
Image by: CFCL
効率化が加速する現代に、ファッションはどのように人の心を豊かにできるのか。「シーエフシーエル(CFCL)」が2027年春夏パリファッションウイーク最終日にパレ・ド・トーキョー(Palais de Tokyo)で発表したコレクションは、そんな問いと向き合うものだった。軽やかな素材と柔らかな色彩を通して、感性に訴えかけるニットウェアの可能性を探った。
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着想源はアアルト建築
着想源となったのは、フィンランドの建築家アイノ・アアルトとアルヴァ・アアルトの建築だ。デザイナーの高橋悠介は、ジュエリーブランド「カレワラ(Kalevala)」とのコラボレーションをきっかけにフィンランドを訪れ、アアルト夫妻の建築をリサーチ。そこで触れたのが、機能と美しさを調和させ、人々の暮らしに寄り添うデザインの思想だった。

なかでも重要なインスピレーションとなったのが、1933年に完成した結核患者のための療養施設であるパイミオのサナトリウム。患者の回復を考慮したイエロー、ブルー、レッド、グリーンなどの色彩が用いられており、今季の差し色に採用している。

さらに、同施設が完成した30年代のファッションにも目を向けた。ガブリエル・シャネルやマドレーヌ・ヴィオネらが手掛けた、身体を締め付けないシルエットやバイアスカットによる優美なドレープ、実用性を備えながらも軽やかな服に魅力を感じたという。高橋は布が揺れる動きや、透ける生地に光が差し込む瞬間の美しさを、シアーなニットや柔らかなシルエットへと取り入れている。
カレワラと初コラボジュエリー
ショーは、ニットパーツを鱗のように重ねたグレーのドレスで幕を開けた。四角に編んだパーツを一つずつ手作業で縫い付け、歩くたびにフリンジのように揺れる。同じ装飾はバッグやシューズにも施している。


ネックレスとドレスを一体化させたようなルックは、カレワラとの初のコラボレーション「ライネ(Laine)」。フィンランド語で”波”を意味し、ネックレスの端には、CFCLを代表する「ポッタリー(POTTERY)」シリーズのフレアシルエットを思わせる、花のような装飾が目を引く。


コラボでは、ニットウェアと合わせる彫刻的なブローチを中心に、イヤーカフ、ピアス、ネックレス、リングなどをラインアップ。いずれもシルバーで鋳造し、フィンランド・モダニズムに見られるミニマルで有機的な造形を目指したという。ドレスと組み合わせたものは特別なショーピースで、ニットウェアとジュエリーの融合を表現した。


鮮やかな色彩と躍動感あるシルエット
グレーとモノトーンで始まったコレクションは、中盤からピンクやブルーなどの色彩が加わり、表情を変えていく。ポッタリーシリーズは、裾にゴムを通してバルーンシルエットに再構成。パンツの裾をウエストのコードに通し、ギャザーを寄せたデザインは、歩くたびに風をはらんで流れるように揺れ、ランウェイに軽快なリズムを生み出した。


ワンショルダーのデザインも繰り返し登場。片肩を大胆にのぞかせながらボリュームのあるフォルムが印象的だった。


グラデーションが生む透明感
後半は、淡いグラデーションが際立った。窓から差し込む光が生む陰影やレースカーテン越しの柔らかな光にヒントを得て、透明感のあるナイロンやポリエステルをベースに染色したもの。カラーセラピーを思わせる穏やかな色合いが心地よい。


韓国のDJデュオのパフォーマンス
会場演出にも、今季のテーマが反映されていた。「Dreamy Living Room」をキーワードに、床に沈み込むような椅子や無造作に置かれたフルーツを配し、日常と非日常が緩やかに交錯する空間を演出。韓国発DJデュオのサラマンダ(Salamanda)による有機的なサウンドが、その世界観を引き立てた。
広がる夏のニットの可能性
高橋はショー後のインタビューで、AIによって効率化が進む今だからこそ、人間らしい感覚や日常の中にある美しさが、より大切になると語った。繊細な透け感や柔らかな色彩で、夏のニットウェアに軽やかさをもたらし、冷房の効いた室内や朝晩の寒暖差にも心強いジャケットやカーディガンなど、日常に取り入れやすいアイテムも充実。ランウェイならではの華やかさと、現実のワードローブとしての実用性を両立させた。ブランド名に掲げる「Clothing For Contemporary Life(現代生活のための衣服)」という理念を体現し、アアルト夫妻の思想にも通じる、機能と美しさの“調和”が形になっていた。


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