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“1着が持つ表情の可能性” まとう人の個性にフォーカスした、三浦メグのメッセージ

河合華子

Image by: FASHIONSNAP

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 私たちがまとうファッションは、時代の変化とともに、性別や年齢といったあらゆる枠組みから解き放たれつつある。エイジレスやジェンダーレス、ボディポジティブをキーワードに多様性を目指すブランド「メグミウラ ワードローブ(MEGMIURA WARDROBE)」が約4年振りとなるランウェイショーを開催し、2027年春夏コレクション全体でデザイナーの三浦メグが問い直したのは、既成概念そのもの。「同じ服であっても、まとう人の個性、着こなし、他者による見方によって、印象は大きく変容する」というメッセージを表現した。

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 コレクションのテーマの着想源となったのは、三浦が尊敬するミュージシャンのデヴィッド・バーンらが生み出した「ニューウェーブ」だ。今季は「POST NEW WAVE」を掲げ、既存の価値観を自分たちの視点で再構築したかつてのムーブメントをファッションに落とし込んだ。彼らが音楽の枠組みを超えた演出を取り入れた手法にならい、衣服のクリエイションのみならず、ショーでの見せ方にもこだわった。1つのルックを3人が着用するという試みを取り入れ、多種多様な年齢や国籍のモデルを起用。それをまとう“人”の個性や、その人が着たときの服の多彩な表情にフォーカスするためにルックは厳選され、発表されたのはわずか10ルックだ。

 緻密に仕上げられた衣服は、モデルが袖に通すことで初めて完成する。例えばファーストルックでは、オーガンジー素材のロングアウターを羽織ったモデルが颯爽と観客の前を歩き、会場の空気を瞬時に切り替えた。その後、同じ装いの別年代の女性が現れると、初めの衣服の印象から一転し、落ち着きと優雅さを漂わせる。さらに大きな体格の男性が同じルックをまとって歩くと、重厚感のある空間へと変えた。

 全10ルック、30回にわたるウォーキングを通して、三浦が伝えたかった「着る人が変われば服も変わる」という考えは鮮やかに表現された。年齢、体型、国籍、ジェンダーといった属性の違いにとどまらず、帽子やシューズなどの小物使いや着こなし、歩くスピードや視線に至るまで、一人ひとりの個性が服の表情を生み出している。羽織るだけでスタイルが完成してしまいがちなアウターだが、フードの被り方や身につけ方でも表現の可能性も探り、その先の提案をしてみせた。

 ブランドのコンセプトでもある「羽織るだけで、360度美しいアウター」の追求も一層深めた。繊細なオーガンジーは、まるで空気の層を身体にまとうように立体感のあるフォルムを描き出す。撥水可能なハリのあるナイロン素材も使用することで、アウターとしての機能性も欠かさない。贅沢に寄せられたプリーツやギャザーが生み出す丸みを帯びたシルエットは、着る人や見る角度によって、さまざまな表情を見せた。

 ディテールには、フリル、ギャザー、ギンガムチェック、オーガンジーへの刺繍といった従来“フェミニン”といわれてきた要素を、誰でも楽しめるものとしてユニセックスのアイテムに落とし込んだ。「フリルは昔のイメージとは違い、男性も身につけられるようになった。それを後押しできれば」と三浦は話す。女性が着ればガーリーに見えるエッセンスも、男性だとどこかポップな躍動感へと表情を変える。ルックには、三浦が手掛ける「ザ・ノース・フェイス アーバン エクスプロレーション(THE NORTH FACE Urban Exploration)」(中国本土、香港、台湾の一部店舗で販売)の柔らかなパステルカラーのアイテムも差し込まれ、透けるオーガンジーのアウターに重ねるなど、自由なレイヤードが提案された。

 ブランドのクリエイションの核には、働く人のユニフォームがある。今回は「漁師」をイメージし、漁網やバスクシャツなど、海らしいワークテイストを取り入れた。カラーパレットには赤、白、青といったマリンカラーが並び、春夏シーズンらしい軽やかなアウターへと昇華されている。花柄のテキスタイルをドッキングしたジャケットは、人の営みを思わせる自然なシワ加工が施され、同素材のエプロン型アイテムと重ねられた。アイボリーを基調にした、日本のハンドメイドブランド「ニット・クルセイダーズ(KNIT CRUSADERS)」とのコラボレーションによるニットピースが、手仕事の温もりを与えていた。

 限られた10ルックの中に、フェミニンなエッセンスやマリンモチーフ、クラフト感あふれる質感やユニフォームの要素、クチュールのような精細さが交差する。そして布を自由に重ねることでジャンルにとらわれない新しさと奥行きをもたらした。

MEGMIURA WARDROBE 2027春夏

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MEGMIURA WARDROBE 2027年春夏コレクション

2027 SPRING SUMMERファッションショー

最終更新日:

文・河合華子

Hanako Kawai

FASHIONSNAP 編集記者

大阪府出身。同志社大学卒業後、メーカーの商品企画&PR、編集プロダクションを経てレコオーランドに入社。学生時代、交換留学で滞在したパリでファッションウィークに出会い、ファッションエディターの仕事に関心を持つ。フランスのエスプリが息づくライフスタイルが理想。

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