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【成分連載】伝統の技とサイエンスの融合で肌の土台を整える「発酵由来成分」の世界

Image by: FASHIONSNAP

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 化粧品の成分を、専門家が解説する好評の連載、第11回は“コメ発酵液”や“ガラクトミセス発酵液”など「発酵由来の成分」に迫ります。発酵の歴史は紀元前までさかのぼり、現在では微生物の力と科学を融合した美容成分が登場。なかには100種以上の成分を含むものもあり、肌悩みの原因を多面的にケアするのが特徴です。

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 今回は伝統的な発酵と、最先端の発酵技術の双方に詳しく、お米を発酵したライスパワーエキスの開発元である、勇心酒造代表の徳山孝仁氏に聞きました。

勇心酒造 代表取締役社長 農学博士

徳山孝仁さん

安政元年(1854年)創業の造り酒屋「勇心酒造」の7代目として、幼い頃から酒蔵で発酵の世界に親しむ。東北大学農学部、東京大学大学院農学生命科学研究科において、科学的側面から発酵を研究。1998年勇心酒造に入社後、研究開発部、商品開発部を経て、2024年より現職。日本の伝統的な発酵技術から、最先端の発酵由来成分までを熟知するスペシャリスト。

発酵のルーツは紀元前から、食文化とともに発展

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発酵と聞くとチーズやワインなど食品のイメージがありますが、どのような歴史があるのでしょうか。

発酵は人類の食文化、特に「酒造」とともに発展してきました。起源については諸説ありますが、ビールの原型は紀元前3000年頃のメソポタミア文明時代といわれています。日本においては、弥生時代の土器から「酒器」が発見されており、稲作の伝来と共に酒造りが広がったようです。

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徳山氏

山羊型リュトン:酒器であるリュトンが多く出土することから、紀元前13~前7世紀のイランでは、お酒が嗜まれていたと考えられる。東京国立博物館所蔵。出典:ColBase (https://colbase.nich.go.jp)

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そんなに古くからあるんですね。ちなみに、食品と化粧品成分の発酵に、何か違いはありますか?

発酵のプロセス自体は同じです。微生物が有機物を分解・再構築して、別のものに変化させることを発酵といいます。微生物が代謝して生まれたものが「発酵代謝物」で、食品にも化粧品にも使われます。


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徳山氏

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発酵と腐敗はどう違うのでしょう?

発酵も腐敗も、微生物が有機物を分解し、別のものに再構築するという過程は同じです。結果的に生成されたものが、人体にとって有益なら発酵、有害であれば腐敗と呼びます。

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徳山氏

数多くの成分を含む、複合的な「発酵代謝物」

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発酵由来の成分は他の美容成分とどんな違いがあるんですか?

微生物が介在する点が、他の化粧品成分と大きく異なる部分です。微生物が生み出す「発酵代謝物」には、基本的に複数の成分が含まれています。例えば、お米を発酵させた弊社の「ライスパワーNo.11」には、アミノ酸類やペプチド類、ビタミン類など2000種以上の成分から構成されています。これはビタミンCなどの単一の成分と比較すると大きな違いと言えます。

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徳山氏

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すごい、そんなに沢山の成分が!

これらの成分が、肌悩みの原因を複合的にケアしてくれるんです。「シワ」を例にとっても、乾燥やコラーゲンの減少など、原因はさまざまですよね。このような複数の原因に対し、多面的なアプローチの可能性を持つことが発酵代謝物の大きな特徴です。

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徳山氏

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ということは、単一の成分よりも効果的なのでしょうか?

一概にそうともいえません。単一成分で特定の高い効果を実現できているものもありますし、発酵由来成分は全容がわかっていないこともあり、肌へのアプローチ法や効果も成分によってまちまちだからです。

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徳山氏

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「全容が分かっていない」とは、どういうことでしょうか?

現在の技術では、検出や解析ができない成分が含まれており、完全には分かっていないということです。そういった成分も含めて総合的に「肌や身体が本来あるべきバランス」へと導くことこそ、発酵由来成分が他の成分とは最も異なるポイントだと考えています。

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徳山氏

現代の科学で作る成分は分析や解析が可能。一方で、複合的な発酵代謝物は、解析できない成分も含め、総合的に肌や身体の機能にアプローチを図る。

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化学合成した成分とは、また違うんですね。

明らかに異なりますね。単一成分を数個~数10個組み合わせて、化粧品に配合することは可能ですが、成分数が100を越えるとそうはいきません。数千を超える成分を含む発酵代謝物を生み出す微生物の力に、敬意を抱かずにはいられません。

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徳山氏

発酵由来の成分は、微生物素材と発酵法がカギ

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発酵に関わる微生物って、どのくらいいるんですか?

