三陽商会26年2月期、大幅減益で中計下方修正 気象変化と百貨店不振響く
新社長に平林義規氏が就任、大江社長一問一答

三陽商会 大江伸治現社長と平林義規新社長
Image by: FASHIONSNAP

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2026年2月期通期(2025年3月〜2026年2月)連結業績は、売上高が前期比3.4%減の584億円、営業利益が同52.2%減の12億円と、大幅な営業減益で着地した。重点施策として「売上高の確保と粗利率の改善」に取り組んだが、春先の低気温とその後の急激な気温上昇、夏の長期化、記録的な猛暑による秋冬商戦の初動遅れ、プロパー販売期間の短縮化といった気象影響や、国内外政治経済情勢の不透明感や物価上昇による消費マインドの低下、インバウンド売り上げ不振等による百貨店アパレル市場の停滞などの煽りを受けて減収。プロパー販売の不調を補完するためにセール販売を強化したことで粗利率も同1.6ポイント低下した。
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チャネル別売り上げで見ると、主力販路である百貨店の売上高が同約8%減と苦戦し、約30億円の減収となった。電鉄系百貨店の閉店や売場縮小、百貨店側のラグジュアリー優先方針に伴うNBアパレルフロアの減床などが重なり、店舗数は前年同期比で17店舗の純減。一方、EC・通販およびアウトレットはセール販売が伸長し、前年比8%増と堅調に推移した。大江伸治社長は「百貨店販路は今後も注力していくが、『オーレム(AUREME)』をはじめとする新ブランド立ち上げ等により、百貨店以外の販路の開拓を進めていくのが今後の戦略だ」と話す。
ブランド別では、免税売上比率の高い「ブルーレーベル/ブラックレーベル・クレストブリッジ(BLUE LABEL/BLACK LABEL CRESTBRIDGE)」が合算で8億2000万円の減収。合算で、インバウンド売り上げは5億円落としている。ブラックレーベルはスーツを始めとするテーラリングカテゴリーの不振も響いた。また、「ザ・スコッチハウス(THE SCOTCH HOUSE)」の後継ブランドという位置付けで展開している「ベイカー・ストリート(BAKER STREET)」が認知度不足等の要因で8億円減。それら以外の婦人服は、「アマカ(AMACA)」を除くブランドが低調で、全体で4億9000万円の減収で着地した。
2027年2月期は、売上高で前期比2.7%増の600億円、営業利益で同61.7%増の21億円を見込む。売り上げ回復に向けては、ブルーレーベル・クレストブリッジへの新ディレクター起用やブラックレーベルのスーツ強化、ベイカー・ストリートの価格戦略見直しによるフリー客売り上げ拡大など、ブランドごとの施策を推進するほか、婦人服ブランドの複合型コンセプトショップ「SANYO Style STORE」の多店舗化やアウトレットへの積極出店も計画。プロパー販売強化で粗利改善に努める。なお、本社土地の一部譲渡に伴う28億円の譲渡益は2028年2月期の特別利益として計上する予定としている。
また、2026年2月期の業績や、国内外の政治経済情勢によって市況好転が見込めないことなどから、2028年2月期を最終年度とする中期経営計画を下方修正。2025年の策定当初は2028年2月期に売上高700億円、営業利益50億円を掲げていたが、売上高620億円、営業利益13億円まで引き下げた。緊張感が高まっている中東情勢の影響について大江社長は「東レをはじめとする繊維・素材メーカーから値上げの要請が来ていることは事実」としながらも、「原料をまとめて早期に仕入れるなど、様々な手段を講じることによって値上がりを抑えていきたい」と話した。
◆「平林新社長とのツートップ体制」大江社長一問一答
同社では大江社長が退任し、後任として5月28日付で社外取締役の平林義規氏が就任する。決算発表会に出席した大江社長の一問一答は以下の通り。

三陽商会 大江伸治現社長
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──社長就任からの約6年間を振り返って、1番の成果はどこにあると考えていますか?
赤字続きでどうしていいかわからないような状況から、「こうすればこうなるはずだ」という仮説のもとにそれを実行した結果、成果が出た。そういう成功体験を社員全員で共有できたことです。経営がどうこうというよりも、社員全員がPDCAを回して成功体験を勝ち取った。それによって意識が大きく変わったのではないかと考えています。
前期(26年2月期)は売り上げが大きく落ちましたが、減益ではあれど利益は出た。実績自体は非常に不本意ではあったけども、当社の収益構造の強靭さが発揮されたのではないかとも考えております。あとはトップライン(売上高)さえしっかりとれれば、今の構造を維持する限りは確実に利益が出るし、拡大できると確信しています。
──2月には筆頭株主が八木通商からアクティビストとして知られる英投資会社 アセット・バリュー・インベスターズ・リミテッドに異動しました。
今回の社長人事について、新しい筆頭株主の存在は全く関係はありません。経営体制の変更については、社内の指名委員会で慎重に議論を重ねた結果決定したことで、外圧があったとか、社外から進言があったとか、そういったことは一切ありません。
──大江社長と平林新社長は同じ三井物産の出身です。
直接一緒に仕事したことはなかったのですが、平林氏が非常に優秀な方であるという話はかねがね聞いていました。我々が揃って三井物産のOBであるということは本当にたまたまです。
──平林新社長にどういったことを期待しますか?
平林氏は三井物産で長年さまざまな業務を体験されており、知見は申し分ないと私自身は考えています。私よりもずいぶん若いですし、新しい角度から経営あるいは業務執行を見て、経営内容を刷新してもらえたらと考えています。
私自身は社長を退任しますが、引き続き代表取締役会長として社長とともに経営にあたります。いわば「ツートップ体制」にすることによって、ガバナンスあるいは業務執行双方の面で体制を強化します。それによって、ここ2年ほど業績が停滞している現状を脱し、会社を成長軌道に乗せていきたいと考えています。
最終更新日:
■三陽商会 2026年2月期実績
売上高:584億円(前期比3.4%減)
営業利益:12億円(同52.2%減)
純利益:41億円(同2.7%増)
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