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【令和のマストバイヴィンテージ】VCM 十倍直昭が語るヴィンテージシーンの過去と未来

コラージュ

Image by: FASHIONSNAP

コラージュ

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コラージュ

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 2024年6月から約2年にわたり、ヴィンテージの魅力を伝え続けた連載「令和のマストバイヴィンテージ」が、100回の節目を迎えた。連載を担当したVCM代表 十倍直昭に、過去30年のヴィンテージシーンの振り返りから、古着ブームでの価格の高騰、そして今後のヴィンテージ業界の展望などについて聞いた。

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VCM inc.代表取締役

十倍直昭

2008年よりヴィンテージショップを運営。その後2021年には、ヴィンテージ総合プラットフォーム VCM(@vcm_vintagecollectionmall)を立ち上げ、来場者を1万人以上を動員する、日本最大級のヴィンテージの祭典「VCM VINTAGE MARKET」を主催している。
また渋谷パルコにて、マーケット型ショップの「VCM MARKET BOOTH」、エルメスジュエリーを専門に取り扱う予約制ショップ「VCM COLLECTION STORE」、イベントスペース「VCM GALLERY」を運営。
2023年10月には初の書籍「Vintage Collectables by VCM」を刊行するなど、ヴィンテージを軸とした様々な分野で活動し、全国のヴィンテージショップとファンを繋げる場の提供や情報発信を行っている。

有名芸能人が「毎週更新を楽しみにしています」

──まずは連載100回を迎えた率直なお気持ちを聞かせてください。

 あっという間でしたね。自分が心からお勧めできるアイテムだけを紹介したかったので、セレクトは本当に大変でした。何を取り上げようかいつも悩んでいましたし、「もうネタは尽きたかも」と思う瞬間もたくさんありました。でも今になってみると、あれを紹介していなかった、これも取り上げればよかった、というものが次々と出てきます。

Carhartt × STÜSSY コラボアイテム

連載第1回目にピックアップしたのはカーハートとステューシーのコラボジャケット

【令和のマストバイヴィンテージ】今買っておくべき名品は? vol.1 Carhartt × STÜSSY編

FASHION令和のマストバイヴィンテージ

 連載で紹介したアイテムは、僕の私物だけでなく、全国の古着屋さんやコレクターさんからお借りしたアイテムもあります。この連載がきっかけでお付き合いが始まった方も少なくないので、新たな出会いにつながる有意義な企画でしたね。

十倍直昭

 読者の方から直接感想をいただくこともしばしばありました。特に反響が大きかったのは 「ポロ ラルフ ローレン(Polo Ralph Lauren)」のレザースイングトップと、「リーバイス(Levi’s®)」の「後染め」ブラックデニムです。記事をきっかけにヴィンテージに興味を持ち、実際にアイテムを買ってくれる人がいたというのは、嬉しかったですね。読者層も10〜60代と幅広く、誰もが知る芸能人の方から「毎週更新を楽しみにしています」と言われたこともありました。

レザースイングトップ

ポロ ラルフ ローレンのレザースイングトップ

ブラックデニム

リーバイスの「後染め」ブラックデニム

広がり続けるヴィンテージの価値観

──十倍さんは古着に興味を持ち始めた1990年代から約30年間にわたってヴィンテージシーンを見続けてきましたが、印象に残っていることはありますか?

 その時代によって、求められる古着がどんどん変わっていったのが、面白かったですね。例えば2000年代はエディ・スリマン(Hedi Slimane)の影響でスキニーパンツなどのタイトシルエットが流行ったので、ゆったりとしたシルエットのものが多い古着の人気は下火になっていました。しかしだからこそ、ヴィンテージの価値観がバラエティ豊かになったとも言えます。かつては「レギュラー」と呼ばれていた古着に価値が見出され「ネクストヴィンテージ」などと呼ばれるようになったことや、アニメTシャツのようにそれまでファッションとして認識されていなかったジャンルが注目を集めたこと、「コム デ ギャルソン(COMME des GARÇONS)」や「ヒステリックグラマー(HYSTERIC GLAMOUR)」といった日本人デザイナーが手掛けるブランドの評価が世界的に高くなったことなど、ヴィンテージと呼ばれるアイテムやブランドの幅がどんどん広がっていったことが印象に残っています。

シャツ

コム デ ギャルソン オムのシャツ

ブルゾン

ヒステリックグラマーのブルゾン

 ジャンルミックスも当たり前になりました。以前はファッション雑誌が決めたカテゴリーを重視する人が多かったのですが、今はカテゴリーを超越していくほうが面白い。例えば、昔は同じく著名なデニムブランドであるリーバイスと「リー(Lee)」をコーディネートすることに抵抗がある人は少なくなかったんですが、最近はそういった考え方に囚われず、ブランドやアイテムの垣根を超えて自由にコーディネートする人が増えています。

