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藤原しおりと考えるサステナブルファッション、ユニクロのリサイクルダウンジャケットができるまで【後編】

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 ユニクロのリサイクルダウンジャケットができるまでーー。前編では藤原しおりさんと滋賀県・瀬田工場への工場見学を通じてダウン商品がどのようにリサイクルされるかという工程を見てきました。後編では工場見学を終えた藤原さんと今回のプロジェクトのキーパーソンであるユニクロのサステナブル事業を担当するコーポレート広報部ソーシャルコミュニケーションチームリーダーのシェルバ英子さん、商品本部MD部部長の齋藤源太郎さんととともにサステナブルファッションについて考えます。

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藤原しおりと考えるサステナブルファッション、ユニクロのリサイクルダウンができるまで【前編】

「リスクしかないけど」サステナビリティについて発信する理由

シェルバ:今日はお越しいただきありがとうございます。工場でいかにダウンジャケットがリサイクルされるか、私たちの実際の取り組みを直に見ていただけて嬉しいです。藤原さんはご自身のSNSなどでサステナビリティについて発信を行っていますよね?

左から藤原さん、シェルバさん、齋藤さん
左から藤原さん、シェルバさん、齋藤さん

藤原しおり:こちらこそ今日はありがとうございます。私自身今年3月にブルゾンちえみを卒業して、これからは藤原しおりとして、自分が興味関心のあることを発信していこうと活動する中で、以前から関心のあった環境のことについて改めて自分で色々と考えるようになったんです。

 サステナビリティに対する自分の考えというのは小さい時に環境問題を学校の授業などで学んでいる中で、私が地球を守らなきゃっていう、幼いながらに責任感のようなものが芽生えたのが始まりです。でも周りからは面倒くさがられたり、私がいくら一人で頑張っても意味ないのかな、ってその時は気持ちを封印したんですね。ただ最近、「SDGs」(持続可能な開発目標)や「サステナブル」というワードを耳にするようになって、そんな時代になったんだな、と驚いて。自分の中には長くあった考えだったので、色々と調べたり話を聞いたりしてSNSなどでも発信するようになりました。

 そういったことに対して"きれいごと"だとか"偽善”と言われることもあり、ジレンマやもどかしい気持ちも多々あります。このネット社会で自分の意見を発信することはリスクしかないといえばそうなんですけど、ただ誰かが言うのを待って人任せにするのは嫌だし、格好悪いなとも思いますし。

 ファッションは個人的にも好きで自分自身を表すアイデンティティだと思っています。ですがサステナビリティを語る上で一番どうしようと思っているのが実は服だったりするんです。やっぱりまだ欲しい服と環境を守ることとが一体化していなかったりするので。なので今一番関心があるのが衣類のサステナビリティなんです。

 お二人を前にしてあれなんですが、正直、私は企業を敵対視してきたというか。環境を破壊しているのは企業だ!みたいな変な先入観を持ってきました...。なので今日、実際に服がリサイクルされる工程を見ることができてすごく嬉しかったです。

シェルバ:藤原さんがおっしゃることは、痛いほどよくわかります。私は入社以来、サステナビリティの分野を担当してきてかれこれ20年になります。入社してから社会貢献室という部署の立ち上げに携わりましたが、当時は社会への恩返しというような形で店頭で募金活動などを行っていた程度で、会社として本当にビジネスを変えていくという気概や考えはまだまだなかったように思います。

 海外進出など事業が成長するにつれて、サステナビリティへの意識が高い欧米を中心に環境への配慮や人権問題について業界全体の問題として表面化するようになってきました。募金活動のような今までプラスαの感覚で取り組んでいた事業が、完全にビジネスに直結した戦略に変わってきたのが2006年くらいのことです。

 そこから社内でも存在を認識されるようになり(笑)、2017年には部署の名前も変わりました。以前は齋藤のいる商品開発部のような花形部隊の人たちと仕事をすることなんて考えられなかったですね。一緒に何かできないか?と言われるようになったのがここ2〜3年ですね。

社内の空気が変わった柳井社長の一言

齋藤:社長の柳井が「サステナビリティが本業」ということを言い始めてから社内の空気がガラッと変わったんです。儲けを出すということは企業が生き残っていくために必要なことですが、サステナブルも同じくらいの力でやっていくことがこれからのビジネスなんだ、ということを社内で共通認識できるようになり、ここ数年で僕たちの意識もすごく変わったんです。

藤原:サステナブルへの意識が変わったことで社内での変化もあったんですね。とはいえユニクロは服を売る会社。私がサステナブルを呼びかける立場で思うのは、環境にいいものが本当はベストだけどそこにファッションと噛み合うものが少ないというか。皆「環境を守る=何かを我慢する」ということは避けたいので、このバランスはアパレル企業としては難しいところだろうなと思います。

齋藤:まさにその通りです。当初、今売っているダウンジャケットに一部ピュアな素材とリサイクル素材を混ぜて売る、だとか通常のウルトラライトダウンの中身にリサイクル素材を使ってみよう、といった色々なアイデアが上がりました。議論を進めていく中で、「それで果たしてお客様に欲しいと思って頂けるか?」という考えがよぎるんです。サステナブルな商品なのはわかるけど、別にそこまで欲しくないよね、となったらコストがかかるだけでやる意味がない。そこでルメールさんの力を借りてデザインに定評のある「ユニクロユー(Uniqlo U)」から出して服単体としても魅力的な商品にしようということになったのです。

瀬田工場で取り出されたダウン
瀬田工場で取り出されたダウン

ユニクロができる最もサステナブルな服作りとは?