深海などの極限環境にいる微生物は採取が難しく、正確には「わからない」というのが正直なところです。産業化された微生物の中で、発酵に関係する代表的なものはをあげるなら「カビ」「酵母」「細菌」の3つです。

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徳山氏

発酵に関与する代表的な微生物

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なんとなく酵母は体に良さそうですね。カビや細菌は悪さをしそうな気がします。

カビや細菌はよくないイメージがあるかもしれませんが、酒や味噌を造る「麴菌(こうじきん)」は、実はカビの一種なんですよ。

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徳山氏

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発酵する「素材」によっても、生み出される成分に違いはあるんですか?

異なります。素材は重要で、素材が持つポテンシャル以上のものは発酵させても出てきません。また素材と菌のバランスのほか、温度や湿度、発酵回数といった「プロセス」によっても変化します。そのため、成分の開発においては最も工夫を凝らす部分です。

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徳山氏

日本の発酵技術は世界でもトップクラス

ちなみに、日本が得意とするのは高度な発酵技術ですが、実は「発酵」自体はそんなに難しいことではないんです。

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徳山氏

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そうなんですか!?

1~2種類の微生物を用いて、発酵の過程も1回だけという、シンプルな発酵でも代謝物は抽出できます。近代発酵はこのような「単発酵」が中心で、化粧品の成分にも多く応用されています。

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徳山氏

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そんなに簡単に、発酵由来の成分ってできるんですね。

一方で、発酵のプロセスを数段階に分けて行う「多段発酵」は、さまざまな菌を色々な条件で連続的に発酵を行うため、非常に繊細な技術が必要です。手前味噌ではありますが、我々は多段発酵を得意としており、1600以上の微生物ライブラリーと、9000以上の発酵パターンを組み合わせることで、優しいだけでなく肌に有益な発酵由来成分を「デザインすること」を目指しています。

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徳山氏

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単発酵で生まれる成分とは、違うんですね。

誤解のないように申し上げると、単発酵は「特定の効果を持つ単一の成分」を、効率よく生成するのに有効で、創薬の分野でも応用されています。多段発酵では、1つの菌では叶わない、さまざまな肌効果の可能性を追求したい場合適していると言えます。

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徳山氏

発酵コスメはどんなものを選ぶのが正解?

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発酵由来成分を配合したコスメは何を選べばいいのでしょうか?成分を見ても単発酵なのか多段発酵なのかは、見分けがつかないですよね。

成分表記からは難しいですね。お米を発酵したら、単発酵でも多段発酵でも表記は同じく「コメ発酵液」です。最近注目の「ガラクトミセス発酵液」もどんな発酵技術を用いたかは表記では分かりません。メーカー公式サイトなどで、調べるのも1つの方法です。

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徳山氏

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製品の値段は、ある程度参考になりますか?

参考にはなるかもしれません。シンプルな発酵はコストを抑えられるものもありますが、多段発酵は高度な技術と手間が必要で、その分コストもかかると予想できるからです。

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徳山氏

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複合的な発酵代謝物の中で、含まれる成分が多いものを選んだ方が良いのしょうか?

一概にそうともいえないんです。複合成分ならではの効果を発揮するためにはある程度の成分数が必要ではありますが、発酵由来成分の多くは検出不可能な成分を含んでいるケースもあります。ですので、カウントできる成分数だけでは判断ができないためです。

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徳山氏

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ますます何を選べばいいのか、迷ってしまいます…!

あえて言うなら、発酵代謝物は水に溶けやすい性質があるため、ローションや乳液、美容液など、水分の多いアイテムで力を発揮しやすいです。ただし、クリームのような製品でも、他の成分とのバランスで肌悩みをケアするように処方設計されていますから、「肌悩みは何か」「何を目的に使うのか」に合わせて選ぶことが大切でしょう。化粧品は「処方全体によって力を発揮する」ものなので、そこが重要になってきます。

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徳山氏

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ここまで色々お話しを聞いて、発酵の世界って奥が深くて驚きました。

発酵は人類の歴史とともに進化してきた技術です。そういう意味でいうと「発酵由来成分」は最も古くからある化粧品成分といえるかもしれません。今後の可能性を秘めた分野でもあり、ぜひご注目いただけたらと思います。

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徳山氏

■成分連載

美容ライター

宇野ナミコ

Namiko Uno

日本大学芸術学部卒業後、女性誌の美容班アシスタントを経て独立。美容ライター歴30年以上。担当分野はスキンケアを中心に、メイクアップ、ヘアケア、フレグランス、美容医療まで多岐に渡り、丹念な取材を元にした記事に定評がある。主な媒体:FASHIONSNAP「成分連載」、FIGARO.jp「CA美容」「推し香水を語る会」、WWD Japan.com、25ansDIGITAL、婦人画報など。

最終更新日:

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