十倍直昭

 ヴィンテージの人気が高まったことで、レプリカなどのカルチャーが育ったことも見逃せないですね。日本製のデニム生地は世界的に評価が高く、多くのラグジュアリーブランドが採用していますが、高いクオリティのデニム生地が生まれた背景にはヴィンテージの「501XX」のような唯一無二の風合いを再現したいという、強い憧れがあったからではないでしょうか。

リーバイス501XX

リーバイス501XX

ヴィンテージの価格上昇は自然なこと

──2020年頃に古着ブームが到来したことでヴィンテージシーンも大きく様変わりしたと思います。

 近年で最も変化したのが「ボロ」や「リペア」「フェード」などに対する評価ですね。以前のヴィンテージ業界では、デッドストックを頂点に着用回数が少なければ少ないほど価値が高いとされていましたが、ここ数年で実際に着用されたことから生まれる唯一無二の個性が評価されるようになりました。昔は廃棄されていたようなダメージアイテムに価値を見出して大切にすることはとても素敵だと思いますし、ジーンズだけでなくTシャツやスニーカーなど、これまで使い捨てされることが多かったアイテムに対するリペア需要も高まっています。

フェードスウェット

ヴィンテージのフェードスウェット

 また、「服を捨てる」という行為が、特に古着愛好家の間で減ったと感じています。もし自分が着用しなくなったとしても、必要とする人にフリマアプリなどで簡単に売ることができますし、僕自身も着なくなった古着は知り合いやスタッフに譲ったりしています。日々の洗濯に気を遣う人も多くなっているようで、ジーンズなどの洗濯方法を聞かれることもよくあります。ヴィンテージの価値が認められたことで、服を大切にする人が増えたのではないでしょうか。

──近年はヴィンテージの価格高騰が顕著で、それに対して批判的な意見も少なくありません。

 価値が広く認識された結果として需要が高まっているので、価格が上がるのは自然なことだと考えています。一部の希少なヴィンテージは投機的な側面を持つこともありますが、そうした動きはヴィンテージ市場に限らず、あらゆる市場にも一定数存在するのではないでしょうか。一方で、ヴィンテージファッションそのものに魅力を感じている人たちは、流行や相場に左右されず、これからもひとつのカルチャーとして楽しみ続けるのではないかと思います。

 古着需要の高まりにより「ヴィンテージが枯渇するのでは」という声を耳にすることもあります。確かに、コンディションやサイズなどの条件が揃った個体の数は年々少なくなっている印象がありますが、ヴィンテージの注目度が高まったことで自宅に眠っていたアイテムが市場に出てきたり、ライフスタイルや好みが変わることで手放されるアイテムも少なくありません。このように、ヴィンテージは今後も人から人へ受け継がれ、循環し続けると考えています。

「いくらで買うか」だけではなく「どこで誰から買うか」

──今後のヴィンテージシーンの展望は?

 ヴィンテージはひとつのファッションジャンルとして、これからも存在し続けると思います。今後は、「いくらで買うか」という価格面だけでなく、「どこで、誰から買うか」という体験が、購入後の満足感を大きく左右するのではないかと考えています。前述の通りフリマアプリやオンラインストアの普及により、ヴィンテージをどこにいても気軽に入手できるようになりました。ですが、お店での会話を通じて得られる知識や、リアルなコミュニティの空気感、アイテムと「出合う」という体験は、お店ならではの魅力だと感じています。とはいえ、誰もが手軽に情報を得ることができるようになってお客さまの知識レベルが年々高まっているので、僕たち古着を扱う側はそれを以上に学び続けて、お客さまを惹きつける新しい提案を続けていかなければなりませんね。

 今、個人的に注目しているのはスケーターやサーフ、バイカーのようなカルチャー的な要素がある古着、特にアウトローカルチャーには強い興味を持っています。同じ「ディッキーズ(Dickies)」のワークパンツでも、スケーターが実際に穿いていたアイテムには文化的な厚みを感じます。また、近年デザイナーズブランドやラグジュアリーブランドとヴィンテージの境界線が曖昧になっていることも興味深いです。裏原系のブランドにも注目していますし、日本のデザイナーズブランドのヴィンテージをコレクションの文脈で深堀りするのも面白いと感じています。

 ヴィンテージを仕事にして20年近くになりますが、今も一日中ヴィンテージのことを考えていますし、まだまだ勉強しなければいけないことが山積みで、今後も飽きることはないと思います。ヴィンテージ漬けの毎日が送ることができるのは、お客さまがあってこそなので、本当にありがたいですね。僕にとって、ヴィンテージは一生楽しめる趣味であり、仕事でもあります。ヴィンテージと出合えたことは、本当に幸せだと思います。

十倍直昭

編集:山田耕史 語り:十倍直昭

最終更新日:

vol.1 カーハート × ステューシー編
vol.2 キース・ヘリング Tシャツ編
vol.3 エルメス ヘラクレス編
vol.4 リーバイス ギャラクティックウォッシュデニムジャケット編
vol.5 ポロ ラルフ ローレン オープンカラーシャツ編
vol.6 セックス・ピストルズ ポスター編
vol.7 シュプリーム ゴンズジャケット編
vol.8 ソニック・ユースTシャツ編
vol.9 エルメス アクロバット編
vol.10 ナイキ クライマフィット ジャケット 2ndタイプ編
vol.11 カルバン・クライン「オブセッション」Tシャツ編
vol.12 マルタン・マルジェラ ペンキデニムジャケット編
vol.13 J.クルー ツートーンアノラックパーカ編
vol.14 エル・エル・ビーン ボート・アンド・トート編
vol.15 エルメス クレッシェンド編
vol.16 オンブレチェックシャツ編
vol.17 エルメス アレア編
vol.18 スカジャン編
vol.19 カルチャーポスター編
vol.20 エルメス グレンデシャン編
vol.21 アディダス レザートラックスーツ編
vol.22 コム デ ギャルソン オム シャツ編
vol.23 ハーゲンダッツ編
vol.24 エルメス トルサード編
vol.25 フレンチフレーム編
vol.26 ペンドルトン ボードシャツ編
vol.27 BDUブラック357編
vol.28 アニマル柄シャツ編
vol.29 フェードスウェット編
vol.30 モヘアカーディガン編
vol.31 ウエスタンジャケット編
vol.32 リーバイス「後染め」ブラックデニム編
vol.33 エルメス オスモズ編
vol.34 ラングラー デニムジャケット編
vol.35 ASAT トライバルカモフラージュ編
vol.36 リーバイス アクションスラックス編
vol.37 レインボーレイクジャケット編
vol.38 パタゴニア ドリズラージャケット編
vol.39 ポロ ラルフ ローレン レザースイングトップ編
vol.40 L-2Bフライトジャケット編
vol.41 エルメス ブックルセリエ編
vol.42 アメリカ軍ヘリンボーンツイルジャケット編
vol.43 パタゴニア パフボールベスト編
vol.44 リーバイス コーデュロイジャケット編
vol.45 ステットソン ハット編
vol.46 1930〜50sカバーオール編
vol.47 1940〜60sシャンブレーシャツ編
vol.48 プリントネルシャツ編
vol.49 キャントバステム編
vol.50 ポロ ラルフ ローレン キューバシャツ編
vol.51 リーバイス 70505 ビッグE編
vol.52 M-35 デニムプルオーバー編
vol.53 ヒステリックグラマー スカジャン編
vol.54 リー ウエスターナー編
vol.55 リーバイス「先染め」ブラックデニム編
vol.56 エルメス シェーヌダンクルTPM編
vol.57 オールドステューシー Tシャツ編
vol.58 ラルフ ローレン総柄セットアップ編
vol.59 エンポリオ アルマーニ フォトT編
vol.60 ヴァイパールーム Tシャツ編
vol.61 エルメス ヴァンドーム編
vol.62 オールドステューシー 総柄Tシャツ編
vol.63 エルメス キーリング編
vol.64 レノマ マルチポケットジャケット編
vol.65 リーバイス507XX & 507編
vol.66 リーバイス ピケジャケット編
vol.67 リーバイス 501 66 前期編
vol.68 P-44 ダックハンターカモ編
vol.69 VCMマストバイヴィンテージ座談会 vol.1
vol.70 VCMマストバイヴィンテージ座談会 vol.2
vol.71 VCMマストバイヴィンテージ座談会 vol.3
vol.72 VCM VINTAGE MARKET Vol.7のマストバイ 前編 
vol.73 VCM VINTAGE MARKET Vol.7のマストバイ 後編
vol.74 リーバイス デニムウエスタンシャツ編
vol.75 ポロ ラルフ ローレン ファイヤーマンジャケット編
vol.76 パタゴニア グリセード サンダー編
vol.77 ショット ダブルライダース編
vol.78 ノースフェイス ダウンベスト編
vol.79 ラルフ ローレン レザーカーコート編
vol.80 ホロウェイ スタジャン編
vol.81 リー フリスコジーンズ編
vol.82 エル・エル・ビーン MA-1編
vol.83 ヴァンズ 90年代 オールドスクール&スケートハイ編
vol.84 エディー・バウアー レザーダウンジャケット編
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vol.86 エルメス エロイーズ編
vol.87 ジャングルファティーグジャケット編
vol.88 エルメス リマ編
vol.89 エル・エル・ビーン ダウンベスト編
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vol.93 VCM VINTAGE MARKET Vol.8のマストバイ 前編
vol.94 VCM VINTAGE MARKET Vol.8のマストバイ 後編
vol.95 リーバイス 557XX編
vol.96 マルタン マルジェラ M-47編
vol.97 オルテガ チマヨベスト編
vol.98 ベン デイビス ゴリラカットパンツ編
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