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【コラム】目覚めのミラノ、挑戦のパリ——激動の2026年春夏ウィメンズコレクションを切り取る

ジョナサン・アンダーソン、ルイーズ・トロッター、マチュー・ブレイジー

ジョナサン・アンダーソン、ルイーズ・トロッター、マチュー・ブレイジー

Image by: ©Launchmetrics Spotlight

ジョナサン・アンダーソン、ルイーズ・トロッター、マチュー・ブレイジー

ジョナサン・アンダーソン、ルイーズ・トロッター、マチュー・ブレイジー

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【コラム】目覚めのミラノ、挑戦のパリ——激動の2026年春夏ウィメンズコレクションを切り取る

ジョナサン・アンダーソン、ルイーズ・トロッター、マチュー・ブレイジー

ジョナサン・アンダーソン、ルイーズ・トロッター、マチュー・ブレイジー

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 名だたるメゾンが新体制でショーを発表し、大きな転換期を迎えた2026年春夏ウィメンズ・コレクション。ミラノには希望に満ちたムードとポジティブなエネルギーが息づき、パリでは偉大なヘリテージに向き合いながら伝統を更新する挑戦を見ることができた。激動のファッションウィークを現地で取材した国内外のジャーナリストらの視点では、特に「シャネル(CHANEL)」「バレンシアガ(BALENCIAGA)」「ボッテガ・ヴェネタ(BOTTEGA VENETA)」の大胆でフレッシュな提案が高く評価されている。装いの歓びを呼び覚ますドラマティックなコレクションが多くのブランドで花開き、豊作のシーズンと言えるだろう。

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 新たな歴史が動き出した新章を、ミラノとパリのランウェイから切り取る。

ミラノ:目覚めのシーズン 終わりと始まり

 ミラノの2026年春夏ウィメンズコレクションは、まさに"終わり"と"始まり"を象徴するシーズンだった。「グッチ(GUCCI)」「ジル サンダー(JIL SANDER)」「ボッテガ・ヴェネタ(BOTTEGA VENETA)」「ヴェルサーチェ(VERSACE)」といったミラノを代表するメゾンが新たなスタートを切った一方で、「ジョルジオ・アルマーニ(GIORGIO ARMANI)」のショーでは、感傷的な気持ちに包まれながら、偉大な創業者の軌跡を静かに見送った。まるで歴史のページが目の前でめくられているような、感慨深いシーズンだったように思う。

ジョルジオ アルマーニ 2026年春夏コレクション

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 全体のトーンは「目覚め」のように明るく、希望に満ちていた。ここ数年の"クワイエット・ラグジュアリー"の静けさから抜け出し、オプティミスティックなムードが戻ってきた印象だ。カラーブロッキングやヴィヴィッドな色彩が息を吹き返し、構築的なシルエットを軽やかな素材で仕立てることで、動きを感じさせるスタイルが多く見られた。

フェンディ2026年春夏コレクション

Image by: FENDI

FENDI 2026年春夏

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FENDI

2026 SPRING SUMMERファッションショー

 現地で感じたのは、各ブランドが「着たい!」と思わせる消費者のリアルな感情を取り戻そうとしていることだ。ミラノらしい陽気なムードとエネルギーがショーの随所に満ち、服が放つ"楽しさ"や"着飾ることへの喜び"を思い起こさせてくれた。

ボッテガ・ヴェネタ2026年春夏コレクション

Image by: BOTTEGA VENETA

プラダ2026年春夏コレクション

Image by: PRADA

 このポジティブなムードがどう日常の購買行動に結びつくか、そして新しいクリエイティブ体制が長期的にどのような価値をブランドにもたらすことができるのか。店頭にコレクションが並ぶ来年以降の動向にも注目したい。

パリ:デザイナーたちの挑戦

 「ディオール(Dior)」のショーがフィナーレを迎えた瞬間、舞台裏のモニターを見つめて涙を浮かべたジョナサン・アンダーソン(Jonathan Anderson)。「シャネル(CHANEL)」就任の報が世界を駆け巡ったとき、過剰な注目にパニックを起こし海外に身を隠したと振り返るマチュー・ブレイジー(Matthieu Blazy)。歴史的クチュールメゾンの創造を担うとは、栄光と重圧を同時に引き受ける行為にほかならない。

ジョナサン・アンダーソン

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マチュー・ブレイジー

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 ふたりのデザイナーは、ともに41歳。ムッシュ ディオールがメゾンを創業した年齢であり、その翌年に有名な"ニュールック"が世に放たれた。ガブリエル・シャネルが最初の"シャネル スーツ"を発表したのも41歳だ。

 そんな偉大な創業者の人生をなぞり、敬意を払いながら、新たな解釈で歴史を書き換えたのがジョナサンとマチューである。ジョナサン流のニュールック、マチューによるドラマティックなシャネル。それぞれが鮮烈な一歩を刻む、ウィメンズのデビューコレクションだった。

ディオール2026年春夏コレクション

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 2026年春夏のパリ・ウィメンズファッションウィークでは、そんなデザイナーたちの「挑戦」の数々を見ることができた。共通するのは、アーカイヴを単なる引用に矮小化することなく、臆せず更新する姿勢だ。

シャネル2026年春夏コレクション

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 ピエールパオロ・ピッチョーリ(Pierpaolo Piccioli)が手掛ける「バレンシアガ(BALENCIAGA)」は、創設者クリストバルの曲線を極限まで研ぎ澄ましたミニマリズムで再提示しながら、ドレスにポケットを施して現代女性に寄り添う。「ロエベ(LOEWE)」はアトリエの伝統技術を一段と高め、現代アートのごとくプロポーションを大胆に再構築。「メゾン マルジェラ(Maison Margiela)」はマルタンの精神を呼び起こすように断片を縫い合わせつつ、グレン・マーティンス(Glenn Martens)ならではのアバンギャルドな手腕が冴え渡った。

バレンシアガ2026年春夏コレクション

Image by: BALENCIAGA

 「ファッションは移り変わるが、スタイルは永遠」——ガブリエルの有名な言葉のように、彼らが21世紀に何を残すのか。混沌とした世界に、確かな希望を灯す新章への期待が膨らむ。

FASHIONSNAP ファッションディレクター

小湊千恵美

Chiemi Kominato

山梨県出身。文化服装学院卒業後、アパレルデザイン会社で企画、生産、デザイナーのアシスタントを経験。出産を経て、育児中にウェブデザインを学びFASHIONSNAPに参加。レコオーランドの社員1人目となる。編集記者、編集長を経て、2018年よりラグジュアリー領域/海外コレクションを統括するファッションディレクターに就任。年間60日以上が出張で海外を飛び回る日々だが、気力と体力には自信あり。

FASHIONSNAP 編集記者

今井祐衣

Yuui Imai

千葉県出身。中央大学総合政策学部卒業後、スウェーデンに渡りストックホルム大学ファッション社会学修士課程修了。2015年にレコオーランドに入社。語学とコミュニケーションスキルを生かし、来日デザイナーのインタビューや海外コレクションを担当する一方、広告プランナーとして営業~制作もこなす。北欧と長野をこよなく愛し、LagomでHyggeなムーミン谷のような暮らしに憧れている。

最終更新日:

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