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「大Tシャツ展」が表参道で開催 展示・販売する希少なヴィンテージTシャツを解説

文&写真山田耕史

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Image by: FASHIONSNAP

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 「ウェーバー(weber)」が、「大Tシャツ展」を表参道ヒルズで開催する。7月4日からの開催に先立って代表の池田仁氏に、直近のヴィンテージTシャツ市場やカルチャーの動向について話を聞いたほか、同展で展示・販売する希少なアイテムのなかから、特に注目度が高いものをピックアップし、同氏の解説とともに紹介する。

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ヴィンテージTシャツには「飽きることがない」

 2019年の日比谷での初開催を皮切りに、直近3年間はドーバー ストリート マーケット ギンザ(DOVER STREET MARKET GINZA)で行われてきた同展だが、今回は表参道ヒルズへと舞台を移す。開催場所を変更した理由について池田は、「Tシャツカルチャーをさらに多くの方に理解していただくために、日本のファッションの重要な発信地である原宿エリアで開催したかった」とその意図を明かす。

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会場で販売する図録に付属するTシャツは藤原ヒロシがデザイン

 2010年代から注目が集まるようになり、2020年代に入ってから急激な高まりを見せていたヴィンテージTシャツに対する熱狂は、2026年現在少し落ち着いた印象がある。ここ数年、驚くほどの高騰を見せていた価格も、直近はやや沈静化しているという声も多い。池田は、一連の古着ブームを経てヴィンテージTシャツカルチャーの存在が一般層にまで浸透したことで、「カルチャーを楽しむ人の裾野は着実に広がっている」と捉えている。

 池田は1990年代から今にいたるまでの約30年間、Tシャツの収集を続けている。そんな彼の原動力になっているのが、「まだ見ぬTシャツに出合ったときのワクワク感」だ。一般的な古着屋がアメリカや欧州、東南アジアへ赴いたり、国内外のディーラーから仕入れたりするのに対し、ウェーバーの仕入れルートは一風変わっている。その鍵となるのが、個人コレクターたちだ。国内には、個人で倉庫を借りて収集しているような桁違いのヴィンテージTシャツコレクターが存在しており、彼らはウェブやSNSなどの表舞台に出ることがほぼないそうだ。ウェーバーは、そうしたコレクターたちと繋がりを持つ外部バイヤーの力を借りることで、滅多に市場に出回らない希少なアイテムを買い付けている。この特別な仕入れルートがあるからこそ、「ヴィンテージTシャツには飽きることがない」と、池田は話す。

大Tシャツ展販売アイテムから選りすぐりを紹介

 今年の大Tシャツ展は、3つのセクションで構成されている。1つ目はTシャツのカルチャーを紹介するセクション。プリントTシャツが一般層に広く着用されるようになった1960年代から今までの約60年のTシャツカルチャーの歴史のなかで、特に価値が高い20枚のTシャツを展示し、その歩みを可視化する。2つ目は、藤原ヒロシ高橋盾金原ひとみ片石貴展といった著名人や文化人の思い出のTシャツを展示するセクション。そして最後は、ウェーバーが収集したTシャツを展示・販売するセクションで、Tシャツをミュージアムのように飾り付けた内装デザインは、Tシャツに造詣が深いエディター 野村訓市が率いる設計デザイン事務所「トリップスター(TRIPSTER)」が手掛ける。

映画Tは人気作品の希少ピースをラインナップ

 今回、今年の大Tシャツ展で販売するTシャツのなかから、特に注目度が高いアイテムを池田にピックアップして解説してもらった。最初に、池田が思い入れが強いという映画Tシャツを紹介する。

「マイ・プライベート・アイダホ」(1991年)

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池田

去年のインタビューのときに、探していると言っていたものが見つかりました。主演のリバー・フェニックスは23歳で亡くなってしまったので、存命中に作られたマーチャンダイズがほとんどない。これは彼の絶頂期だと言われる、亡くなる約2年前のものです。

「セブン」(1995年)

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池田

デヴィッド・フィンチャー監督のサイコスリラー。この2枚は特に珍しいです。右はフランスでのプロモーション用で、作品の主題である「七つの大罪」が背面にフランス語で書かれています。もう1つは、ブラッド・ピットの顔の表情がよく見るものとは違っているのでブートレグのような雰囲気ですが、カナダのオフィシャルものだと聞いています。

「レオン」(1994年)

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池田

日本でも人気の高い、リュック・ベッソン監督のヒット作。これはアメリカ公開時のタイトル「The Professional」があしらわれた一枚。黒ボディは見たことがありましたが、白は初めて見ました。

「キッズ」(1995年)

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池田

ラリー・クラークが監督し、ハーモニー・コリンが脚本を手掛けた、僕が大好きな作品です。ホワイトボディのタイポグラフィデザインは比較的よく見るタイプですが、子どもたちがマリファナを吸っているシーンがプリントされているブルーボディのものはかなり珍しいです。昨年ウェーバーがキッズとコラボして映画を上映したのですが、現在の日本の法律に抵触するリスクが非常に高いため、このシーンはカットされています。

北野武監督作品「ブラザー」(2000年)、「ソナチネ」(1993年)

