
Image by: PLAY PRODUCT STUDIO
「メゾンスペシャル(MAISON SPECIAL)」や「プランク プロジェクト(PRANK PROJECT)」を手掛けるサザビーリーグ傘下のPLAY PRODUCT STUDIO(菅井隆行社長)は、カフェ事業に参入する。その試金石となる、衣食住複合型のカフェ「オーバー ザ セントラル(over the central)」を5月16日に心斎橋にオープン。現在プレオープン中の同店は、既存ブランドで培った「自分たちの“欲しい”を形にする」ノウハウを注ぎ込み、「AIには代替できない“空間での体験”」を提供する。飲食に加え、新たなアパレルブランド、フレグランスの立ち上げも計画し、3年後に全社売上高100億円を目指す。
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◆繁華街のカフェ探しに終止符を
カフェ事業は1年半前、メゾンスペシャル 心斎橋が1、2階に入居する1棟借り上げのビルの3階が空室になるため新規事業として始動。もともと借りていたため新たな賃料負担はなく、リスクの低い環境下で、同社の強みである「デザイン力」を軸とした非アパレル領域への事業多角化を狙った。
コロナ以降、インバウンドの急増やノマドワーカーの増加によりカフェを求める声は増えている。若年層を中心に広がる韓国トレンドの一つとしてカフェカルチャーが盛り上がっていることもあり、飲食事業に商機を見出した。
実際に、サザビーリーググループが運営する「ロンハーマン カフェ」や「アフタヌーンティー・ティールーム(Afternoon Tea TEAROOM)」、「シェイク シャック(Shake Shack®)」といった飲食事業は好調だという。こうした先行事例のビジネスモデルや仕入れ先を応用でき、ゼロベースの新規事業より参入障壁が低いことも判断材料となった。
出店地の近辺は、大丸心斎橋店や心斎橋パルコなどの商業施設が立ち並ぶ御堂筋と、若年層が集まるアメリカ村との中間に位置し、インバウンドを含む多様なターゲットが交差するポテンシャルの高い商圏だ。一方で、大人数を収容できるカフェは選択肢が少なく、同エリアで働くスタッフから「ゆっくり過ごせて雰囲気が良いカフェ探しに困る」という声が上がっていたことから、「自分たちが行きたいカフェ」づくりを目指した。
菅井社長は「独立した飲食店として戦える店にしたかった」とし、既存ブランドの冠を排した戦略を採る。ただし、PLAY PRODUCT STUDIOが培ってきた空間演出や世界観の訴求といったノウハウは応用。既存ブランドと切り離すことで、新規ブランドとの併設や商業施設への出店など、多様な形態に柔軟に対応できるのも強みだ。

ビル1階、メゾンスペシャルの店舗横に設けたファサード

ライブ感のあるオープンキッチン
◆各所プロとの協業で“味”を追求
アパレルで培った“映えだけではない品質”の理念は、各カテゴリーのプロフェッショナルと組むことで実現。空間設計は、メゾンスペシャルやプランク プロジェクトで協業してきたクリエイティブユニット「アトマ(AtMa)」が担当している。同ビル1階のメゾンスペシャルの入り口の横にはカフェ専用のファサードを設け、路面店のような視認性を確保し、3階への導線を整備。店舗面積は約180平方メートルで、53席を用意する。オープンキッチンスタイルで「落ち着きと活気」を兼ね備え、五感で体験する空間を演出したという。
同店最大の特徴として、店内インテリアの椅子やテーブルが購入できる「ショールーム機能」を備えている。ヴィンテージ・デザイナーズ家具の販売に加え国内工芸をプロデュースする「トプソ(topso)」の協力を得て、照明やイス、アート作品など店内の一部のインテリア(現行品)を5万〜約60万円台で販売する。ショールーム機能の反響を踏まえ、将来的にトプソが運営する「ストゥープ(stoop)」が扱う1点もののヴィンテージ家具の販売も視野に入れている。






