Image by: CHANEL, Getty Images, A. Codognato

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ファション業界の春の一大行事である「メットガラ」が今年も開かれた。ドレスコードの「Fashion Is Art」をデザイナーやブランドが各々の解釈で落とし込んだ煌びやかな装いは、瞬く間にSNSを埋め尽くした。会場となったメトロポリタン美術館(MET)コスチューム・インスティチュートでは、展覧会「Costume Art」が5月10日から2027年1月10日まで開催される。
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華やかな場であるメットガラだが、今年はそれだけに留まらないトピックにも注目が集まった。今回の展覧会「Costume Art」は、同館の新たな展示スペースのこけら落としであり、長年メットガラを仕切ってきたアナ・ウィンター(Anna Wintour)は、昨年米国版「ヴォーグ(VOGUE)」編集長を退任(ホストは継続)。リードスポンサーとしてアマゾン(Amazon)共同設立者のジェフ・ベゾス(Jeff Bezos)およびローレン・ベゾス(Lauren Bezos)が加わるなど、運営面にも転機が訪れている。今年のメットガラを賑わせた注目のルックと共に、知っておきたいトピックを紹介する。
目次
メットガラとは?
ニューヨークのメトロポリタン美術館(MET)コスチューム・インスティチュートが毎年開催する、ファッションにまつわる展覧会のオープニングに際して開催されるイベント。毎年、現地時間で5月の第1月曜日に行われる。セレブやデザイナーなどの著名人たちが、テーマに沿った豪華な衣装でレッドカーペットに登場することから“ファッション界のアカデミー賞”、“モードの祭典”とも称される。
今年の展覧会テーマは「Costume Art」
今年の展覧会「Costume Art」は、“衣服をまとう身体”に焦点を当てる。古典から現代の美術史で扱われてきた身体像や、老い、妊娠といった変質的な身体、今を生きる私たちの普遍的な身体といった、多様な視点から紐解く。同展のキュレーター・インチャージ(担当学芸員・最高責任者)であるアンドリュー・ボルトン(Andrew Bolton)は、「我々が注目しているのは、衣服がどのように身体を拡張し、再定義するかだ。『コスチューム アート』とは、理想化された美の追求ではなく、裸体や加齢、妊娠といった『生身の身体』と衣服の対話を指している」とコメント。「“衣服をまとう身体”をアートの中心へと据える」「アート作品同士、そして“身体”同士を同等の存在として扱う」という考えから、ボルトンによる展覧会としては初めてサブタイトルを持たないタイトルを命名したという。
また、会場となる新たな常設ギャラリー「コンデ・M・ナスト・ギャラリー(Condé M. Nast Galleries)」は、これまでのメットガラを通じて集めた資金で設立。運営パートナーのコンデナスト社の名前がつけられている。
ドレスコードは「Fashion is Art」
展覧会と呼応するメットガラのドレスコードは「Fashion is Art」。このメットガラの開催をサポートする、豪華な共同ホストも毎年トピックのひとつ。共同ホストはその年のイベントを最も象徴するメンバーで、今年は、アナ・ウィンターをはじめ、10年ぶりのメットガラ凱旋となるビヨンセ(Beyonce)や、ニコール・キッドマン(Nicole Kidman)、ヴィーナス・ウィリアムズ(Venus Williams)が名を連ねた。ホスト委員会の共同委員長は、アンソニー・ヴァカレロ(Anthony Vaccarello)とゾーイ・クラヴィッツ(Zoe Kravitz)が務めた。リードスポンサーとしてジェフ・ベゾスとローレン・ベゾスが参画したことも、メットガラの新局面として話題をさらった。
また、イベントを盛り上げる強力なサポーターとなるホスト委員会のメンバーとして、サブリナ・カーペンター(Sabrina Carpenter)、ドージャ・キャット(Doja Cat)、グウェンドリン・クリスティ(Gwendoline Christie)、アレックス・コンサーニ(Alex Consani)、ミスティ・コープランド(Misty Copeland)、エリザベス・デビッキ(Elizabeth Debicki)、レナ・ダナム(Lena Dunham)、パロマ・エルセッサー(Paloma Elsesser)、リサ(LISA)、クロエ・マル(Chloe Malle)、サム・スミス(Sam Smith)、テヤナ・テイラー(Teyana Taylor)、ローレン・ワッサー(Lauren Wasser)、アナ・ウェイアント(Anna Weyant)、エイジャ・ウィルソン(A'ja Wilson)、イズールト(Iseult)、アダット・アケチ(Adut Akech)、アンジェラ・バセット(Angela Bassett)、シネイド・バーク(Sinead Burke)、レベッカ・ホール(Rebecca Hall)、エイミー・マリンズ(Aimee Mullins)が来場した。
華やかな舞台で輝きを放った衣装を一挙に紹介する。
アン・ハサウェイ:マイケル・コース

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ファッション映画の金字塔「プラダを着た悪魔 2」の公開で、今年のファッションシーンに欠かせない存在となっているアン・ハサウェイ(Anne Hathaway)。映画のプレミアでもさまざまなブランドのドレスを着こなしてきたアンがまとったのは、「マイケル・コース(MICHAEL KORS)」のカスタムガウン。ブラックのシルク地にミカド素材を組み合わせたドレスに描かれたイラストは、マイケル・コースと友人のアメリカ人アーティスト ピーター・マックガフによるもの。鳩や花、平和の女神といったモチーフが描かれた芸術的な一着になっている。
リアーナ:メゾン マルジェラ

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昨年はテーマの「あなただけの仕立て(Tailored For You)」を表現した大胆なマタニティルックを着用し、会場で第3子の妊娠を発表するなど、着こなし以上の話題に事欠かないリアーナ(Rihanna)。今年は「メゾン マルジェラ(Maison Margiela)」のドレスで登場。ショルダーから体を包み込むようにデザインされた彫刻的なガウン一体型のドレスは、メタリックな生地が立体感を演出。無数のビジューが縫い付けられたボディ、カールヘアを模したようなジュエリー付きヘッドピースなど、細やかな意匠を散りばめたルックを着こなした。
ビヨンセ:オリヴィエ・ルスタン

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ファン待望の“凱旋”となったビヨンセが選んだのは、昨年11月に「バルマン(BALMAIN)」のクリエイティブディレクターを退任したオリヴィエ・ルスタン(Olivier Rousteing)によるドレス。ふたりは、2023年に共同でクチュールコレクション「ルネッサンス・クチュール」を制作し、ビヨンセの「ルネッサンス・ツアー」に衣装を提供するなど親交を深めてきた。ルスタンによるカスタムウェアは、ネイキッドドレスにゴージャスなストーンで装飾した骨のモチーフをあしらい、“ボディアート”のようなルックに仕上げた。
ジェニー:シャネル

Image by: CHANEL
初めて4人全員がメットガラに出席したブラックピンク(BLACKPINK)。“人間シャネル“と称されるジェニー(JENNIE)はもちろんアンバサダーを務める「シャネル(CHANEL)」から、アワーグラスシルエットのストラップレスドレスをチョイス。1万5000個以上のブルーのメタリックスパンコールで繊細なリーフモチーフを描き、ゴージャスな一着に。制作には540時間がかかったという。夜会巻きのようなタイトなアップヘアに細いアーチ眉、血色を抑えたリップといった、衣装展示のモデルのようなヘアメイクにも小技が光った。
ニコール・キッドマン:シャネル

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ニコール・キッドマン(Nicole Kidman)は、今年の共同ホストとして来場。全面にスパンコールが施されたシャネルの真紅のロングドレスで視線を集めた。カフスとウエストを赤い羽根やオーガンジーの花で装飾。このドレスの制作には800時間を要しており、今回のシャネル アンバサダー陣の中でダントツとなっている。
マーゴット・ロビー:シャネル

Image by: CHANEL
アイコンフレグランス「シャネル N°5」のキャンペーンなどに起用されているアンバサダーのマーゴット・ロビー(Margot Robbie)は、ラメ糸が煌めくゴールドのロングドレープドレスで登場。背中には花びらがグラデーション状にあしらわれたフリルと、羽根で装飾されたゴールドの花があしらわれている。1080個のパーツを刺繍し、制作には761時間がかかったという。
エイサップ ロッキー:シャネル

リアーナとのメットガラでの夫婦ルックが恒例のエイサップ・ロッキー(A$AP Rocky)はシャネルでドレスアップ。シルクと羽根で作られたカメリアがアクセントになったピンクのウールローブに、ブラックのパンツ、ホワイトのプラストロンシャツを着用。胸元のブローチには、18Kピンクゴールド、ダイヤモンド、ピンクサファイアがあしらわれている。
バヴィータ・マンダヴァ:シャネル

(左から)バヴィータ・マンダヴァ、アワー オディアン
Image by: CHANEL
インド人初のアンバサダーに就任したバヴィータ・マンダヴァ(Bhavitha Mandava)は、一見するとハーフジップトップスにブルーデニムというラフな装いに見え、SNSでは「カジュアルすぎる」との声も上がった。だが、このルックは上質なシルクモスリンで仕立てられたもので、シャネルの2026年春夏オートクチュールコレクションで披露された高度な職人技を注ぎ込み、約250時間をかけて制作されたという。さらにこのスタイルは、彼女が初めてシャネルのショーでオープニングを務めた2026年メティエダール コレクションのルックとも連動している。日常着のように見せながら技巧を凝らすトロンプルイユの手法は、「Fashion is Art」というドレスコードに沿った表現と言える。
グレイシー・エイブラムス:シャネル

Image by: CHANEL
映画監督・プロデューサーのJ・J・エイブラムスを父に持つ、歌手のグレイシー・エイブラムス(Gracie Abrams)は、グスタフ・クリムトの「接吻」をはじめとした作品からインスパイアされたドレスを着用。ボディにはマルチカラーのクリスタルとゴールドのスパンコールを刺繍し、スカート部分に柔らかなシフォン素材をドッキング。繊細なチェーンをあしらい、立体的なルックに仕上げている。
リサ:ロバート ウン

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今年のホスト委員会として来場したリサ(LISA)は、香港生まれのデザイナー ロバート・ウン(Robert Wun)によるウェアを着用した。トランスペアレントでイノセントなムードを備えたスパンコール付きのホワイトドレスに取り付けた、タイ舞踊のポーズから着想を得たアームパーツが特徴。このアームパーツは実際にリサの腕を3Dスキャンして制作したという。シューズは「ジャンヴィト ロッシ(Gianvito Rossi)」のもの。
大坂なおみ:ロバート ウン
プレースタイルだけでなく、ファッションでも強烈なインパクトを残す大坂なおみは、3000時間以上かけて作られたロバート ウンのカスタムルックに身を包んだ。たっぷりと裾が広がるホワイトのガウンは、カッティングの内側から繊細なフェザーが飛び出すようなデザイン。ガウンの下にはレッドのスワロフスキークリスタルを無数に縫い込んだドレスを着用した。
ロゼ:サンローラン

Image by: SAINT LAURENT
ロゼはアンバサダーを務める「サンローラン(SAINT LAURENT)」による、シルクサテンのブラックドレスで出席。ミニマルなスタイルを一気に芸術的に仕上げる鳥のモチーフの巨大なブローチは、同じくアンバサダーの「ティファニー(Tiffany & Co.)」によるものでダイヤモンドが散りばめられている。鳥のモチーフはサンローランのコレクションに何度か登場しており、2026年秋冬シーズンは鳩のアクセサリーがルックを彩った。
マドンナ:サンローラン

Image by: A. Codognato
“クイーン・オブ・ポップ”のマドンナ(Madonna)が着用したのはサンローランのカスタムドレス。幽霊船のようなヘッドアクセサリーとドレスから伸びるシフォン素材のケープを、“7人の侍女”が支えるというポエティックな演出とともに登場した。ブラックのロンググローブをはめた指先を彩るのは、イタリアで1866年に創業されたジュエリーブランド「A. Codognato」のリング。
ヘイリー・ビーバー:サンローラン

Image by: SAINT LAURENT
ヘイリー・ビーバーはラヴァリエール(ボウタイ)付きのブルーのシルクシフォンドレスで登場。彫刻的なシルエットを引き立てるように、24金のボディス(胴衣)を組み合わせ、“ボディスカルプチャー”を体現した。
チャーリーXCX:サンローラン

Image by: SAINT LAURENT
発案・主演を務める映画「ザ・モーメント(The Moment)」の公開を控えるアーティストのチャーリーXCX。シルクチュールのブラックドレスには、レジンでアイリスの花を模ったモチーフをあしらった。アワーグラスシルエットのドレスからシルクチュールのトレーンが広がるエレガントなデザイン。足元はプラットフォームサンダル「シャンデル(CHANDELLE)」を合わせた。
ジス:ディオール

Image by: Dior
BLACKPINKの4人の中でメットガラ初参加となったジス(JISOO)は、アンバサダーの「ディオール(Dior)」によるカスタムドレスを着用。バリエーション豊かなピンクのスパンコールを刺繍したボディに、オーガンジーやパール、シルバーパーツなどを組み合わせたフラワーモチーフを縫い付け、立体感のあるデザインに。ウエスト周りの花弁のようなディテールや、淡いピンクの“ブルーミングメイク”で世界観を統一。アートに造詣が深いクリエイティブディレクターのジョナサン・アンダーソン(Jonathan Anderson)が、庭園を持つほど花を愛したムッシュディオールの哲学をアーティスティックに表現した。ネックレスは「カルティエ(Cartier)」のもの。
サブリナ・カーペンター:ディオール

Image by: DIor
ホスト委員会のメンバーを務めるサブリナ・カーペンター(Sabrina Carpenter)は、1954年公開の映画「麗しのサブリナ」の主演オードリー・ヘプバーンをオマージュ。スリット入りのブラックドレスのボディには映画のフィルムを用いており、よく見ると出演者たちの顔が。1950年代のクラシックな内巻きヘアに、ビジュー付きのヘッドピースで“オールドスタイル”に仕上げた。
ミランダ・カー:ディオール

Image by: Dior
ミランダ・カー(Miranda Kerr)はラインストーンの花が刺繍されたドレープオーガンジーの背中が開いたトップスと、花とプルメティスの刺繍が施されたジョーゼットのスカートを組み合わせた。オープンなデコルテ、シースルーな足元でコントラストを効かせ、ウエストに大胆なシェイプのリボンをあしらい、クリーンなホワイトルックを芸術的に仕立てた。
カリナ:プラダ

K-POP勢からは、エスパ(aespa)のカリナ(KARINA)とニンニン(NINGNING)も参戦。カリナはアンバサダーを務める「プラダ(PRADA)」のドレスをチョイス。ジェットビーズとシルバークリスタルが刺繍されたホワイトのサテンドレスは、タブリエドレスのようなスクエアネックが特徴。これは韓国の伝統衣装「韓服(ハンボク)」から着想したものだという。ブラックサテンのイブニングケープ、シルバーのレザーサンダル、ホワイトゴールド、ペリドット、アメジスト、ダイヤモンドを使用したプラダ ファインジュエリーのイヤリングで、モノトーンのシックなスタイルにまとめ上げた。
ハンター・シェイファー:プラダ

プラダのアンバサダーを務めるハンター・シェイファー(Hunter Schafer)のドレスは、クリムトの絵画「マダ・プリマヴェージ」からインスパイア。エンパイアウエストのシルエットを採用したリネンガウンに、一部を溶解してデヴォレ加工を施し、シルクシフォンにグラフィックプリントを施した生地が覗くデザインとなっている。胸元の切り替えはヘアアクセサリーと同様の薔薇のモチーフでデコレーション。足元は白いコットンソックスと、刺繍入りのサテンパンプスを合わせた。
ニンニン:グッチ

Image by: GUCCI
「グッチ(GUCCI)」のグローバルブランドアンバサダーに仲間入りしたニンニン(NINGNING)が着用したのは、カスタムメイドのブラックドレス。プリーツ加工されたシルクオーガンザのラッフルによってオブジェのような立体感を演出。ラッフルパーツのパイピングにラインストーンを散りばめ、歩くたびに繊細に輝く仕様に。
アレックス・コンサーニ:グッチ

Image by: GUCCI
モデルのアレックス・コンサーニ(Alex Consani)は、トランスジェンダー女性として初めてホスト委員会に参加したことについて、「この夢を現実にしてくださった皆様に心から感謝いたします」とコメントを寄せた。そして、この晴れ舞台に選んだのは、グッチのドレス。ヌードカラーのチュールを用いたコルセット風ビスチェに、ボリュームのあるフェザーのスカートとトレーンを組み合わせた印象的なデザインとなっている。
ケイティ・ペリー:ステラ マッカートニー

Image by: Getty Images
奇抜で遊び心のあるスタイルに定評のあるケイティ・ペリー(Katy Perry)は、「ステラ マッカートニー(STELLA McCARTNEY)」のホワイトのガウンに、フェンシングのフェイスガードを思わせるヘッドアクセサリーを組み合わせた。よく見ると、グローブの指は6本。これはここ数年、自分が来場しない回でもAIで勝手に“フェイクの来場”を投稿されていたことに対する皮肉を反映したものだという。報道陣にタロットを見せつけるなど、レッドカーペットでのパフォーマンスもお手のもの。
アリサ・リュウ:ルイ・ヴィトン

Image by: LOUIS VUITTON
メットガラ直前に「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」のハウスアンバサダーに仲間入りした、フィギュアスケートのアリサ・リュウ(Alysa Liu)選手。カスタムメイドのドレスは、バーガンディの異素材ミックスで、構築的なシルクファイユのボディスとチュールとサテンのフリルを組み合わせたデザイン。足元もバーガンディのサテン生地で仕上げたパンプスで、ワントーンに統一した。
カーディ・B:マーク ジェイコブス
カーディ・B(Cardi B)のドレスは、デザイナーのマーク・ジェイコブス (Marc Jacobs)が2026年春夏コレクションを元にカスタム。ドイツ出身で画家、グラフィックデザイナーとして活躍したハンス・ベルメールの作品をレファレンスにしたという。肩やお尻、足元のフォルムを強調するカラーブロックを取り付け、エレガントなレースのラッフルドレスで覆っている。
バッドバニー:ザラ
毎年独自の解釈でドレスコードを体現するバッドバニーは今年、特殊メイクで“おじいちