Fashion インタビュー・対談

【社長インタビュー】谷正人が挑む業界の壁「企業改革、セレクト業態、販売員の地位」

新世代が考える「セレクトショップ」の定義

―近年、大手セレクトショップは日本ブランドに注力し始めていています。

 理由は2つあると考えていて、1つ目は東京ブランドのクリエーションが上がっていて、優秀なデザイナーが増えているということ。2つ目はどこのセレクトショップもセレクトするインポートブランドが被ってしまい、それを売り切る販売力や提案が難しくなっているということ。また、優秀な大手ブランドのトップが若くなってきたというのも大きいでしょうね。僕は今32歳ですが、ファッションを好きになり始めた頃からインポートブランドがいいという概念はありませんでしたから。

―ファッションを好きになったのはいつ?

 僕が服にのめり込んだのは、中学1年生くらいです。その頃は裏原ブームがきていて、今までアメリカンカジュアルをベースにしたスタイルから藤原ヒロシさんやNIGOさん、僕の好きなSOPH.の清永さんだったり、日本のクリエイターがインポートよりもかっこいいスタイルをどんどん開拓していて、ジャパニーズドリームのようでした。そういう人達がいたので、僕のファッション感も「インポートブランドの方が絶対にかっこいい」というのがなくて、日本ブランドのみの今の業態にも自信が持てるのかもしれません。振り返ると、ちょうどいい時代にファッションを好きになったなと思います。

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―次の世代はまだ現れていない。

 今の東京ブランドはストリートから登場して、技術もあがり、仕様もこだわり抜いて、レベルも高くなっています。ただ、本当の意味で「次の世代」と呼ぶには、全く新しいクリエイションが登場しなければ難しいのではないでしょうか。「次の東京のスタンダードを」ということは、クリエイター1人ではなく周囲のサポートが必要でしょうし、そういうクリエイターをピックアップしていくということも重要です。

―海外で活躍している日本ブランドも増えてきています。

 僕が言うのも何ですが、とても可能性を持っているブランドが多くなってきていると思います。ただ、どこかのタイミングである程度の売り上げは必要になるので、顧客や支援してくれる人の数で今後の伸びは変わってくると思います。僕はブランドが「何か新しいことをやって話題をつくるだけ」のような、業界だけを向いてしまう施策は意味がないと考えています。ブランドはボランティアではありません。量は少なくてもいいので、売るということを意識しなければいけないと思っています。

―セレクトショップの定義も変化していますね。

 特に日本のセレクトショップは特殊で、僕らはどちらかというとマルチブランドショップに近いと思っています。そもそもセレクトショップという言葉自体が日本で作られたもので、セレクトショップはセレクトをしていないからダメになったわけではないんです。お客さんが支持していたら、やっていることは正しいということになりますよね。いくら良いセレクトをしても顧客が離れていくのであれば、それはただのエゴです。いかに顧客に支持されるかが問題なので、セレクトオンリーでもオリジナル中心でも店としては間違いではないんです

―大手セレクトショップから学んだこと、変えていきたいことはありますか?

 僕も大手のセレクトショップに憧れて通っていたし、それぞれのフィルターを通して知らなかったブランドを紹介してもらい「こんなブランドがあるんだ」と気持ちが動いたことも多かったです。時代が変化しても、我々も気持ちを動かせることを常に提供し続けていかないといけないと思っています。同時に、これから僕が持つファッション感は確実に古くなってきます。今の中高生は雑誌を一切見ずにインスタグラムで情報を得ていると言います。会社がお客さんとともに年齢を重ねていくのであればいいのですが、若い人を狙っていくファッションを作っていくのならば、勇気を持って若い人たちに仕事を任せなければ成長に繋がらないでしょうね。

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STUDIOUS TOKYO

―東京に真似をしたくなるようなお店はありますか?

 最近は東京でチェーン展開しているお店よりも、業界問わず地方にオーナーの情熱がしっかりと伝わる素晴らしいお店が増えているように感じます。地方を基盤に海外へと進出してもやっていけそうな実力のあるお店も多いです。個人的には東京ブランドをしっかりと大きくしていきたいので、こういった情熱をもった運営を大きなマーケットでできたらどれだけ強いんだろうなというのは、常に考えていますね。

―ファッション業界では経営者として前澤さんがよく話題にあがります。次の世代の経営者として心がけていることは?

 前澤さんは素晴らしい経営者ですし、何よりプラットホームを作って巨大な流通を作ったことは大きな社会貢献に繋がっていると思います。それくらいインパクトが大きな事をしなければ、起業家として意味がないですよね。先日、初めての株主総会があり、応援してくださる株主の方々が積極的に足を運んでくださったこともあり、会場がいっぱいになりました。様々な質問にお答えして行く中で、お客さんとはまた違う形で、僕らはこの方々の夢も背負っていくんだなということを改めて実感することができました。僕自身も社会に対して大きなインパクトを与えられる、社会貢献できる経営者に向けて邁進していきたいです。

■谷正人(たに まさと)

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 1983年生まれ、静岡県浜松市出身。中央大学商学部卒業後、2006年に(株)デイトナインターナショナルに入社。翌年STUDIOUS原宿本店OPEN 事業部長としてSTUDIOUS業態を一から立上げ、2009年には同社STUDIOUS事業部 事業部長を経て退職、MBOにて独立。2009年に(株)STUDIOUS 代表取締役として事業開始した。

(聞き手:高村 美緒)

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