パリ・ファッションウィーク5日目の9月29日、日が暮れかけた19時のパリ市庁舎(オテル・ドゥ・ヴィル)前に、黒い人だかりができていた。ここは「ヨウジヤマモト(Yohji Yamamoto)」がランウェイショーを毎シーズン開催している会場。今回の2024年春夏コレクションも、大きなシャンデリアが垂れ下がる大広間にランウェイが設置された。フロントロウには「ヴェトモン(VETEMENTS)」のグラム・ヴァザリア(Guram Gvasalia)や、「キッドスーパー(KidSuper)」のコルム・ディレイン(Colm Dillane)といったデザイナーらの姿もあった。
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女性の肌を露出
白くペンキが塗られた質素な板がランウェイとなり、煌々と照らすライトの下に登場したファーストルックは、黒のボディに白の袖を付けたノーカラージャケットのセットアップ。クラシカルで清楚なイメージを2ルック目も引き継ぎながらも、スカートが膝上のミニ丈となり新鮮な印象を与えた。
今シーズンの特徴は、ドレスやテーラードのベースとなる身体に沿ったシルエットと、肌の見せ方。ミニスカートだけではなく、シースルー素材やカットアウトのデザインにより、様々な手法で女性の肌を露出した。
背中や脇腹を切り裂かれたように斜めに入ったスラッシュ部分からレースを覗かせたり、分断されたピースを細いリボンでつないだディテール、そして短丈のベストとメンズライクなパンツを合わせたヘソ出しスタイルなど。これだけ肌を露出していても決して性的な印象を与えず、強さと儚さ、フェミニンとマニッシュが絶妙に混じり合ったバランスは、ヨウジヤマモトならではだろう。
山本耀司が世界について考えること
ショー終了後のバックステージで特別に行われた山本耀司へのインタビューにて、今シーズンの特徴だった肌の露出についてたずねると「女性の肌は、黒を合わせると綺麗なんです。知っているでしょう? 僕はただ、それを繰り返しているだけ」と答え、微笑んだ。
40年以上にわたりコレクションを発表し続けているパリでは今年、直営店をリニューアルしたばかり。またニューヨークや台湾への新規出店といったグローバル展開が加速している中、世界をどのように見ているかを聞くと、こんな答えが返ってきた。
「今世界は、簡単に言うと危ない。第三次世界大戦が始まりそうなんです。だから少なくともアーティストは、そうではない何か違うものを、皆にみつけてほしい」。
バックステージでは、先シーズンに引き続きショーに出席したグラム・ヴァザリアが山本に挨拶を求める姿も。ファッション界に影響を与え続けているマエストロへのリスペクトを感じさせた。
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