブランドだった。
円熟したハイブリッド
朱色のコーデュロイやデニム、オーバーサイズのジャケットやプレーンなスラックス、気持ちよくカットオフされたハーフパンツーー今シーズンの「カラー」は、抑えられた色味やすっきりしたパターンワークなど、以前にあった大人らしさを取り戻しながらも、細部に若々しさを取り込み、円熟したハイブリッドを見せた。
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シンプル回帰という全体的なトレンドを敏感に感じ取り、そのデザイン・アプローチも転換期を迎えているのだろうか。今年でブランド創立20周年を迎える「カラー」は、次なる10年に向けて、大人のユニークネスに磨きをかけている。
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