藤原:なるほど。この「リユニクロ(RE.UNIQLO)」のプロジェクトはユニクロの商品をリサイクルするという取り組みですが、他にもユニクロの中でサステナブルな取り組みってどういったことがあるんですか?

齋藤:そもそもの話になりますが、まず、ユニクロは自分たちをファストファッションブランドとは謳っていません。我々の主軸はあくまでもLifeWearとしてお客様にとってエッセンシャルな商品です。これは短いスパンでトレンド寄りの商品を投入するモデルと比べて非常にサステナブルなサイクルでもあります。

 ダウンジャケットに話を戻すと、今回の商品のように素材をリサイクルするという方法もありますが、我々は自分たちで企画から製造・販売まで手掛ける企業なので「必要な分だけを無駄なく作る」というマーチャンダイザーとしての本業を全うすることが結局のところ最もサステナブルなアクションだと思っています。ユニクロでは廃棄処分は一切行っていないのでセールでも最後の1枚まで売り切るというスタンスで商売をしています。ただ需要と供給のギャップをゼロにすることは最も難しく、AI予測などの技術を駆使していますが、まだまだ改善が必要です。

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藤原:資本主義の原理で市場が成り立っている以上、買ってもらわないと始まらない。それは一方で環境を守ることと相反するというか、経済活動を止めることでもあるという、この二極間のせめぎ合いですよね。

シェルバ:ヨーロッパではサーキュラーエコノミー(循環型経済)を整備するための法改正が近く施行されると言われています。私はこの考えが今後のグローバルスタンダードになることで、従来の資本主義のあり方も変わってくると思っているんです。この第3の道に対して、今から順を立てて取り組むことが、私たちのやるべきことなのではないかと。

藤原:環境問題の話をしていると経済か環境かみたいに天秤にかけることが多いですが、もはやそんな極端な話をする時代でもなくなってきたわけですね。サーキュラーエコノミーの実現に向けては消費側と企業側の双方の継続的な努力なしには訪れないような気がします。今回のダウンジャケットはユニクロの中でリサイクルプロダクトの一例として誕生したわけですが、これをどう今後の企業活動に広げていくのでしょう?

齋藤:この商品を皮切りにユニクロとしてもっと色々なことができると思っています。例えば、ヒートテックなどユニクロの主力商品の「服から服へのリサイクル」のような技術開発は当然進めていかないといけないですね。我々はアパレル業界の中でも特に数量を売っている企業なので、リーディングカンパニーとして業界を牽引するような姿勢を常に示さないといけません。とは言え法律の関係で、リサイクル商品を販売できないという地域もあるのですが、サステナブルな服作りが産業として成り立つような仕組みになっていければいいと思っています。

藤原:今日はユニクロだけの話を聞いたり、東レの工場だけを見るのではなく、双方が連携して成り立っているというプロジェクトの全体像を見ることができてよかったです。実際、アイデアはあってもそれを実現するための技術や環境ってなかなか難しいですが大企業だからこそそれが可能なわけですし、業界を引っ張っていって欲しいですね。生地から羽毛を少しでも多く取り出すといった技術革新の積み重ねが、大きな一歩になっていくんだなと感じましたね。

 サステナブルの話っていつも「環境を守ってみんなでハッピー」みたいなふわっとした感じになりがちなんですけど(笑)、プロフェッショナル同士が論理的なプロセスで課題に対して本気で向き合う姿を見ることができて正しい表現かわからないですが、勇気をもらったような気がします。私が小さい頃感じていた危機感に対して社会はちゃんと進んでいるんだ、ということを実感できて、一消費者としてもそういったもの選んでいきたいなという気持ちが一層強くなりました。環境を守ることって理想論に走りがちなんですけど、その理想を技術や知恵で一つ一つ解決していくことができるんだな、と。今日はありがとうございました。

「ダウンリサイクルプロジェクト」回収キャンペーンを今年も実施

 昨年から始まった店舗でのダウン商品の回収活動が今年はグローバルに拡大して展開。国内のユニクロ全店舗・オンラインストアで税別5,000円以上の購入で利用できる500円分のデジタルクーポンを発行。(ダウン商品の回収はデジタルクーポン発行期間終了後も継続)
商品回収場所:国内のユニクロ全店舗。レジにてスタッフが回収
デジタルクーポンの発行期間:〜2020年12月3日(木)
デジタルクーポンの利用期間:〜2021年2月28日(日)
公式サイト

藤原しおり インスタライブ supported by UNIQLO

 今回の工場見学を振り返って藤原しおりさんのインスタグラムアカウントでライブ配信を実施。新作ダウンジャケットのコーディネート術やサステナブルファッションについてトークするほか、FASHIONSNAP.COMユーザーからのQ&Aなどに答えます。
日時:11月1日(日)21時スタート予定
@shiori_f83

■Uniqlo U リサイクルダウンジャケット:公式サイト(11月2日発売)

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