ブルーの光でライトアップされた八芳園の日本庭園。ランウェイに敷かれたカーペットの深い青は、阿部潤一が手掛ける「カラー(kolor)」のシグネチャーカラーだ。2004年のブランド創立以来、初めて自国で開催するランウェイショー。パリコレの公式スケジュールで、2021年秋冬コレクションを日本からライブ配信した。
新型コロナウイルスの影響で、今シーズンも海外のファッションウィークに参加している多くの日本ブランドが、ショーを取りやめて映像やヴィジュアルでの発表に切り替えるなど、様々な見せ方を試みている。カラーは前回の2021年春夏コレクションからパリでランウェイショーを再開することを計画していたが、先シーズンはヴィジュアルでの発表に変更。続く今回の2021年秋冬コレクションも、パリでの発表は断念せざるを得なかった。
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しかしカラーはこれまで一度も国内でショーを行ったことがなかったため、「特殊な状況だからこそ訪れたチャンス」と捉えてランウェイを東京に転換。パリ・メンズファッションウィークの公式スケジュール4日目の1月22日夜、八芳園を会場に徹底した感染症拡大防止対策をとり、ジャーナリストやクリエイター、アーティストなど限られた観客を招待してショーを行った。
ランウェイは屋外とつながった構造で、青く照らされた庭園からモデルが登場する演出。2021年秋冬のメンズとウィメンズをミックスしたコレクションとなった。
多種多様な素材やパターンのドッキング、マルチなカラーミックスといった、あらゆる要素を融合した絶妙なバランスは阿部の真骨頂。左側は通常のテーラードだが右側は3つの異なるラペルが重なるジャケットなど、レイヤードやアシンメトリーといったユニークなテクニックを惜しみなく盛り込んだ。2021年春夏コレクションから更に進化した印象で、スポーツやフォークロアなどのカルチャーを混ぜ合わせながら、複雑な構造や意外な組み合わせも洗練されたスタイルにまとめ上げている。時代に流されない攻めのデザインによって、鮮やかで色濃いカラーの今を見せた。
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