
ロエベ 2026年春夏コレクション
Image by: LOEWE
10月3日、「ロエベ(LOEWE)」が2026年春夏コレクションをパリで発表した。10年以上にわたりクリエイティブ・ディレクターを務めブランドを大きく成長させたジョナサン・アンダーソン(Jonathan Anderson)の後任として、元「プロエンザ スクーラー(Proenza Schouler)」のジャック・マッコロー(Jack McCollough)とラザロ・ヘルナンデス(Lazaro Hernandez)が手掛ける初のショーとなる。
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180年の歴史を持つレザーブランドとしてのオーセンティシティ、そしてスペインというルーツへと立ち返ることは、彼らにとって必然だった。ショーの約1週間前に投稿された、新章のムードを提示するキャンペーンイメージには、ヴィヴィッドな色使いとともに、ビーチ、灼ける太陽、火照る身体、高揚感、センシュアリティ—といった、アンダーソン時代にはあまり前面に出ることのなかったスペインの情緒が間接的に描かれた。そしてそれは、都会的なイメージで知られるマッコローとヘルナンデスにとっても新たな領域の探求となることを示していた。
ショー会場としてパリの国際大学都市内の特設テントを建て、その入口には、同じアメリカ出身のアーティスト、エルスワース・ケリー(Ellsworth Kelly)の作品「Yellow Panel With Red Curve」が飾られていた。イエローの正方形に、わずかに湾曲した赤い三角のパネルが隣接するその抽象作品は、ショーの色彩構成を暗示。会場内は木のフローリングに白い壁と天井、ロエベの店舗でも使用されるスペイン製セラミックタイルの椅子がランダムに並んでいた。



ファーストルックは、まるで海から上がったばかりのように濡れた髪のモデル。ウェットスーツを思わせる構築的なレザージャケットに、シャツとニットを重ね、ショーツの下からシャツの裾が飛び出す。色彩は先述のケリーの作品と、スペイン国旗にもリンクしていた。続くルックでは、素肌の上にカーディガンを肩掛けし、細かく裂かれたレザーのデニム型パンツというミニマルなスタイリングだ。





驚かされたのは、アンダーソン時代のコードを多く引き継いでいた点だ。モールドのようなミニドレス、ボリュームのあるスリーブ、ニットのドレープ使い、透明素材のシューズ、幾重にも重ねたシャツやドレス、歪んだポロシャツ──。見慣れたものをシュルレアリスティックに見せるアプローチやショールックの反復構成に至るまで、随所に前任者の影とその功績へのリスペクトが感じられた。











フラメンコバッグを背中に装着したようなコートや、ビーチタオルをドレスに仕立てたルック、てんとう虫のついたクラッチバッグなど、ユーモラスでオプティミスティックな要素も散りばめられている。スポーツウェアをレザーで再構築する試みには、プロエンザ・スクーラーで見られた都会的な洗練が息づき、リアリティのある服へと昇華していた。










パーソンズ美術大学を卒業後、すぐに自身のブランドを立ち上げた2人にとって、ラグジュアリーメゾンのクリエイティブディレクター職は初の経験だ(インターンを除けば、他ブランドに務めていた経験もない)。より大きな資本のもと、自由に思考を形にしていく喜びを感じながら、今後さらにブランド理解を深めていくことで、その力量が一層発揮されていくだろう。まずはこのデビューショーにて、彼らはフレッシュな感性で、ロエベに新たな空気を吹き込むことに成功した。






ただ、気になる点もある。ロエベのブランドイメージを支えるのは、ファッションだけではない。クラフトプライズを通じたクラフトへの眼差し、そしてジブリとのコラボレーションに象徴されるマスマーケット的ポップさ──この両立を可能にしていたのが、アンダーソンのキュレーション能力と実験的なコレクション、そしてそこに生まれる現象と現象の対話だった。彼のもとで、現代美術的な緊張感と大衆性を共存させるバランスは、ブランドの強い個性を形成していた。
今回マッコローとヘルナンデスが見せた、より直接的で一方通行なインスピレーションの落とし込みは、服としてのリアリティを生み出す一方で、その現代美術的コンテクストからやや距離を取ることにもつながった。今後、ファッションとクラフト、アートをどのように結びつけていくのかは課題になるだろう。
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