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モードノオト2021.03.20

「UNDERCOVER」2021年秋冬コレクション

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IMAGE by: FASHIONSNAP(Ippei Saito)

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ファッションジャーナリスト
麥田俊一

 人の揚げ足を取るような言動は、今のように閉塞感が蔓延した瞬間に限らず頻々に表出するのが世の習いである。作品の一部を「エヴァンゲリオン」と協業した此度の「アンダーカバー(UNDERCOVER)」のショーに対して甲論乙駁が書き込まれたと聞いた。オマージュした高橋 盾の肩を持つわけではないが、眼を三角にしてあげつらう論点ではないような気もするが、マニアの執心を此処で忖度しても始まらぬし、況してや、高橋は当該の物語を新たに語ってみせたわけではない。強い自我意識に縛られ、それでも止むなく自粛を迫られ、骨身を削られるようなストレスに晒され続けている現代人に届けられた素敵な贈り物として臆せず享受する方が得策だろうと私は思う。わざわざ高橋 盾は、十人十色の夢のバリエーションを手渡してくれたのだから。彼の意図は判らぬが、此度のエンターテインメントは、主義、思考、趣味、性質のまったく異なる人たちが各々抱くに違いない夢の変奏曲としての体裁を採っていたように思う。一段と懐が深くなった。ショーに登場したスタイルは、一枚のフィルターのように日常と頽廃的な幻想の間に明確に存在する服としてのカタチが与えられ、自らが発光する多面体の如く、クッキリと薄闇に浮かび上がる仕掛けである。入り口が複数ある部屋とか、二つ以上の結末が用意されたミステリーのように、多面的、且つ紆余曲折的に入り組んだ物語(のようなもの)が累積したダークな世界にあって、最終的には一筋の光明が射し込むように設計されたエンターテインメントである。酔いに任せて私は、「あなた方は、今なすべきことをしっかりとせよ」と云うブッダの言葉を此度のショーに重ねてみた。そして「時代」とは、「今のこの瞬間」なのだと悟った。

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「UNDERCOVER」2021年秋冬コレクション

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Imaged by FASHIONSNAP.COM(Ippei Saito)

 密かに私は、東京での最後のショー(2002-03年秋冬ウィメンズ)を思い出している(東京でする単独のショーは19年振りだと云う)。あの時は、一枚のTシャツを魔女の細胞に喩え、それが分裂し増殖する様を見せたショーだった。頽廃的な気分は今回と似通っているし、メタモルフォーゼ式の展開も共通している。と云うのも、今回の物語を、私は「蛾」の一生に重ね合わせて見たのである。蝶を綺麗と喩えるなら、誰しも、蛾には汚いイメージを持ってしまう。人間が勝手にその形態や生態で分類しただけで、もともと蝶も蛾も同根なのだから、蛾にしてみれば甚だ迷惑な話である。馥郁たる花畑に飛び交う蝶と、日が暮れて活動し始める蛾。そのあたりの伏線も高橋らしいと勝手に思っている。私が描いたストーリーは、憂いに満ちた時代に孵化した蒼白い青虫や毛虫たちが、やがては成虫となり月光に向かい、自由気儘に、互いに別々の光を目指して飛び交うと云う、当今のパンデミックを背景とした幻想譚である。その伝で云えば、コートのフードマスクに仕込まれた探照灯(あの「グレース」を彷彿させる)は誘蛾灯であり、モデルのメークは毒々しい鱗粉のように見える。そもそも蝶と蛾は何処が違うのか、と云う話なのだけれどもね。

「UNDERCOVER」2021年秋冬コレクション

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 当の高橋はと云えば、書斎(デザイン室)に自己隔離しているようでいながら意外に世間智もあって、それならば俗かと云うと断乎厳格を貫いていると云う、或いは、のんびり、ゆったり、うららかにやっていながら、実は途方もない緊張感に支えられていると云う、結局、彼一流の創作道徳みたいなものがデザインに無理なく反映しているのではないかと思う。以前他処で彼のことを、「オチる人が好きだ」と書いたことがある。長いキャリアに付き纏う、「今更なんでアンダーカバーなの?」的な雑音に対して、本人は憤りより諦観の態度を取らざるを得なかったと本音を吐露したことがあった。私は、そんな彼の「生」な感じに心を打たれた。往時のアナーキーであり得た彼の創作世界が、様変わりする時代の要求に偶さかにピッタリと合致してしまったとか、それどころか時代に追い越され、かつての雄々しさを失ってしまった、と云う論旨で「今更」を引き合いに出した輩は、いずれも「時代」が好きな人たちなのだろうが、面白いのは、実はそんな人たちも高橋が紡ぎ出してきた物語を愛していたわけで、かつて我先にアンダーカバー的「ランド」に入場して喜びを得た人たちが、そんな自分の過去に少しく嫌気が差して、その当時の「今」と云う時代の変化の方に批判原理を移そうとしただけのことなのだ。

「UNDERCOVER」2021年秋冬コレクション

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 幾分私的な感情が重なってしまったようだが、勿論、高橋の作家人格と云うのは、彼の語る物語(エンターテインメントとしてのショー)そのものの中にしかあり得ないわけで、ダークなファンタジーが頻々と繰り出されるエンターテインメント故に、彼の創作世界は現実離れしているように思われがちだが、実はその逆で、寧ろ「時代」を実にちゃんと見ているのではないかと思える節がある。意外かも知れないが、ひょっとすると、生来の批判精神と云ったものを、止むを得ず具えている人かも知れない。と云っても、勿論、所謂政治的、時事的問題に対して一家言持っている、と云うような次元のことではなくて、なんと云うか、彼の物語は、時代の現実との間にある並大抵ではない緊張感に裏打ちされていると思う。だから、いくら幻想的な領域に遊ぼうとも、服の土台は普段着であるとする彼一流の創作的道徳が種々のエンターテインメントを通貫しているから、幾ら時空次元を超えようとも、それらが絵空事に終わることはないのである。また、高橋のショーには、リアルとファンタジーの間合いが巧妙に縮まるタイミングが屡々ある。即ち、物語の「魔」が立ち上がる瞬間である。例えば、パリメンズで発表した『蜘蛛巣城』(黒澤 明監督 1957年公開)に着想した物語(2020-21年秋冬コレクション)を思い出して欲しい。近年に至って円熟した大人の語り口を身に付けた「語り」の錬金術師として我々を楽しませてくれた。間違いなく向後も、日常の「魔」とか幻想の「魔」は、我々がそれとは気が付かない程の巧妙さで、彼が語る物語の中にうっそりと立ち上がり続ける筈である。(文責/麥田俊一)

UNDERCOVER 2021年秋冬

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