ドリンクは代々木公園そばのカフェ「キャメルバック(CAMELBACK sandwich&espresso)」の鈴木啓太郎、フードはニューヨークスタイルのピザ専門店「ピザ スライス(PIZZA SLICE)」の猿丸浩基、ワインのセレクトを神宮前のワインショップ「ウィルトス ワイン(VIRTUS WINE)」と協力。そうした飲食業のプロと組んで味を追求すると共に、自社内に元パティシエのスタッフを雇用し、メニューを開発した。
価格設定は従業員たちの「リアルな意見」を反映。ドリンクはアメリカーノ(660円)、カフェラテ(770円)、エスプレッソトニック(880円)、赤ワイン(1210円)、白ワイン(1210円)などで、シグネチャーフードの全粒粉のベーグルを使ったオープンサンドはシングル(770円)とダブル(1320円)を用意。デザートはバナナケーキ(440円)、ガトーショコラ(770円)、バスクチーズケーキ(770円)などを提供する。





スタッフの制服はPLAY PRODUCT STUDIOがデザインし、グッズとして販売する。Tシャツ(6600円)、エプロン(7960円)、シャツ(1万7600円)、キャップ(6930円)といったアパレルのほか、カトラリー(大 880円、小 440円)、オーバルプレート(大 1980円、中 1650円、小 1100円)といった雑貨を揃える。

店内で利用、販売もするマグカップ
◆プレオープンで手応え、年間売り上げ1億〜1億5000万円が目標
プレオープンから数日で一般客がSNSで投稿するなど手応えがあったという。「AI時代においても、特別な空間での体験は代替できない。我々が持つクリエイティブとプロダクト力、ロジカルな設計がうまく合致したと思う」と菅井社長。
同店の目標値として、年間売り上げ1億〜1億5000万円の早期達成を設定。軌道に乗ったタイミングで都内への出店を計画する。新規出店においては、単独路面店や自社アパレル業態との併設、テイクアウト業態など、柔軟に営業スタイルを検討する。
インテリアショールームを兼ねたカフェというあり方は、既にディベロッパーから好反応だという。「近年のファッションビルの構成を見ると、アパレル、カフェに加え、センスが良いインテリアショップが目立つ。限られた区画の有効活用として興味を持っていただいている」といい、“一等地”のファッションビルへの出店にも積極的な姿勢を示す。
◆売上高100億円まであと40億円、“伸び代”に期待
PLAY PRODUCT STUDIOは2019年春にメゾンスペシャルを、2022年春にプランクプロジェクトを立ち上げ、創業9年目となった2026年2月期の売上高は60億円超で着地した。
ブランドが薄まらないように、菅井社長はかねてから国内売上高の上限を「メゾンスペシャルで50億円、プランク プロジェクトで30億円」と語ってきた。特にメゾンスペシャルは目標を射程圏内に捉えた。今後は既存2ブランドの海外販売と、カフェをはじめとした新規事業にも注力し、2029年2月期に全社で売上高100億円を目指す。既存2ブランドでの国内出店は、メゾンスペシャルで都心にあと1店、プランク プロジェクトで都内・地方の中心都市に3店程度を予定する。
■2029年2月期の各事業の売り上げ目標
・メゾンスペシャル:58億円
・プランクプロジェクト:22億円
・カフェ事業:5億円
・新アパレル&フレグランス:15億円
既存2ブランドの海外販売では、韓国や香港などのセレクトショップで既に卸販売を行っているが、今春夏からは韓国のヒュンダイ百貨店と組んで同社ECでの販売を強化している。ECを足がかりにポップアップを計画し、韓国での直営常設店の出店を目指す。韓国で認知を高めることで、中国本土などでもファンが拡大することを期待する。
新規事業は今回スタートしたカフェのほか、アパレルとフレグランスの新ブランドの立ち上げを2027年春に予定する。アパレルの新ブランドは、デザイン性の高い既存2ブランドに対し、よりベーシックなテイストを追求。メンズ、ウィメンズで提案する。フレグランスは香水ブランドではなく、ファブリックスプレーやヘアオイルといった、日用品として"さりげなく"香りを楽しめるプロダクトを揃える。
「近年のスタッフの成長を見ていると、今後3年間でさらに40億円を積み上げることはまったく無理な数字ではない」と菅井社長。「われわれはクリエイティブ、ロジック、チーム力の3軸で成長してきたが、その根底には"自分たちがワクワクするかどうか"がある。そうした企業姿勢が支持され、ありがたいことに当社で挑戦したいという人が集まってきており、採用面でも難しさは感じていない。人もブランドもまだまだ伸び代がある」と期待を寄せた。
最終更新日:
■オーバー ザ セントラル
所在地:大阪府大阪市中央区西心斎橋1-5−17 三栄西心斎橋ビル 3階
オープン日:5月16日(土)
※4月21日(水)からプレオープン
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