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合成香料を賞賛するフレグランスブランドが日本上陸 「ノーメンクレイチャー」創業者2人にその真意を聞いた

(左)カルロス・キンテロ(右)カール・ブラドル

IMAGE by: ノーメンクレイチャー

(左)カルロス・キンテロ(右)カール・ブラドル

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合成香料を賞賛するフレグランスブランドが日本上陸 「ノーメンクレイチャー」創業者2人にその真意を聞いた

(左)カルロス・キンテロ(右)カール・ブラドル

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 フレグランスの歴史において合成香料は数多のエポックメイキングな出来事と結びつく。今でこそ一般化しているフレグランスは昔、希少な天然香料をふんだんに用いた高価な嗜好品だったが、科学技術の向上により合成香料が誕生したことで廉価で販売できることになり、一般市民が手に取れるようになった。また、自然から“切り離されて”生まれた合成香料が誕生したことで、“存在しない香り”を表現するという創造の可能性が広がった。

 こうした合成香料を今一度賞賛し、フレグランスが持つ詩的な美しさをウェアラブルに提案するブランドがある。ニューヨークで2015年に誕生した「ノーメンクレイチャー(Nomenclature)」だ。フレグランス業界に30年以上従事するカール・ブラドル(Karl Bradl)と、ファッションや出版、フレグランスなど幅広いデザインクリエイティブに携わってきたカルロス・キンテロ(Carlos Quintero)が手がけたブランドはこのほど、日本上陸を果たした。フレグランスの歴史を懐古しながら、現代の香りのある生活を彩るようなラインナップはどのようにして作られるのか。来日したカールとキンテロの2人に話を聞いた。

ーまずはお二人の出会いについて教えてください。

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カール・ブラドル(以下、カール):僕はニューヨークでニッチフレグランスのブティック「Aedes Perfumery」を1995年から運営しているんだけど、オープン当時は今のように「ニッチフレグランス」っていう言葉すらなかった。だからこそ、面白いものが揃うお店としてニューヨークのクリエイティブな人たちが集まってくれるようになったんだ。カルロスも最初はお客さんとしてだったかな、2009年ごろに来てくれたんだよね。僕は美容やフレグランスの業界に携わっていたけど、デザインのことは詳しくなくて、面白い人だなと思ったんだよ。

カルロス・キンテロ(以下、カルロス):当時僕はミラノに住んでいて、知り合いづてでお店のことを知ったんだよね。デザイン関連の仕事をしていたんだけど、僕は逆にフレグランスのイロハはよく分からなかった。だからカールと話していて、お互いに欠けている部分を補うような存在で、意気投合したのを覚えてる。運命的な出会いだったと思う。

2人が出会った2009年頃の写真

ーそんな運命的な出会いを経て、ブランドを作る話はとんとん拍子で進んだのでしょうか。

カール:全然そんなことはなかったね。最初はただの友達で、ビーチで遊ぶような仲だった。お互いにこれからどんなことに挑戦したいのか、どんなことに興味があるのか、なんて夢を語り合ってたんだけど、どういうわけか話の流れで今って天然香料に注目が集まっているけど、合成香料にフォーカスを当てたブランドってあまりないよねって話題になったんだよね。

カルロス:合成香料をテーマにしたブランドはこれまでもあったんだろうけど、トレンドとして今は天然香料がもてはやされているよねって。でも、フレグランスの歴史の中で合成香料はものすごく重要なものだし、それを使うことで新しい香りの体験を届けられる可能性はまだまだある。ユニークで僕らしかできないことを一緒にできたらいいねってことで、ブランドの構想が始まったんだよ。

ートレンドの天然香料に対して、あえて合成香料に目を向けたんですね。そこに、「科学」というテーマを加えたのはなぜですか?

カール:どういうブランドにしようか議論する中で2人の共通認識としてあったのは、「フレグランスづくり自体が科学」だっていうこと。新たな香りを生み出すとき、天然香料にしろ合成香料にしろ、研究を重ねて分子の最適な組み合わせを探すのはある種の科学的な活動だと思ったんだ。

カルロス:もちろん、合成香料は科学によって生み出されたものだから、そのベースを大切にしたいっていうのもある。それから、科学というのはモダニズムを象徴するひとつの要素でもあるよね。僕らはモダンパフューマリーであることも大事にしたいと思ったんだ。歴史的な偉業を成し遂げた合成香料を、モダンにポエティックに昇華したいと考えた。

ーポエティックに、とはどういうことですか?

