Fashion インタビュー・対談

次期ビッグメゾンのディレクター候補?セリーヌ時代からパリコレデビューまで若手注目株「ロク」の着実な歩み

「Rokh: Rok Hwang ART」
Image by: FASHIONSNAP.COM

 「ダブレット(doublet)」の井野将之が日本人初のグランプリを獲得した昨年のLVMHプライズで、特別賞を受賞し、同じく脚光を浴びたアジア人デザイナー ロク・ファン(Rok Hwang)。同氏が手掛けるウィメンズブランド「ロク(ROKH)」は、2月のパリファッションウィークでデビューにしてトップバッターを飾り、世界のファッションシーンで頭角を表している。若手の注目株「ROKH」とは?生い立ちから大学卒業後のセリーヌ時代、デビューショーまで初来日を果たしたデザイナーに聞いた。

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セリーヌで学んだこと

―韓国生まれ、アメリカ育ち。現在はロンドンを拠点にしていますね。

 はい。幼い頃から韓国とアメリカを行ったり来たりしていましたが、高校生の時に韓国に戻り、19歳でロンドンに引っ越し、それから15年ほどロンドンに住んでいます。

―デザイナーになろうと思ったきっかけは?

 実はロンドンに行くまではアートはもちろん、ファッションにも関心がなかったんです。高校時代はバスケットボールやゲームや漫画が好きな平凡な学生でした。ロンドンに移り住んでから、ライブやギャラリーなどアートに触れる機会が増え、周りの環境に刺激されていくうちに「身体」に興味が湧き、ファッションの道に進むことにしました。そしてセントラル・セント・マーチンズに進学することにしたのです。

―大学卒業後すぐにセリーヌに加入しました。どんなことを学びましたか?

 ウィメンズウェアの修士課程在籍時に私の服を見たフィービー・ファイロ(前セリーヌのクリエイティブディレクター)が、卒業後すぐに「セリーヌ(CELINE)」のデザインチームに招き入れてくれ、アシスタントデザイナーとして約3年半ほど一緒に働くことができました。加入したのが2010年頃で、当時ちょうどフィービーがブランドの新しいDNAやカルチャーを構築していく時期だったのでとても思い出深いですね。

 感銘を受けたのは、フィービーが本当に女性を理解しているということ。ただかっこいい服を作るだけではなく、服をどう着るか、着た人がどんな気持ちになるか、という先まで考えてデザインするんです。そのためのベストな素材を選び、完璧に仕立てるということを間近で見ることができたのは何にも代え難い経験ですし、自分のブランドでも実践していこうと思っています。

―メゾンで経験を積んだ後、自身のブランド「ロク」を2016年に立ち上げました。

 セリーヌの後、「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」でも仕事をしたんですが、ビッグメゾンで働いていく中で、服をデザインして作るだけではなくて、自分だけの言語やペースでブランドのストーリーを作ることに興味が湧いてきたんです。そうこう考えている時に信頼できる仲間との出会いがあって、ブランドの立ち上げに至りました。立ち上げ当初は苦労もありましたが、スタッフが10人にまで増えたりと、少しずつではありますがブランドとして成長できているのではないかと思っています。

LVMHプライズ特別賞受賞とパリでの初ショー

―LVMHプライズの特別賞を昨年受賞しました。一番大きな変化は?

 PRには力を入れてこなかったんですが、賞を受賞したことで自然と露出が増え、注目されることが増えました。それが一番の変化でしょうか。

―現在、プライズからはどんなサポートを受けているのでしょうか。

 Sophie Brocart(LVMHファッションベンチャー シニアヴァイスプレジデント兼ジャン パトゥCEO) が私のメンターで、彼女からアドバイスを受けています。デザイナーとしてブランドビジネスをやっていると、多くの疑問が湧いてくるのですが、クリエイティブからビジネスまでどんな小さな質問でも気軽に相談にのって頂けるのでとても助かっています。

―同じ年にグランプリを獲得したダブレットの井野氏と話してる姿をよく見かけます。彼はどんな存在ですか?

 井野さんとはLVMHプライズの審査期間中にパリで初めて会いました。彼のクリエイションは本当に天才的ですよね。見ていてとても楽しいですし、同世代でアジア人ということもあり、私にとってはノスタルジックに感じるモチーフがあったりと、共感することが多いです。彼自身はとても謙虚な人ですが、とても美しく芸術性の高い服を作っていて刺激を受けますね。会う機会は限られていますし、言葉の問題でコミュニケーションも完璧とはいきませんが、とても良い友人です。

―2月にパリで開催した2019年秋冬コレクションのショーについて。デビューショーをなぜこのタイミングでやろうと思ったのですか?

 ずっとパリでショーをやりたかったので、ブランドがプライズのおかげで認知が広がってきたタイミングでショーの開催を決めました。主催者側のサンディカに申し込みをしたところ、幸運にも公式スケジュールのハイライトとなる、最初の枠をもらえたんです。

―テーマは「Teenage Nightmare」。ショーにも登場した懐中電灯にはどんなメタファーが込められているのでしょうか。

 まず、初めてのショーということもあり、コレクションでは自身のパーソナルな部分に関連するストーリーを描こうと考えました。私は両親の仕事の関係で幼少期の80年代後半〜90年半前半をアメリカ・テキサス州のオースティンというところで過ごしたんですが、そこは夜になると懐中電灯が必要なほど真っ暗になるんです。それで会場も暗く、ファーストルックでもモデルに懐中電灯を持たせて、観客にもそのムードを感じてもらえるようにショーを組み立てました。インビテーションと一緒に送ったミニライトもコレクションのヒントになるように。土地柄、日差しが強いので、日に当たりすぎて少し色が褪せた感じを表現したり、育った家のタッキーな家具やプリント柄のカーテン、テーブルクロスのPVCの素材など、記憶の断片を抜き出してコレクションに投影したんです。

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