展示会の様子
Image by: FASHIONSNAP
三陽商会が、2023年秋冬シーズンのプレス向け記者説明会を開催した。同社は2023年2月期で7期ぶりの営業黒字化を達成し、今月11日には創業80周年を迎える。説明会に登壇した大江伸治社長は「この節目の年に80年の歴史を振り返り原点に立ち戻って、改めて当社のミッションや役割は何か、ビジネスのあり方を見直す機会にする」と同時に、「80年間の当社の間に蓄積されてきたアセットとリソースをしっかりと生かして、さらなる発展と成長につなげていきたい」と意欲を述べた。
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3月以降、同社の月次売上は前年同月比2桁増で、5月も同様の伸長率で推移している。オフィス・オケージョン需要が回復し、スプリングコートやレインコート、スーツが売れたほか、気温が上がった4月からは行楽需要も消費を後押しし、ブルゾンやカジュアルドレスも動いた。5月は機能性素材を使ったポロシャツなどの軽衣料も売れ筋となっているという。ブランド別では、主に「ブルーレーベル/ブラックレーベル・クレストブリッジ(BLUE LABEL/BLACK LABEL CRESTBRIDGE、以下クレストブリッジ)」「マッキントッシュ ロンドン(MACKINTOSH LONDON)」「ポール・スチュアート(Paul Stuart)」が好調。クレストブリッジはマレーシアやシンガポール、香港を中心としたインバウンドの好影響を受けており、中国人観光客による消費の戻りが遅れる中、インバウンド比率は4月に入ってからコロナ前(2019年度)の水準を超えたという。
同社の好業績につながった要因として大江社長は「商品1点ずつのこだわりや磨き上げが進み、MDの精度が格段に上がった」ことを挙げる。商品力向上の背景には、全社横断プロジェクト「商品開発委員会」が寄与しているといい、同社の持つ技術力・開発力、自社工場が生み出すクオリティ、先進的な素材の導入といった視点を掛け合わせることで多くのヒット商品が生まれていると分析している。特に定番商品やベストセラー商品に機能性や軽量性を取り入れブラッシュアップした商品が人気という傾向を踏まえ、秋冬シーズンは展開を拡大する。
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80周年記念商品は計21ブランドから全約60型を9月から11月にかけて順次発売。「サンヨーコート(SANYOCOAT)」の「100年コート」からは、ヴィンテージのライダーコートをデザインソースにアレンジを加えたアニバーサリーモデル(17万円前後予定)、秋冬の定番シリーズ「レインウール(Rain Wool)」に特殊な耐久撥水加工をリバー素材に施したダブルフェイス リバーコート(ウィメンズのみ、19万8000円)を展開する。また、アウトドア製品に多用されている防水透湿素材「パーテックス シールドエア」や「パーテックス シールド」を用いた、マッキントッシュ ロンドンの3wayフーデットコート「クリストン(CHRYSTON)」(13万2000円)や、ポール・スチュアートの「バルカラーウェザーコート」(11万円/いずれも税込)を販売するなど、充実したラインナップを揃え、アーカイブ商品の復刻も計画。大江社長は80周年記念商品を「故きを温ねて新しきを知る。いわば三陽商会の過去と未来をつなぐ商品」と表現し、現中期経営計画の目標達成に向けて加速させていきたい考えだ。
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