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オイデルミン、新アルティミューン、“美容液ファンデ”で躍進 「SHISEIDO」マーケ戦略の全貌に迫る

松村美穂(SHISEIDOブランドマネージャー)

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オイデルミン、新アルティミューン、“美容液ファンデ”で躍進 「SHISEIDO」マーケ戦略の全貌に迫る

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 資生堂のグローバルブランド「SHISEIDO」は昨年、ブランドの起源である化粧液「オイデルミン」の進化版や、日本限定で展開した美容液「アルティミューン パワライジング コンセントレート Ⅲn」(以下、第4世代のアルティミューン)、多数のベスコスを獲得した「エッセンス スキングロウ ファンデーション」と大型新製品を次々に発売し、ブランドとしての存在感を発揮し、2桁成長で推移する。リニューアルやブランディングでフォーカスしたこととその結果、さらなる進化に向けて見えてきた課題、そして見据える将来像は?松村美穂SHISEIDO ブランドマネージャーに聞いた。

■松村美穂(SHISEIDOブランドマネージャー)
新卒で資生堂に入社。専門店や百貨店営業を担当後、国内プレステージ事業を中心に「クレ・ド・ポー ボーテ(Clé de Peau Beauté)」「ナーズ(NARS)」などのマーケティングを経て、2022年より現職。

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ー2023年を振り返り、重点策としたことは?

 これまでのSHISEIDOは、まずは既存のお客さまに強く支えられてきたところがあり、一方で新規のお客さまをどう獲得するかが課題でした。安定はしているものの、さらなる高みを目指すポテンシャルがあるブランドだからこそ、日本市場はまだまだ道半ばという状態だったんです。コロナを経て、これからグローバルで今以上に存在感を高めていくために、“カンパニー資生堂”の名を唯一背負うブランドとして、「日本市場で強い支持を得られている」という実績が不可欠。そうした経緯から、昨年は日本市場を強化するためのさまざまな施策を行った年でした。

コロナを経て各社の動きが活発になった日本の化粧品市場の中で、「SHISEIDO」の商況はいかがでしょうか?

 スキンケア、メイクアップ、ベースメイクと立て続けに大型新製品を発表し、おかげさまで軒並み好調です。当社のデータベースから少し日本の化粧品市場のことをお話しすると、市場全体で約6%増。高価格帯と低価格帯の二極化が続き、中価格帯は苦戦、高価格帯も少し鈍化傾向にあり、ポイントメイクやサンケアが伸び、スキンケアは前年比約1%増と横ばいです。その中でSHISEIDOのスキンケアは約12%増と2桁成長と伸長し、立て続けに強化したプロダクトがしっかりとお客さま評価いただけた結果だと捉えています。

ー好調の要因は?行ったプロモーション施策など教えてください。

 まずは2023年3月の「オイデルミン エッセンスローション」のリニューアルが成長ドライブのスタートになりました。化粧水は日常使いする代表的なアイテムであるものの、“浮気”しにくいカテゴリーですが、言い換えれば一度気に入ってもらえるとロイヤルカスタマーになりうる可能性も秘めています。だからこそ、化粧水をブランドのアイコンとして育成していくことを目的に、オイデルミンを起点とした「美のめぐり3ステップ」というコンセプトを打ち立てて3品をセットで訴求しました。このコンセプトを強く打ち出せたことで、これまで化粧水で接点を持てていなかったお客さまに一気にアプローチすることができました。さらに、アルティミューン第4世代を続けて投下することで年間でモーメントを継続させ、新客獲得にアクセルをかけるというのがマーケティングのコア戦略でした。

 ただ、スキンケアだけでは接点を作りにくいお客さまが一定数いらっしゃいます。プレステージ市場においては、やはりスキンケアを軸としながらベースメイクも育成しシナジーを作ることが必要になってくると考えています。

美のめぐり3ステップで提案するオイデルミン エッセンスローション、アルティミューン パワライジング コンセントレート Ⅲn、ハイドレーティング クリーム

ーそういう意味では、「エッセンススキングロウファンデーション」は下半期のベストコスメも複数獲得するなどヒット商品になりました。このアイテムが呼び水となって、スキンケアの売上にもつながったのでは?

 そうですね。新規のお客さまを獲得するというミッションの中で、この新ファンデーションが登場は、オイデルミンとアルティミューンの2つのスキンケアへのブリッジも効かせられるようになりました。アルティミューンの技術や成分を応用した製品なので、一緒に使うことで日中も夜も“美のめぐり”にアプローチするといったコンセプトもより明確にお伝えできています。スキンケアというコアを盤石化しながら、ベースメイクもしっかり充足させるという土台づくりを同じ年にできたことはとても意義が大きかったと思っています。

エッセンススキングロウファンデーション

ー相乗効果は数字にも表れていますか?

 はい。10月までのデータですが、ファンデーションは全体で前年比75%増となり、ファンデーションを購入したお客さまの75%が完全に新規の方という結果になりました。これにはエッセンススキングロウファンデーションが大きく貢献しました。さらに、ファンデーションを購入した30%以上の方が同時に化粧水・美容液の主力スキンケア製品を愛用してくださっていることも大きな成果です。

ー10月に発売した第4世代、日本限定のアルティミューンは商品化まで1年以下での異例のハイスピードでの開発だったと聞きました。

 アルティミューンは元々、肌が本来持っている力にアプローチしていて、代々ノウハウは受け継ぎながら、時代や市場のニーズに合わせてアップデートしてきました。そして、かつてないほどに「免疫」や「生体リズム」への関心が高まっている現在こそ、改めてアルティミューンの力を発信すべきだと、製品誕生10周年を迎える2024年を待たずに「今」商品化しなければと考えたんです。開発からマーケティング、プロモーション、店頭までさまざまなチームの協力によってこのスピード感を実現することができました。

ー反響はいかがでしたか?

 アルティミューンは第4世代の発売前月(2023年9月)までは新規のお客さまの獲得率が鈍化していたのですが、発売して2ヶ月が経つ11月末時点で、前年比約2倍増となるなど好調です。今までアプローチしきれていなかった20~30代の若い世代からの購買も増え、年齢層はバランスの良い構成比になってきています。「睡眠」に着目した点など、ソーシャルニーズを捉えていったことが実を結んだのかなと。また、商品を切り口にブランド価値・世界観を伝えていくような横断的なコミュニケーションも並走させたことが成果につながったのではないかと思います。

SHISEIDO直近の業績ハイライト(2023年12月期第3四半期累計※日本国内)
第3四半期累計(2023年1〜9月):前年同期比10%増前半
第3四半期単体(2023年7〜9月):同10%増台半ば

ー業績好調の裏で苦労した点は?

 企業名を冠している背景を活かしながら、SHISEIDOを個別のブランドとして際立たせるためのコミュニケーションを図る必要があり情報訴求の方向性やタイミングなどに知恵を絞りました。

 例えば第4世代のアルティミューンでは、ブランドのヘリテージや、「肌が強くなるためには対処療法ではなく根本へのアプローチが大事」というメッセージは強みである反面、ニーズが多様化する中で必ずしも全てのお客さまの共感や購買理由につながるというわけではありません。だからこそ一方的な発信にならないように、第三者の方からの発信・コミュニケーションのプライオリティをこれまで以上に引き上げました。私たちからの製品情報はていねいにお伝えさせていただき、その上でその方独自の視点や感覚を踏まえてリアルな言葉で伝えてただく。そうすることで、お客さまの感覚に寄り添い、共感を得られるメッセージへと変換できると考えたためです。

ーいわゆるインフルエンサーの方々を巻き込んでのSNSプロモーション施策を強化した、ということでしょうか。

 今までは、ブランドSHISEIDOが持つ価値をトップダウンで発信することに重点を置いていたのですが、お客さまのことを考えた時に、もっと身近な言葉での発信も必要だと感じました。仕事や子育てなど、自身の生活の中で、やるべきことがたくさんあり、美容のリサーチにかける時間はそこまで多くないと思います。でもその中でも、「いいものを使って効率よく肌をきれいにしたい」というニーズは少なくないのではないでしょうか。コロナを経て、美容を含めたありとあらゆる物事について自分で取捨選択をしていくという流れができてきたからこそ、一般の方が「知りたい」と思った時に、「知りたいこと」を発信できているかが重要になってくるのではないかと考えました。こうしたことが今までは足りていなかったなと、振り返って反省するポイントでしたね。

 もちろん、私たちの強みや魅力に深い理解を持って、発信してくださる「美容賢者」の方々やプロのジャーナリストの方々の情報は、より深く知りたいという方々にとってとても大事な接点にですから、そこは変わらずに大切にしていきます。単純にライトなコミュニケーションに走るというわけではなく、あらゆる目的に応じた接点を作るための施策として、より消費者の方々に近い存在のインフルエンサーの方々のご意見や発信にも力を入れていっているところです。

ー新ファンデーション、第4世代のアルティミューンと続けて旗艦店のSHISEIDO GLOBAL FLAGSHIP STOREでポップアップを行いましたが、店頭施策はどうでしょうか。

 やはりそこは私たちの価値でもあるので、今後も積極的に活用しますし、そのほかの場所でも必要に応じて体験の場は設けたいと思っています。旗艦店でのアルティミューンのイベントでは、お客さまのSNS投稿が自然発生していき、来客も途切れることなく盛況となり、客数・単価・売上のいずれも計画を超えて着地することができました。店頭でのお客さまの反応を見ても、直接のコミュニケーションは非常に重要だと改めて思います。例えば、ファンデーションにもう少しカバー力が欲しいという方に、ブラシでの塗り方をおすすめできますし、試してから購入された方の口コミは熱量も高い。その場での売上だけではなく、総合的に考えてもリアルな場というのは変わらず価値あるものだと思います。

ーファンデーションは大ヒット中ですが、昨年はリップからも新作「テクノサテン ジェル リップスティック」を発売しました。ポイントメイクの今後の計画は?

 ありがたいことに、テクノサテン ジェル リップスティックは好調です。ただブランド全体でまずは、スキンケアの効果実感や安心感のイメージ醸成をしっかりと固めていくフェーズなので、ポイントメイク自体の強化や整理はもう少しその素地ができてからになりそうです。プレステージ市場において、まだまだシェアを伸ばしていく道半ばですから。

ーでは、そのための具体的な計画を教えていただけますか?

 昨年はいい形でオイデルミンや第4世代アルティミューン、新ファンデーションを発売し、いわゆる「赤いライン」のイメージ・ポジションを強化できました。来年以降は、この赤いラインへの投資は引き続き行い、新客獲得の力となるベースメイク、そして市場が急速に広がっているエイジングケアの3つを柱に注力していきます。メイクアップは現段階で一定の売上は獲得できているので、そこは落とさずにキープしていくという考えです。

ー第2の柱とするベースメイクは、新ファンデーション以外での強化策は?

 スキンケアとメイクアップの売上比率は大体8:2です。「赤いライン」のベースメイクはシェア6%程度を10%にまで成長させたい。ハードルが高い数字ではありますが、新作が非常にいい成果を出しているので、この“美容液ファンデーション”のようなジャンルをしっかり伸ばしていく計画です。その中で、ベースメイクシリーズ「エッセンス スキングロウ」では、今年3月1日に化粧下地を発売予定です。また、ファンデーションのカバー力を高める際におすすめしているブラシを手早くお手入れするための専用クリーナーも出すなどで、このシリーズを充実させていく考えです。

ー3つ目の柱を目指す、エイジングケアは「フューチャーソリューションLX」でしょうか?

 そうですね。SHISEIDO最高峰シリーズの「フューチャーソリューションLX」は、商品力だけではなく、日本発の資生堂の製品であるといった、世界観を持っています。そこを価値として、機能性との掛け合わせで、加熱するエイジング・プレステージ市場で、“日本発ラグジュアリーエイジングスキンケア”として訴求していきます。また、より多くの方の手に届くエイジングスキンケアライン「バイタルパーフェクション」はより機能性を追求した製品へとリニューアルします。

ーメンズ市場についてはいかがでしょうか。ジェンダーレス訴求が市場で広まる中、「SHISEIDO MEN」で︎は︎“男性向け”を強く打ち出しています。

 メンズコスメ市場は年々拡大はしているものの、全体でみるとまだ小さいと思います。ただ将来性を鑑みて、もっと深く知り、展開・プロモーションしていくべきだということで、10月に「メンズプロジェクト」という専門のチームを、副社長の岡部直下(岡部義昭 資生堂副社長、チーフマーケティング&イノベーション オフィサー、チーフブランドオフィサー ブランドSHISEIDO)で立ち上げました。

 私たちは長年、年代や性別を考慮して皮膚について研究し続け、それを踏まえてメンズに向けたもので勝負しています。だからこそ、より理解を深めて提案していくのが使命だと思います。これまでは、美容感度が高く、本物志向の方々に支えられてきましたが、市場の拡大とともにSHISEIDO MENの存在感を強化するために、「他者からの視点で美容への興味関心を持っていただく」というポイントを軸に加えました。そのため、新たに俳優の反町隆史さんと松嶋菜々子さんご夫婦にアンバサダーに就任していただきました。

ーそれでは最後に、今後の目標は?

 ブレずに、プレステージブランドの中でナンバーワンになることを目指します。まだまだやらなければいけないことはたくさんある状況ですが、着実に詰めていきたいと思っています。

オイデルミン エッセンスローション、アルティミューン パワライジング コンセントレート Ⅲn、エッセンススキングロウファンデーション、ハイドレーティング クリーム

(文 ライター サカイナオミ、聞き手・編集 福崎明子、平原麻菜実)

美容ライター

サカイナオミ

美容室勤務、美容ジャーナリスト齋藤薫氏のアシスタントを経て、美容ライターとして独立。25ans、VOGUEGIRLなどファッション誌のビューティ記事のライティングのほか、WWD JAPAN.comにて猫と美容を絡めたコラムも執筆中。

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