Fashion私のマインドマップ

次世代デザイナー連載「私のマインドマップ」: No.7 KANON(KANONデザイナー)

 これからのファッションシーンを担うデザイナーが、自身のルーツを5つのキーワードから紐解いていく新連載「私のマインドマップ」。

 第7回は、大阪文化服装学院を卒業後、伊ポリモーダ(POLIMODA)に1年留学し、現在は東京を拠点に活動しているKANON。大阪文化在学中には「アジアファッションコレクション(Asia Fashion Collection)」でグランプリを獲得し、ニューヨークでランウェイショーを発表。デジタル表現を駆使しながら、新たなファッションの循環を模索するデザイナーだ。

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No.7 KANON(KANONデザイナー)


「KANON」のクリエイションを紐解くマインドマップ

 デザインする上で軸となる"5つのキーワード"とそこから派生する"3つのワード"を、デザイナー本人がピックアップ。それぞれのキーワードが現在のクリエイションにどのように繋がっているのか、デザイナーの解説と共に紹介していく。


1:アート

絵を描いていたことで芽生えたアートへの興味

 物心つく前から絵を描くのが好きだったので、アートにはずっと興味がありました。アートはその人の感情や考え方を心で感じられることが魅力だと思っています。基本的にはストレートで迫力のある作品を作るアーティストが好きですが、在学中にリサーチしていたシュルレアリスムの画家であるルネ・マグリット(René Magritte)は、静的な作風ながら最高に狂っていて、人柄含め特に好きなアーティストの1人です。

エリック・マック作品から着想した布の"解放"

 大阪文化服装学院の卒業制作ではエリック・マック(Eric N Mack)というアーティストの作品からインスピレーションを受け、「LIBERTY PUNK」というコレクションを発表しました。エリック・マックの作品を見た時、布がすごく不自由な感じで違和感があり、その状態から解放させたいという気持ちで制作しました。「LIBERTY PUNK」は、バンタンとパルコが主催しているコンテスト「アジアファッションコレクション」でグランプリを獲得することができ、自分の可能性を広げてくれた思い出深いコレクションです。

2:イタリア

自分自身への"挑戦"のため決意した海外留学

 イタリアへの留学を考え始めたのは大阪文化3年の終わり頃です。就活も考えましたが、もっと大きな世界に挑戦したい気持ちが強くなり、ポリモーダへの交換留学制度に応募してみることにしました。海外に行くと決めてからは、自分の苦手だったことに意識的に取り組むようになったように思います。人前に出る機会を作ったり、コミュニケーションを積極的にとったり。そういう訓練を重ねたことで、挑戦することの大切さと自分の限界を知れたことはとても良かったですし、限界だと思っているラインを越えていく為の糧になっています。

"大きな世界"に触れて感じた"パーソナリティ"の在り方

 イタリアで出会う人たちを見ていると、きちんと個人の意見や生き方を持っている人がとても多いと感じました。日本では集団の中で生きてきましたが、海外では誰かの意見に同調するのではなくて、いかに自分の考え方やパーソナリティを語れるかが重要でした。あと、海外の人たちはポジティブな人が多くて、まず良いところを見つけて褒めてくれます。その環境がとても新鮮で居心地がよく、気持ちがすごく楽でした。

3:料理

"振る舞う"ことの喜びと"創造"する姿勢の変化

 イタリアに行く前から料理をするのは好きだったのですが、ロックダウンが始まり外に出られない日々が続く中で、料理をルームメイトに振る舞うことがとても大切な時間になりました。作ること自体が楽しいのはもちろんですが、誰かに振る舞うことの喜びを実感できた瞬間でした。

 そこから料理をより深く追求するようになり、作る工程でなるべく捨てるものが出ないよう工夫したりと、向き合う姿勢も変化していきました。例えばですが、野菜の切った皮や茎は肉料理の臭み消し使ったり、ハード系のチーズの硬いところを水に浸けてダシを取ったり、古くなったレモン汁でフライパンの掃除をしたりと、様々な使い方で無駄を少なくするスキルが高まったと思います。そして、どのように盛り付けたら綺麗に見えるのか、どういうお皿が合うのかなど料理全体の見せ方を考えるようになりました。料理に向き合うことが、創造することへの日々のトレーニングになっているように感じています。

4:デジタル

"面倒くさがり"な性格にフィットした椅子での作業と"⌘+Z"

 先述したように、イタリアに行って約半年後にロックダウンが始まってしまい、学校にも行けず生地屋も閉まっていて、思うように制作できない日々が続きました。そんな状況の中で、自分のできる最大限のクリエイションは何かと考え始めたのが、パソコンでのデジタル表現でした。

 元々めんどくさがり屋なので、椅子に座ったままできる作業が自分にはすごく合っていて。座りながら目の前に新しい世界が広がっていく様子は、アナログとは違う創作の楽しさを感じさせてくれました。あと、「⌘+Z(ひとつ前へ戻る)」があることで、進んだり戻ったりしながら納得のいく形を見つけられることもデジタルの良さだと思っています。

デジタル表現に期待する五感体験

 まだ始めたばかりですが、グラフィックデザインの仕事も頂くようになり、違う分野の仕事に触れてさらにデザインの奥深さを感じました。また、今後はデジタルの世界でも感触や空気や匂いやなどの体験ができたり、温かみを感じる世界になれば面白いと思っていて。その為に、まずは今できることを丁寧にやっていきたいと思っています。これからも精力的にグラフィックデザインをやっていく予定なので、是非仕事のご依頼待っています!

5:疑問

漫画のセリフがきっかけでスタートした卒業制作

 ポリモーダの卒業制作として発表したコレクション「Q」は、「自分はこの世界を作る歯車のネジでいたい」という漫画のセリフを目にしたときに感じた「なぜ?」という疑問から制作がスタートしました。歯車として生きるのではなく"自分を持って生きてほしい"というメッセージを込めて、コレクションを通して1人の旅の姿をデザインに落とし込みました。コレクションのラスト前に登場する巨大なリュックを持ったルックは、旅で持って帰ってきた経験値が詰まっているという設定の元デザインしています。そして、ラストルックは「経験値を纏う」という意味を込めてバックから出てきた巨大な布(=経験値)を纏ったルックを制作しました。

 「Q」は、学生最後のコレクションだったのでとても思い入れの深い作品になりました。やりたいことを詰め込むことができたので、仕上がりはとて気に入っています。最近では考え方ややりたい事も変化してきているので、また新たなコレクションとして発表できる日が楽しみです。

状況や人への"疑問"から生まれる創作"エネルギー"

 コレクションつくる際には、「Q」の時のように身の回りの状況や人に対して「なぜ?」という疑問から創作がスタートすることが多くて。その疑問に対して「自分ならどのような答えを出すのか」ということを考えながら創作し、作品として自分なりの答えを表現しています。コレクションを制作することで自分も成長し、メッセージを届けたい人たちと一緒に歩んで行けたら良いなと思っています。

KANON >>instagram
Graphic Work>>instagram

世界ファッション・デザイナー名鑑
著: リンダ・ワトソン
翻訳: 河村 めぐみ
メーカー: トゥーヴァージンズ
発売日: 2021/03/26
価格: ¥4,180(2022/04/26現在)

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