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池田

日本を代表する北野武監督作品のTシャツは、極めて希少価値が高いですね。「ブラザー」のTシャツはプロモーション用。日米英の合作だったので、アメリカかイギリスで作られたものだと思います。もうひとつは「ソナチネ」のTシャツですが、これはクエンティン・タランティーノがミラマックス内に立ち上げた「ローリング・サンダー・ピクチャーズ」というレーベルからアメリカで配給されたときのもので、日本のキーヴィジュアルとは全く違う北米版のヴィジュアルが使われています。実はこれ、売るかどうかまだ迷っているんです(笑)。

 他にも、ソフィア・コッポラ監督の「ロスト・イン・トランスレーション」(2003年)や、今なお人気を誇る「羊たちの沈黙」(1991年)の貴重なスタッフ用Tシャツも揃える。バリー・レヴィンソン監督の「レインマン」(1988年)のTシャツは、ほとんど市場に出てこないという。

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音楽Tシャツはアート性が高いピースに注目

 一般的にアメリカのミュージシャンのものが多い音楽Tシャツ。今回はイギリスのミュージシャンのアイテムを多数揃えている。

ビョーク

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池田

ビョークのTシャツのなかでも、右の1997年のアルバム「ホモジェニック」のものは、ヴィジュアルをアレキサンダー・マックイーンが手掛けたこともあり、ひときわ人気が高いですね。これは、今回は展示するのみで販売はしない予定です。奥のフラワープリントのTシャツは、デッドストック。日本で発売されたシングルボックスに付いていたTシャツのようです。あまりビョークっぽくないデザインですが(笑)、それはそれで面白いかと。

音楽 × アートなマッシブ・アタック、ソニック・ユース、エイフェックス・ツイン

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池田

アート性が高い音楽Tシャツを3枚。1枚目はマッド・プロフェッサーがアートワークを手掛けているマッシブ・アタックのTシャツ。黒ボディは見たことがありましたが、白は初見。2枚目のソニック・ユースのTシャツは、ドイツの現代美術家ゲルハルト・リヒターのアートワークが使われたもの。3枚目のエイフェックス・ツインのTシャツは、映像作家 クリス・カニンガムが手掛けたミュージックビデオのヴィジュアルがプリントされています。

意外性のあるアイテムを揃えたアートT

 最後にピックアップするのは、ヴィンテージ市場で引き続き人気が高いアート系Tシャツ。

デヴィッド・リンチ

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池田

映画監督として知られるデヴィッド・リンチ。これは、アーティストとしても活動する彼の作品展が1991年に日本で開催されたときの一枚です。彼はもともと美術学校出身で「自分の絵が動くところを見たい」という思いから映画の世界に入ったそうです。背面のピンクの指紋も彼らしいですよね。

空山基

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池田

日本人アーティスト 空山基のTシャツ。どちらも初めて見ましたが、特に「セクシーロボット」がプリントされたブラックの方は、「アキラ」や「攻殻機動隊」などのアニメTシャツでも知られる「ファッション・ヴィクティム」のボディが用いられている、非常に珍しい一枚です。

ジェフ・クーンズ

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池田

アメリカの現代アーティスト、ジェフ・クーンズのTシャツはそもそもあまり見かけません。彼の代表作であるうさぎのオブジェや、ポップカルチャーを題材にしたピンクパンサーのものなど、どれも珍しいですね。

建築・家具系のアルヴァ・アールト、ドナルド・ジャッド

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池田

最近引っ越しをしたことがきっかけとなり、建築や家具に興味が出てきました。1枚目はフィンランドの近代建築の巨匠であるアルヴァ・アールトが建てた病院のTシャツ。フィンランド語で書かれていて洒落ています。2枚目はミニマルな表現を特徴とするアーティストで、建築や家具なども手掛けたドナルド・ジャッドのもの。彼らしい箱型のデザインが特徴的です。

「たかがTシャツ、されどTシャツ」

 取材の最後に、今回の大Tシャツ展で何が一番伝えたいのかを、池田に尋ねた。「“たかがTシャツ、されどTシャツ”というフレーズが、今回の企画ミーティングのときのキーワードになっていたんですよ。Tシャツは、多くの人にとっては気軽に着られる日常着だと思いますが、見知らぬ人や言葉が通じない人とのコミュニケーションツールにもなるし、僕のように人生が変わるきっかけになることもある。買って着るのはもちろん、見るだけでも充分楽しんでいただける展覧会になっていると思うので、是非遊びに来てくただければ嬉しいですね」。

人物

池田が取材時着用していたのはケイト・モスとシャーディのフォトがあしらわれたブートレグTシャツ

最終更新日:

◾️大Tシャツ展
会期:2026年7月4日(土)〜2026年7月19日(日) ※会期中無休
開館時間:11:00〜20:00 ※最終入場は閉館の30分前まで
会場:表参道ヒルズ 本館地下3階 スペース オー
所在地:東京都渋谷区神宮前4-12-10

FASHIONSNAP 編集記者

山田耕史

Koji Yamada

1980年神戸市生まれ。関西学院大学社会学部、エスモードインターナショナルパリ校卒。ファッション企画会社、ファッション系ITベンチャーを経て、主夫業と並行してフリーランスとして活動した後、FASHIONSNAPに参加。ファッションを歴史、文化、経済などの多角的な視点から分析し、知的好奇心を刺激する記事を執筆することが目標。

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