栗野宏文さん
Image by: FASHIONSNAP
UPDATE
【2023年4月21日追記】麥田俊一さんのコメントを追記しました。
「リトゥンアフターワーズ(writtenafterwards)」を手掛ける山縣良和さんが主催するファッションスクール「ここのがっこう(coconogacco)」が、2022年度受講生の修了展「coconogacco exhibition 2023」を山梨県富士吉田市内で4月23日まで開催しています。ここのがっこうは、2008年の開講以降、「アキコアオキ(AKIKOAOKI)」の青木明子さんや「トモ コイズミ(TOMO KOIZUMI)」の小泉智貴さんなど、多数のデザイナーを輩出。LVMHプライズなど海外コンペの常連となるなど、ここのがっこう出身者は国内外で注目を集めています。
修了展「coconogacco exhibition 2023」の初日となる4月15日は、あいにくの天気にも関わらず多数のゲストが来場。若手クリエイターを発掘する場としての注目度の高さを感じさせました。今回は、ユナイテッドアローズ上級顧問の栗野宏文さんなど、修了展に来場したゲストに、今後に期待する学生は誰か、話を聞きました。
栗野宏文さん(ユナイテッドアローズ上級顧問)
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ー注目した学生を教えてください。
金子圭太さん(Instagram)、村尾拓美さん(Instagram)
ー金子さんの作品を評価したところはどこですか?
どの作品も良かったので優劣つけ難いですが、金子さんは作品というよりも人がとても面白い。金子さんのことを作品撮影のモデルにしている馬渕さんは、金子くんが強烈すぎて作品が負けたと言っていた。それだけ彼が強烈な存在なのだと思います。金子さんはヴィジュアルの人というより言葉の人だけど、彼が紡ぐ言葉にはファッションを感じる。手垢のついた言葉で説明できない、型にはまらない、誰も見たことがないものを作っていると思います。彼の作品に出会うと、いい意味で新しい違和感とノイズが自分の中に起きるのを感じます。そしてそれが本来ファッションにあるべき姿だと思う。
ー金子さんに今後期待することは?
留学したいそうなので、彼の中に眠っているものをさらに外に出す経験をしたらより良くなると思います。
展示会場:小浅間神社、中央まちかど公園、旧文化服装学院
ー村尾さんの作品を評価したところはどこですか?
服を作っていた学生の中では村尾拓美さんが非常にレベルが高いと思います。3Dプリンターというツールを使い、クオリティも高い。テクニックだけじゃなくしっかり服として具現化し、ファッションになっている。
ー村尾さんに今後期待することは?
考えていることを具現化するスキルはすでに持っていらっしゃると思う。3Dプリンターから派生して服にしていける人はまだいないので、そのパイオニアになって欲しい。
展示会場:FUJIHIMURO
ー何年かにわたりここのがっこうの学生の作品をご覧になっていると思いますが、今年度の総評をお願いします。
過去はすべて今のためにあるとされているので、比較をするわけではないですが充実感がありました。今まで以上に展示会場がよく選ばれていて、学生たちも現地の環境に感化されて作品を作っていた印象です。ファッションの既成概念に囚われず、服の完成度で勝負するのではなく、面白いことを考えている人がそれをいかに具体的な形で見せられるかという実験をいろいろな形で見させられている気がしました。今後も見たことがないものを見せてくれることに期待しています。
Ashley Ogawa Clarkeさん(Vogue Ranway ジャーナリスト)
ー注目した学生を教えてください。
可児真嗣さん(Instagram)
ー可児さんを評価したところはどこですか?
彼の作品を見た時、将来へのポテンシャルを感じ彼が今後どんな作品作りをしていくのか、一つのブランドとしてどう確立していくのかが楽しみになりました。インパクト、そして彼の作り出すコンストラクションがとても面白いと感じました。
展示会場:FUJIHIMURO
藤田佳祐さん(THE FOUR-EYEDオーナー)
ー注目した学生を教えてください。
水谷和章さん(Instagram)
ー水谷さんを評価したところはどこですか?
ネクストレベルな自己肯定感の表現が◎。狂気的な"気持ち悪さ"とナルシズムが見事なマッチングを果たしていて(彼のキャラクターもありきで)、マイナス×マイナス=プラスとなる素晴らしい例。いま時代が求めているものと感じました。
展示会場:一品堂書店・隣
田口淑子さん(元Hi FASHION編集長)
ー注目した学生を教えてください
村尾拓美さん(Instagram)
ー村尾さんの作品を評価したところはどこですか?
服の前にまずマネキンが目に飛び込んできた。全身白。無駄のないフォルム。服を邪魔しないクールな存在感。聞くと、薄い緩衝材を幾重にもひたすら重ねて作ったという。長年ショーや展示会で見るたび、マネキンはなぜ進化しないのだろうとずっと不満だった。村尾さんにはこの新しいマネキンを、もっと精度を上げて世に広めることをぜひ試みて欲しいと思います。
津村耕佑さん(武蔵野美術大学 空間演出デザイン学科教授)
ー注目した学生を教えてください。
村尾拓美さん(Instagram)
ー村尾さんの作品を評価したところはどこですか?
村尾さんの作品は3Dプリンターをファブリックとコネクトさせている点に注目しました。個人的な物語に終始しがちなファッションを万人に解放する事で未知の姿を暗示させる。その意味を再認識して、ファッションの未来を提示していってもらいたい。
麥田俊一さん(QUOTATION magazine編集長)
ー注目した学生を教えてください。
中西鈴さん(Instagram)
ー中西さんの作品を評価したところはどこですか?
あのオブジェを見た時に、何か力を頂いた感じがして、涙腺が緩み、つい涙を溢してしまった。
展示を行なっているあの環境とシチュエーションも相まって、素晴らしかった。
老朽化した場所なので、雨漏りの水が溜まっていたり、それがまたいい味を出していた。
狙ってもできないような偶然が重なり、その結果一つの空間として完成されていた。
彼女の作品は洋服でもないし、絵画でもない。見ようによっては見落とされてしまいがちだが、何故か目を奪われて、そのまま作品の前で佇んでしまいました。
彼女とそんなに長くは話していないが、彼女の作品には私の琴線に響く何かが存在していた。
彼女は今後、いろんな場所に旅をしたいと言っていた。海外にも行ってみたいと。今後、どんな活動をされるかわからないが、ファッションの固定概念に囚われることなく、自分の表現方法を更に高めて行って欲しい。
■coconogacco exhibition 2023概要
期間:4月15日(土)〜4月23日(日)
時間:11:00〜17:00
※ 4月23日(日)11:00〜16:00
場所:FUJIHIMURO、FabCafe Fuji&ワタトウビル、小浅間神社、旧ニコル喫茶店、一品堂書店・隣洋装の土屋・隣、中央まちかど公園、旧文化服装学院
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