「アンコードゥトン」(100mL 3万5200円)
Image by: NOSE SHOP
この秋ノーズショップ(NOSE SHOP)で日本展開をスタートした、イタリア発のフレグランスブランド「メオ フシューニ(Meo Fusciuni)」。創業者のジュゼッペ・インプレッツァビレ氏は、パルマ大学でハーブについて研究していた化学者で、独学で調香について学び、ブランドを立ち上げた。サウンド表現集団「ネニア」に参加するなど、根っからの“表現者”だ。遊牧民族の血を引く家系に生まれ、旅を愛するジュゼッペの「嗅覚の記憶」を表現したフレグランスには、ジュゼッペ氏の控えめでありながら内に秘めた冒険心や愛情といったキャラクターを具現化したかのような魅力がある。
ジュゼッペ氏は大学卒業後にモロッコやトルコ、中東など世界各国を旅しながら、ハーブとスパイスを中心とした植物について研究を重ねた。空間演出のアーティストとしても活動し、アンビエント・ミュージックとの出合いから、サウンド表現集団「ネニア」を設立。以降もアートや小説、音楽、植物と多彩なインスピレーションで創作の世界に情熱を捧げた。さまざまな媒介で表現してきたジュゼッペ氏がフレグランスの世界に興味を持ったのは自然な流れだと話す。
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「音楽や文学、演劇など、さまざまな方法で人の感情や記憶について考えてきました。そして、植物が持つ力、人の心身を治療したり、変化をもたらすことに興味が湧いて勉強しました。フレグランスは植物のエッセンスを取り出して、香りへと昇華することで、人の感情や記憶に働きかけますよね。そういった部分がとても面白く、私の生活とも呼応していると感じて、フレグランスの創作へと流れ着いたんです」。
2010年に誕生したブランドは、世界的なフレグランスのイベント「エクサンス(Esxence)」でも評価を受け、42ヶ国で展開。ラインナップは、ジュゼッペ氏の旅の記憶と感情を落とし込んだコレクション「トラベルノート」と、より詩的で心象風景を具現化したような香りのコレクションで構成。ブランドのデビュー作であるトラベルノートの香り「No.1 ノッタ ディビアーチョ|トラベルノート No.1」(100mL 税込2万6400円)は、イスタンブールへの旅が着想源で、インセンスやブラックペッパー、ジャスミン、サンダルウッドなどを組み合わせ、グランドバザールの混沌とした賑わいや、スパイス市場の謎めいたムードを表現。「No.2 ノッタ ディビアーチョ|トラベルノート No.2」(100mL 同2万6400円)はモロッコのミントティーを彷彿とさせる青々とした爽やかさに、タバコやバーベナが奥深さを加える。
No.1 ノッタ ディビアーチョ|トラベルノート No.1
ジュゼッペ氏が特に思い出深いと語るのは「アンコードゥトン」(100mL 同3万5200円)の香り。
「妻とラオスに旅行した時の、オスマンサスの香りが印象深く残っているんです。アンコードゥトンは私にとって、愛の香りでもあります。全体的な香りのノートはダークな印象に感じるかもしれませんが、そこにちょっとした花や甘い香りが潜んでいる。まるでスローなモノクロ映画のような人生の中にある、愛に満ちた特別な瞬間を思い描くような香りを作りたいと思ったんです」。
そして、旅や遠く離れた地と記憶から香りを生み出すジュゼッペ氏の視線は、日本にも向いている。
「少し前は中東に興味があって、旅もしましたし、香りのインスピレーション源となりましたが、気持ちがスライドして今はアジアや日本について、もっと深く知りたいです。イタリアのアトリエには日本庭園をイメージした庭を作りました。植物と日本の文化においては、特に盆栽が好きです。静謐なたたずまいでありながら、見る人の心に何か働きかける、とても面白くて美しいものに感じます。川端康成の小説も大好きですし、『名残』『侘び寂び』といった言葉も素晴らしい表現です。遠くないうちに、日本への憧憬を具現化したフレグランスをお届けしたいですね」。
日本上陸時は6種の香りを展開。日本に想いを馳せるジュゼッペ氏の次なる作品の上陸も期待が高まる。
(編集:平原麻菜実)
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