
Image by: BYREDO
「バイレード(BYREDO)」が、スカンジナビアの冬に着想した2025年ホリデーコレクションを発売した。その中で、クリエイティブ・イメージ&メイクアップパートナーを務めるルチア・ピカ(Lucia Pica)は、北海の静寂と力強さにインスピレーションを得て、冷たさと温かさが宿るメイクアップコレクション「ポーラー・ハーモニー」を作り出した。メイクアップは、「内なる世界を表現するための媒体」というルチアが、今回のポーラー・ハーモニーにどんな“内側”を宿したのか。コンセプトの源から、色彩の一つひとつに込められた意味、そしてバイレードに参加して3年半、彼女自身のクリエイティブプロセスにおける進化まで、FASHIOSNAPが聞いた。
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■ルチア・ピカ(Lucia Pica)
イタリア・ナポリ出身。2008年からフリーのメイクアップアーティストとして数々のファッション誌、広告キャンペーンなどでキャリアを重ねる。2015年から6年間、シャネルのグローバル クリエイティブ メイクアップ&カラーデザイナーを務めた。2022年にバイレードのクリエイティブイメージ&メイクアップパートナーに就任。「リキッドリップスティック ヴァイナル」や「リフィラブル リップスティック サテン」をはじめとするメイクアップコレクションを手掛けている。
冷たいトーンと温かな光の調和でつくる北欧の海
⎯⎯ 「ポーラー・ハーモニー」というテーマを選んだ背景やインスピレーションについて教えてください。

「ポーラー・ハーモニー」コレクション
私にとってメイクアップは、内なる世界を表現するための媒体です。この「内なる世界」を具現化するにあたり、今回のホリデーコレクションは着想源を「北海の静けさと力強さ」に求めました。その両方が、私が探求したい感情を映し出しているように感じたのです。その広大さと神秘性を、「冷たいトーンと温かな光の調和」として表現し、冬の柔らかな太陽が、暗く凍った海面に反射して輝く瞬間をイメージしたのです。
⎯⎯まさに 「オーシャン ヘイズ アイシャドウ パレット」は、寒色と暖色のコントラストが絶妙です。それぞれの色を選んだ理由や意味は?

「オーシャン ヘイズ アイシャドウ パレット」(1万1220円、左から:ピンク サンド、ゴールデン レヴリィ、コーラル ミラージュ、ブルー ヘイズ、マリーン ドリーム)
このアイシャドウパレットの各カラーには、それぞれ異なる「感情の温度」を込めています。鮮やかなブルーの「マリーン ドリーム(Marine Dream)」や深い青緑色の「ブルー ヘイズ(Blue Haze)」は、静かな水面や空のような奥深さと冷たさを表現しています。一方、メタリックゴールドの「ゴールデン レヴリィ(Golden Rêverie)」やマットオレンジの「コーラル ミラージュ(Coral Mirage)」は、内なる光や記憶を呼び起こし、温もりを感じさせます。
そして、ゴールデンピンクの「ピンク サンド(Pink Sand)」は全体をつなぐ存在として、柔らかい光を放ち、心を落ち着かせる役割を担っています。単にコントラストを作るための組み合わせではなく、それぞれの色が感情的にお互いを支え合うように構成したのです。

⎯⎯ アイシャドウパレットのカラー名をはじめ、「ヴィニル リキッド リップスティック」の「シー ウィスパー(Sea Whisper)」や「サテン リップスティック」の「サンド ダンス(Sand Dance)」といった名前がキャッチーです。いつも付けている印象的なカラー名は、企画段階で決定するのでしょうか、それとも完成後に決めるのでしょうか。
コンセプトを考えている段階で、カラー名が浮かぶこともあります。その場合、カラー名はそのカラーが表現するムードの「錨(いかり)」のような役割となり、開発を進める上での拠り所となります。例えばシー ウィスパーは、冷たい息吹のような透き通る質感を表したいという明確なイメージがあり、カラー名も比較的早い段階で決まっていました。
一方で、完成した色を肌の上で試した時に決めることもあります。コーラル ミラージュやゴールデン レヴリィは、実際に色を見て感じたものを言葉にしていて、より直感的なアプローチで名付けました。

「ヴィニル リキッド リップスティック シー ウィスパー」(7865円)

「サテン リップスティック サンド ダンス」(9265円)
大胆な変身ではなく、“進化”を楽しめるホリデーコレクション
⎯⎯ホリデーコレクションでは 「色と質感を通して変化を楽しむ」というコンセプトを掲げていますが、どのような変化をイメージしましたか?
このコレクションは大胆な変身ではなく、“進化”をテーマにしています。変化とは、必ずしも劇的なものである必要はなく、トーンや感情、光のわずかな移ろいでもあります。ある時はブルー ヘイズで目元に深みをまとい、またある時はピンク サンドで柔らかさをまとう。色や質感は、日々変化する一人ひとりの気分に呼応するようにデザインしました。

⎯⎯ 日本の読者に向けて、このコレクションを使ったおすすめのメイクルックとHow toを教えてください。
まずは、まぶたにピンク サンドをのせて、控えめながらも華やかな光を顔全体に宿らせます。そこにゴールデン レヴリィを重ねると、上品なツヤをプラスできます。少し引き締めたい時は、ブルー ヘイズをアイラインのようにまつげの際にのせて、軽くぼかしてみてください。そして、唇にはシー ウィスパーを塗ると、透明感のあるクールな印象に。この組み合わせで、清潔感がありながら、フレッシュで表情豊かなルックに仕上がります。
就任から3年半、完璧さよりも感情で表現
⎯⎯ バイレードに参加されてから約3年半が経ちます。自身のクリエイティブプロセスに変化や新しい発見はありましたか?
もちろんです。バイレードでの経験を通して、より直感を信じて創作できるようになりました。完璧さよりも感情を大切にし、柔らかさの中にも芯となる構造を見出すことを学びました。そして今は、プロダクトが「どう見えるか」だけでなく、「どう感じられるか」「どう動くか」という、使う人との共存の仕方をより意識するようになりましたね。
⎯⎯バイレードの香りからインスピレーションを受けることはありますか?
いつも影響を受けています。香りとメイクアップは共通の感覚的言語を持っていて、どちらも記憶、空気感、感情を表現するものです。時には香りがインスピレーションの出発点となり、テクスチャーや温度、感情のイメージを与えてくれます。それは決して直接的なものではありませんが、確かに深くつながっています。

⎯⎯ では最後に、まもなくホリデーシーズンです。ルチアさんの休日の過ごし方を教えてください。
ホリデーシーズンはゆっくり過ごすことを大切にしています。イタリアに帰り、家族と過ごしたり、散歩したり、料理をしたりと、休息を取るようにしています。大げさなことではなく、親密で穏やかな時間。それが私にとって欠かせないリセットになっています。

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