Image by: ©Launchmetrics Spotlight

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2026年春夏シーズン、ミラノ・ファッションウィークで「ボッテガ・ヴェネタ(Bottega Veneta)」が新たな一歩を踏み出した。昨年退任したマチュー・ブレイジー(Matthieu Blazy)に代わり、クリエイティブ・ディレクターに就任したルイーズ・トロッター(Louise Trotter)のデビューコレクションが発表された。
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トロッターはイギリス出身のデザイナーで、「カルバン・クライン(Calvin Klein)」、「ギャップ(GAP)」や「トミー ヒルフィガー(TOMMY HILFIGER)」といったアメリカブランドでキャリアをスタートさせ、ジョセフ(JOSEPH)でのミニマルかつ上質な服づくりや、ラコステ(LACOSTE)でのスポーツとエレガンスを結びつけるデザイン、前職のカルヴェン(CARVEN)でも業界から高い評価を受け、今年ボッテガ・ヴェネタに加入。複数のマーケットで異なるタイプのブランドを経験してきた彼女の抜擢は、トロッターが柔軟な理解力と適応力を備えたデザイナーであることを暗に示している。そんな経歴を背景に、ダニエル・リー(Daniel Lee)やマチュー・ブレイージーといったボッテガ・ヴェネタの若返りに成功し、人気を押し上げた歴代デザイナーからのクリエイションをトロッターがどう受け継ぎ、更新していくのかに大いに注目が集まった。
"初期ボッテガ"への視線
意外にもトロッターの視点は、直近のディレクターではなくブランド設立後の初期時代(1966年~1977年)に向けられていた。この時期は、女性解放運動が盛んになり始めた時代であり、「女性たちの解放」というテーマが社会的に強く主張され始めた時代でもあった。ロゴのないバッグを持つこと=自信を持つこと、という精神もこの時代背景に結びついている。実はトロッターはブランド初の女性ディレクターではない。1980年代から2000年代初頭にかけてボッテガ・ヴェネタのクリエイティブを統括したラウラ・ブラジオンの足跡も今回のコレクションには反映されているという。


日常のラグジュアリー
コレクションは共同創業者のレンツォ・ゼンジアーロが生み出した「ソフト・ファンクショナリティ (柔らかな機能性)」という革新的な発想をベースに、過度な装飾やドラマチックな演出は抑えられた一方で、シルエットと素材の質感が前面に押し出された。テーラードジャケットやトレンチコートはメンズ・ウィメンズともに肩が強調されたボリューミーでストラクチャーのあるフォルムと、ゆるく身体に落ちるドレスやドレープとの対比が見て取れ、レザーアイテムは軽さを備え、しなやかで実用性が高い仕上がりに。
そこにフリンジやイントレチャートといったボッテガ・ヴェネタのDNAを踏襲する要素を織り込み、日々のワードローブに自然に溶け込む生活に根ざしたラグジュアリーを打ち出すことで、ブランドを次のフェーズへと推し進めようとしている。デザインに取り入れられたイントレチャートの9mm x 12mm というサイズは創業当初のオリジナルスケールだという。








素材はコレクションの中心を構成するイントレチャートに用いられているレザーのほか、動きのあるファイバーグラスなど実験的素材やテクスチャーを多用。コートやカフスボタンには、レザーやメタルパーツの「ノット」があしらわれ、遊び心も忘れない。カラーパレットはブラック、ベージュ、ホワイトといったニュートラルを基調に、ブランドのアイコニックなグリーンやレッドで変化をつけた。




イントレチャートの多様な編み表現
特にバッグはレザーやイントレチャートの質感がわかりやすく、「ローレン」が細長の新しいシェイプで登場したほか、カバのクラッチバッグ、フレームトート、緻密な職人技が光るクラフティ バスケット、フィッシングネットバッグなど歴代に登場したクラシカルな形をさまざまな編み方や大小異なるサイズのイントレチャートで表現。シューズはサボのようなデザインや、大きなシルエットながら小さめのヒールのサンダル、アクセサリーはムラーノガラスの大ぶりなイヤリング、アイウェアはキャットアイフレームのシェイプがスタイリングを引き締めた。







ルイーズ・トロッターは、ブランドの代名詞でもあるイントレチャートを次のように捉えている。
「ボッテガ・ヴェネタの言語といえば、イントレチャートです。それはメタファーでもあります。2本の異なる紐を編み上げることで、強さを増します。2つの要素が結びつくことで、より強いものが完成するのです。協働とつながりは、創業期から現在にいたるまで、ボッテガ・ヴェネタとその歴史の根底に息づいています。異なる場所、異なる人々、男性と女性。個々の要素や物語が絡み合い、 一つの形を作り、より強固に結びつくのです」

それは創業当時からラウラ・ブラジオンをはじめ,トーマス・メイヤーやダニエル・リー、マチュー・ブレイジーといった歴代のデザイナーたちが繋ぎ、編み上げてきた物語の延長線上であり、これからも続いていく対話なのだろう。「編む」というブランドの核をなす行為は、単なる技法ではなく世代を超えて未来へと繋がっていく人の想いそのもの。イタリアの"工房"の職人たちとルイーズとのクリエーションの旅はまだ始まったばかりだ。
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