【連載】若き写真家の肖像 -草野庸子-

 ファッションの世界でも活躍する若き写真家を紹介する新連載「若き写真家の肖像」。1人目は2014年度写真新世紀優秀賞を受賞し、「シブカル祭。2015」に参加した22歳の写真家・草野庸子。

kusano20150924_014.jpg

kusano20150924_019.jpg

kusano20150924_001.jpg

kusano20150924_004.jpg

kusano20150924_006.jpg

kusano20150924_033.jpg

kusano20150924_029.jpg

kusano20150924_013.jpg

kusano20150924_008.jpg

kusano20150924_005.jpg

kusano20150924_007.jpg

−出身は?

福島県のいわき市です。高校2年生の時に震災を経験しました。

−高校時代はどのような服を着ていた?

地元はかなり田舎で、いわゆる"ギャル"っぽい格好をした同級生ばかりでしたが、私は東京まで行って古着屋などで服を買っていましたね。

−桑沢デザイン研究所に進学。

親からはちゃんとした会社に就職しなさいと言われていましたが、またいつ有事が起きるかわからないのでそれなら自分の好きなこと、楽しいと思うことをやろうと思い桑沢デザイン研究所に進学しました。

−桑沢デザイン研究所でグラフィックデザインを専攻し、在学中に写真新世紀優秀賞を受賞。

もともとグラフィックデザインをやるつもりだったんです。ただ几帳面さがなかったので1年生のときに断念しました。課題も酷いものを出していてかなりの劣等生でしたね。でも東京に来てから周りには内緒で、プライベートで写真は撮ってました。もともと家族アルバムを見るのがすごい好きで、自分が1歳の頃とかで記憶が無くても、光の加減とか温度とかその頃が蘇るような感覚を大切にしたいなと思っていました。他の人の家族写真を見ても、「このときこんな想いでお母さんが撮ったんだろうな」とか分かる写真が多いじゃないですか。それで写真を撮りはじめたんですが、人にはあまり見せたことがなくて。外に見せたらどういう反応があるんだろうと思って、こっそり「写真新世紀」出したら運良く優秀賞を貰えたんです。受賞をしたら周りの態度が豹変したのはちょっとおかしかったです(笑)。

−プライベートではどういった写真を撮っていた?

東京に住んでみて、色々な出会いがあって、様々なことが起こったりと毎日慌ただしく過ぎる日常に疑問を持ち始めたんです。何かを思い出すということが少なくなってきているなと感じ始めていた時に、ちょうど祖父からフィルムカメラを貰ったんです。それで日常に起きる様々な出来事を写真に撮って残していこうと考えるようになりました。写真は時間を止めるので、仮に別の人が撮影した全く見たこともない風景写真でも、それを見ているとその時の匂いなどが蘇ってきます。写真を通して"過去"を共有できるって素晴らしいことだなと思いました。それからどんどん写真に傾注していきましたね。

−新世紀で提出した作品について。

上京後に起きた楽しいことや悲しいことを、コンパクトフィルムで撮って作品としてまとめました。写真には私の友人が写っているのですが、大好きな友人だからこそ良い写真になると考えていて。被写体との距離をどれくらい詰めることができて、被写体の感情を組み入れた写真をどう表現するかを意識していて、展示方法もバラバラのサイズの写真で構成することで、何度も同じ写真を見返して、見るたびに違うことを感じてもらえるような作品に仕上げました。

−ファッションブランドのルックも撮影している。

ラニット(L'ANIT)」のときのようにイメージフォト寄りのルックを撮影するのが好きです。モデルさんやスタイリストさん、メイクさんたちと一緒になって撮影するのも楽しかったですし、またやってみたいです。

−今年自費出版で写真集を発行。

「写真新世紀」で出した作品を再編集したものになります。私はモノとして残すことが大事だと考えていて、写真集という1つの作品として実際に手にとると、同じ写真でも見る人の受け取り方は違ってくると思うんですよね。「いいね」ボタンで簡潔に済むやりとりより、実際に手にとって見ることでその作品に込めた想いやこだわりを感じることができるのではないかと思っています。

−フィルムにこだわる理由は?

フィルムカメラは撮り終わって、ルックの撮影の時とか現像に出すまでとても緊張するんですよ。その場で写真が見れないので、万が一撮れてなかったらどうしようって。その緊張感が良くて、現像する度にアドレナリンがぶわっと出る感覚が心地良いんですよね。

−カメラは何を使っている?

Nikon FM2、T PROOF、LEITZ-MINOLTA CL、samuraiZ2です。

−なかなか食べていけない世界だが。

今は派遣OLとして働きながら生計を立てています。写真に集中したいのでそろそろ辞めようかなと思っていますがどうでしょう。

−課題は?

メディアが同じ写真家を使い続けている印象があるので、そこにどうやって入り込んでいけるのかを考えています。

−今後の目標について。

開発が進んでいる渋谷などの街の様子を撮りためて何年後かに作品として出すと面白いんじゃないかなと思っています。あとこれまで東京で遊んでる風景を撮ってきたので、今後は海外とか私が全然知らない場所で知らない人を撮っていけたらと思っています。

kusano20150924_023.jpg

kusano20150924_022.jpg

kusano20150924_027.jpg

kusano20150924_028.jpg

kusano20150924_021.jpg

kusano20150924_020.jpg

kusano20150924_032.jpg

kusano20150924_031.jpg

©Yoko Kusano

【LOOK】
L'ANIT 2015-16 Autumn Winter
ONLY CHILD 2016 Spring Summer

■Yoko Kusano(草野庸子)

kusano20150930_po.jpg

1993年福島県出身。桑沢デザイン研究所卒。
2014年キャノン写真新世紀優秀賞(佐内正史選)
2015年写真集「UNTITED」自費出版
Tumblr
myonheru@gmail.com

VOL.1 若き写真家の肖像 -草野庸子-
VOL.2 若き写真家の肖像 -小見山峻-
VOL.3 若き写真家の肖像 -小林健太-
VOL.4 若き写真家の肖像 -高木美佑-
VOL.5 若き写真家の肖像 -嶌村吉祥丸-
VOL.6 若き写真家の肖像 -松永つぐみ-
VOL.7 若き写真家の肖像 -トヤマタクロウ-
VOL.8 若き写真家の肖像 -Takako Noel-
VOL.9 若き写真家の肖像 -Yusaku Aoki-
VOL.10 若き写真家の肖像 - Tseng Yen Lan -

(聞き手:芳之内史也)