カルロス:同一の香料を使ったフレグランスでも、全く別の香りだったりするでしょう?香りのノートを構築し、新たな美しいフレグランスを生み出すことは、作家が物語を生み出し、詩を紡ぐような作業と似ていると思ったんだ。

ー改めて、合成香料のどんな点が2人を惹きつけるのでしょうか。

カール:合成香料の誕生によって、私たちのような一般のユーザーがフレグランスを楽しむことができるようになったことは言うまでもないよね。それから、合成香料を活用できるようになって、より空想的で創造に富んだ香りの可能性が広がった。科学によって生み出されたこの創造性を賞賛したいと思ったんだよ。

ー例えば、どういったものでしょうか。

カール:合成香料の中で、最も歴史が長いと言われている「クマリン」を採用した「ウビガン(Houbigant)」(4世紀の歴史を超えて存在するフレグランスハウス)の「フジェールロワイヤル」という香りは、“近代香水の始祖”とも呼ばれています。それまでは天然香料が主流でしたが、世界で初めて合成香料を取り入れた商用香水として打ち出しされたアイテムです。フジェールロワイヤルは「高貴なシダ」という意味ですが、シダには本来香りがありません。つまり、あるはずのないシダの香りを空想上で描き、想起させるような香りを生み出したのです。これはものすごいことですよね。

カルロス:合成香料があったからこそ、フレグランスはよりポエティックになっていったんだと思う。ただ、ひとつお伝えしたいのは、僕らは天然香料を使わないとか邪険にしているわけでは全くなくて、あくまでも主題が合成香料が持つデザイン性の高さや歴史的な美学に注目しているということ。どちらにもどちらの良さがあることは前提で、詩と科学、モダンパフューマリーを体現していきたいんだ。

ーいくつか、歴史的な合成香料について教えてもらえますか?

カール:例えば、1950年代にはスイスの香料メーカーのフィルメニッヒ社が「ヘディオン」という合成香料を作りました。ジャスミンなどフローラル系の香りで、「シャネル N°5」にも使われています。あとは、1980年代後半に登場した「キャロン(カロンやキャローンとも言う)」はよく「水の香り」と呼ばれていて、とてもファンタジックな香りです。当時まだ若手調香師だったジャック・キャバリエ(Jacques Cavallier)を一躍有名にした「ロードゥ イッセイ」にも使われていますよ。

カルロス:レジェンドフレグランスの裏には合成香料ありだよ(笑)、それくらいさまざまな香りに使われているからね。僕は「イソ・E・スーパー」を紹介したい。アンバー系のウッディな香りなんだけど、分子が大きいのが特徴で、これによって爆発的な印象をもたらすんだ。それでいて透明感とニュートラルな印象も持ち合わせているユニークなもので、代表フレグランスは「ディオール(DIOR)」の「ファーレンハイト」。ほかの香料との相性が良く、かなり色々なフレグランスに使われていると思う。

ーブランドを象徴する「モレキュラー コレクション」は、その名の通り「分子」のコレクションですね。

カール:まさにこれまで歴史を変えてきた、そして美しい香りに欠かせないような合成香料に焦点を当てたコレクション。日本には「アデレット」「オービタル」「サイクー」「シソー」の4種類を持ってきたよ。

カルロス:世界的に人気が高いのはアデレットかな。ストーリーとしては、おばあちゃんが教会に行くときに身支度を整えた清らかな着こなしをイメージしたんだ。柔らかさのある香りで、朝も夜も、どんなシーンにもなじんでくれて、自分にとって心地よく香りが広がるのがポイントかな。

アデレット

ーアデレットでは何という香料をピックアップしたのでしょうか。

カルロス:「ヘルヴェトライド」という香料なんだけど、フィルメニッヒ社が開発したもので、フルーティな甘さを忍ばせたムスクの香り。このフレグランスの調香師はフランク・フォルクル(Frank Voekl)で、わかりやすくクラシカルな方法ではなく、よりモダンで未来的なムードに作り上げてくれたんだ。

オービタルには日本の香料メーカーの高砂香料による合成香料「オービトン」が使われているんですね。

カール:日本の高砂香料バージョンの「イソ・E・スーパー」のようなもので、ウッディアンバーの香りのひとつなんだけど、分子が大きくて香り立ちのインパクトをもたらしてくれる。少し経つと別の香料に舞台を譲るように、一歩引いたところで密かに香っていて、30分後くらいにまた香りの余韻が存在感を増してくるっていう少しトリッキーな香料で僕もカルロスも魅了されてしまったんだよ。

カルロス:ほかにもペッパーやバイオレット、サンダルウッドなんかを取り入れてる。それから二酸化炭素を混ぜているのもユニークで、これによって香りが爆発するようにふわっと広がっていくんだ。

カール:オービタルという名前なんだけど、惑星の軌道を意味する「オービット」からとったんだよね。太陽の周りを惑星が回るように、オービトンを中心に香料たちが調和しながら浮遊しているイメージだよ。

ー日本人的には「シソ」の名がついた「シソー」の香りが気になりました。

カルロス:気がついてくれて嬉しいよ。まさに日本のシソがインスピレーションのひとつだったんだ。シソを擦ったり絞ったりした時の、ミントのような爽やかさと青さ、どことなく冷たく鋭利な印象を表現したかったんだよ。

カール:この香りはジボダン社の「グリコリエラール」という合成香料が主役なんだけど、これがなかったら実現していないと思う。グリーン系の爽やかな香りはシトラスなどを取り入れて柑橘系の雰囲気にすることが多いんだけど、もっとピリッとクールな印象に仕上げたくて、シソやアイビーリーフ、カルダモンなどを組み合わせてシャープさを出してもらったんだ。この香りを担当してくれた調香師のベルトラン・デュショフール(Bertrand Duchaufour)にも本当に感謝しているよ。

カルロス:彼ら(調香師)には頭が上がらないよね(笑)。

ーどの香りも、試してみると、第一印象として“つけやすそうな香り”だと感じます。

カルロス:ウェアラブル(つけやすい)かどうかは大切にしていることのひとつ。これまでにないような香りを生み出したいとデザイン意欲が掻き立てられるけど、根本的にもっとみんなに香りのある生活を楽しんで欲しいからね。

ー新しい香りを作るときは、どういうプロセスなんでしょうか。

カルロス:まず僕とカールが主役にしたい合成香料を決めて、そこに表現したいストーリーや世界観の要素をブレストしていくんだよ。すぐに決まる時もあるし、アイデアが降りてこない時もある。そんな時は、焦らずじっくり待つようにしているんだよね。特に旅での経験や記憶からインスパイアされることが多いから、そういうのって机に向かっていても出てこないからさ。

カール:僕らにとってこのブランドは子どものようなものだしね。それに、マーケティング的にヒットしそうだとか、これをどれだけ売らないといけないって制限もないから、純粋に情熱を注いで取り組み続けていられるんだよ。

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ー今注目している合成香料はありますか?

カール:「アルデヒド」だね。名前はもう決まっていて、その名も「アルデハイプ」。アルデヒドと「ハイプ」を組み合わせたんだ。

カルロス:僕ららしい洒落がきいてるでしょ(笑)。わくわくと熱狂を感じさせるような、イマドキでモダンな雰囲気を表現するつもり。アルデヒドが「シャネル N°5」に使われたっていうのはあまりにも有名だけど、実はアルデヒドと呼ばれる香料にはシトラス系やグリーン系、フローラル系などいろんな種類があって、どのアルデヒドを選ぶかが鍵を握ってる。

カール:このアルデヒド選びは今までの香りの中で一番難しいかもしれないね。でも必ず自信作になるはずだから、楽しみにしててほしいな。

ーこれからブランドはどうなっていくでしょうか。

カール:僕たちの根底にある、合成香料が持つデザイン性の高さ、科学と詩的なプロセスの融合でもって美しい香りを生み出していきたいね。でも2人で完璧にコントロールして、納得がいくものをお届けしたいから、一気に商品数を増やしたり手に余る勢いで動こうとは思ってないよ。

カルロス:さっきブランドが子どものようだって言ったけど、本当に情熱を注いで育てている「パッションワーク」なんだよ。ビジネス目線でどうこうという話ではないけど、趣味よりもっと人生を捧げてる。僕らにとってこのブランドはそういうもの。これからも2人でしっかり“子育て”を続けていくつもり。歴史的に知られた香料をテーマにしながら、でも誰もまだ嗅いだことのないような香りで魅力を伝えていけたらと思ってるよ。

(聞き手:平原麻菜実)

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