ラグビーのユニフォームを着てショーに登場したジョナサン・アンダーソン
Image by: JW ANDERSON
ジョナサン・アンダーソン(Jonathan Anderson)は、アイルランド代表のラグビーのユニフォームをまとってショーのフィナーレに登場した。「JW アンダーソン(JW ANDERSON)」の2024年メンズ 春夏&ウィメンズ リゾートコレクションは、同氏の身近なものからインスピレーションを得つつ、イギリスの伝統を壊し、スポーティなシルエットとラグビーストライプの再解釈を試みた。
ジョナサン・アンダーソンという人物
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アンダーソンは、1984年北アイルランド生まれ。2005年にLCF(ロンドン・カレッジ・オブ・ファッション)を卒業した後、2008年にメンズブランドとして「JW アンダーソン」を立ち上げた。若くしてその才能が認められ、2013年、20代最後の年に「ロエベ(LOEWE)」のクリエイティブディレクターに就任。以後10年間スペイン発のメゾンブランドを率いている。
幼少期はディスレクシア(知的に問題はないものの読み書きの能力に著しい困難を持つ症状)に悩まされたという同氏は、言語以外の方法で自身の考えや思いをいかに表現するかを模索したはずである。その過程で、表象を表象として捉え発信する力が養われ、ファッションクリエイションとして結実し、自身のブランドに加え、ロエベ、そしてユニクロとのコラボレーションコレクション「UNIQLO and JW ANDERSON」を手掛けるに至っている。
ラグビーストライプの再解釈
そんなアンダーソンの父はラグビーアイルランド代表として活躍したウィリー・アンダーソンで、ショー当日が父の日(6月18日)だったことから、ラグビーのユニフォームを着用。近年ビッグトレンドには昇ってこないラガーシャツだが、9月に「ラグビーワールドカップ 2023 フランス」が控えていることもあってか、コレクションではラガーシャツが登場。ボンディング生地でハリ感を持たせもの、細めのストライプを採用することでモダナイズにアップデートしたものなどが披露され、それにスクエア状の布が飛び出したようなシンメトリーパンツをスタイリングして差異を生み出している。なお、ブルー&ホワイトのストライプは、今年100周年を迎えるイギリスの伝統的なテーブルウェアブランド「コーニッシュウェア(Cornishware®)」とのコラボで、コーニッシュウェアの磁器のストライプと色合いをアイテムに落とし込んだ。
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深いVネックとうねり、ワードローブに違いを付けるディテール
過去の偉人を挙げずとも、古くからファッションの歴史に名を残すデザイナーの共通項として新たなフォルムを生み出す、ということがあるが、もともとジェンダーレスなデザインで新しさを追求してきたJW アンダーソンは、今シーズンも形への探究を深めている。腰まで開いたVネックニットや胸元がV状に抉られたフーディーなどで作るシャープさと、JW アンダーソンらしいハンカチーフヘムのドレスや隆起させたニットで表現したうねり、大量の毛糸玉で作る半袖トップスの凹凸など、独自のカッティングに奥行きを持たせたフォルムを追求した。なお、毛糸玉トップスはショーピースで、量産の予定はないという。
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身近なものからのディベロップ
同コレクションでは、コーニッシュウェアとのコラボもそうだが、日常生活の中にあるものをコレクションに落とし込んでいる。JW アンダーソンのスタジオにあるベージュのソファのリネン素材から着想したというテキスタイルをプルオーバーやイージーパンツに用いていたりと、何気なく過ごす日常の中で得たインスピレーションをアイテムに反映した。身近な人やものなどに対する感謝や愛着を詰め込んだ2024年メンズ 春夏&ウィメンズ リゾートコレクションは、アンダーソンのパーソナルな感性に触れられると共に、同氏の表象への眼差しを詳らかにしたものである。
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