これからのファッションシーンを担うデザイナーが、自身のルーツを5つのキーワードから紐解いていく連載「私のマインドマップ」。第8回は、東京造形大学でテキスタイルを学びながら、MIKIOSAKABE、Jenny Faxでインターンを経験し、2020年にファッションブランド「Five year old」をスタートさせたスズキアイカ。ショップやイベントでのポップアップを行う他、他ブランドとのコラボレーションなど積極的に活動を行う注目のデザイナーだ。
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No.8 スズキアイカ(Five year oldデザイナー)
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Image by: Five year old
「スズキアイカ」のクリエイションを紐解くマインドマップ
デザインする上で軸となる"5つのキーワード"とそこから派生する"3つのワード"を、デザイナー本人がピックアップ。それぞれのキーワードが現在のクリエイションにどのように繋がっているのか、デザイナーの解説と共に紹介していく。
1:幼少期
ファッション好きの母が着させてくれた"変化球"コーディネート
母がファッション好きだったので、子どもの頃から少し変わった服をよく着ていて。今でも記憶に残っているのは、上はジャージー、下はフレアデニムにプリント柄のスカートを重ねて、カラフルな靴を合わせていた小学生の時のコーディネートです。他の人と違う服装が恥ずかしいといった気持ちは全くなくて、いろんな服を着られることがすごく楽しくて嬉しかったんですよね。ファッションに興味を持つようになったのはその時の経験が大きく影響していて、服に対する当時の価値観や感覚は今にも繋がっていると感じます。
着ることを楽しみ尽くした"ジャンルレス"な小学生時代
小学5年生くらいからは自分で服を選ぶようになりました。ロゴがプリントされたフーディにデニムのショートパンツや、ボーダーのニーハイにレッグウォーマーを重ねたりして楽しんでいた覚えがあります。中学生では、サーフギャル系の格好にハマり、トラックジャケットの上にオーバーオールを着たりしていましたね。高校生では古着に熱中したりと、小さな頃の影響もありかなり幅広くファッションを楽しんでいました。
2:感覚
リサイクルショップや写真検索で出会う"意図しないファッション"性
王道の可愛いや格好良いではなく、変化球ファッションに馴染みがあったので、今でも”意図してないファッション性”に惹かれます。ネットで、知らない少年やおじさん、家族の写真などを検索するのが好きなのですが、オシャレを意識している訳ではない、普段着そのままの姿がすごくカッコ良いんですよね。そういう人たちが日常的に着ているポロシャツや運動靴に、自分が作った服を着て欲しいなという想いで服を作っています。また、田舎にあるリサイクルショップやネットショップもとても好きなんですが、大量に並んだ服の中から気になるものを発掘する行為は、自分にとって「”グッとくる”ポイントは何か」を探す旅に出ているような感覚があります。
着地点を定めない"手探り"な服作り
服を作っていく過程でも「グッとくるポイント」があるかどうかはとても大切にしています。基本的にはデザイン画は描かず、着地点を決めない状態から服を作り始めていき、その瞬間ごとの感覚に身を委ねながら、納得のいく形を探っていきます。これまで服作りを専門的に学んできたわけではないので、感覚で作り上げていく方法が今の自分には合っているんです。
3:青年
男性への憧れから興味を持った"メンズファッション"
昔から男性が憧れの対象になることが多くて、その流れでメンズファッションにも興味を持ち始めました。当時特に影響を受けたのは、ローリング・ストーンズ(THE ROLLING STONES)のブライアン・ジョーンズ(Brian Jones)やその周辺のアーティストたち。彼らのパンツスタイルがとにかく好きで、独特のリラックス感と直線的なシルエットがすごく魅力的だなと感じていました。
自分自身でもメンズファッションを着たいと思っていたのですが、身長が150cmしかなく思うように着ることが出来なかったので、自分なりの着こなしを考えるようになりました。メンズのボトムのウエストをベルトで絞ったり、リメイクして履いたり、ジャケットを着たり。ガーリーなアイテムも好きなので、自分の好きなバランスを探しながら楽しんでいました。ブランドのアイテムでも男女の境界線を考えず、どちらの要素も取り入れた服を提案するよう心がけています。
4:オリジナル性
オリジナルの面白さに触れた大学時代
東京造形大学〜大学院時代に、テキスタイルを学んでいました。課題では、ひとつのテーマを基にオリジナルテキスタイルを作ることの繰り返しで、毎回制作した生地で服を1着作っていきます。大学時代は紙に描いた絵柄をパソコンにスキャンし、編集したものを版におこし手捺染するという方法でテキスタイルを作っていました。服になることを想像しながらテキスタイルを作る感覚や、オリジナルプリントで作る服の面白さを知れたことが大きな経験となり、今でもテキスタイル表現がブランドの強みになっています。
コロナ禍に始めた"手描きスタイル"
新型コロナウイルス感染症で学校に通えなくなった時期に、手描きや手染めを始めました。工程の多いプリントとは違い即興性があり、感覚的に作れる所が自分と相性が良くて今すごくハマっています。手描きのイラストは、自分のパーソナルな気持ちや思い付きのアイデアを頼りに、「こんな絵や形が服に描いてあったらいいな」と思うものをイラストにしています。これまではスマホで撮った写真をプリントしたり直接生地に描いていましたが、次はスマホで描いた絵で作るプリント生地にチャレンジしてみたいなと思っていて。電車の中や公園で描いたものを使って、服が作れたら楽しそうだなと妄想してます(笑)。
5:現在の自分
"無計画"から生まれる偶然のアイデア
元々無計画というわけではないんですが、計画を立ててもことごとく崩れるのがお決まりで(笑)。ただ、軌道修正をする時に出てくるアイデアが意外に面白いことが多く、元々思い描いていたものから形を変えて着地をしていく過程も大切にしています。長い時間かけて考えたものよりも、失敗した後にパッと思いついたアイデアの方が良かったりするんですよね(笑)。逆に、労力をかけて作り上げたものだったとしても納得できないポイントが少しでもあれば、その状況を面白がる気持ちを持ちながら、一から作り直すこともあります。
リスクを恐れず追求するクリエイティブへの"こだわり"
私自身細かなことが気になるタイプではないんですが、”最低限の譲れない美意識”があり、ダメと思うポイントが1つでもあれば納得のいくまで調整していきます。特にヴィジュアルに対してはこだわりが強く、心地が良いと思うものが出来るまで失敗を恐れずに作り込んでいきます。服作りでもヴィジュアル作りでも同じように、やりたいことに正直に「納得のいく選択」を心がけています。
■Five year old × CAR FOR POP UP & SHOW ROOM
日程 :
7月15日(金) 15時〜21時
7月16日(土) 13時〜21時
7月17日(日) 13時〜20時
住所 :
studiolab404.com
〒153-0052 東京都目黒区祐天寺1丁目31−12
Five year old
>> instagram
■次世代デザイナー連載「私のマインドマップ」
>>No.1 : 向祐平(Munited Kingdomai YUHEIデザイナー)
>>No.2 : 児玉耀(flussデザイナー)
>>No.3 : 森上ひかり(HIKARI MORIGAMIデザイナー)
>>No.4 : osumi(Water Blueデザイナー)
>>No.5 : ヤンガ幸一郎(YANGAデザイナー)
>>No.6 : 飯野麟太郎(rintaro iinoデザイナー)
>>No.7 : KANON(KANONデザイナー)
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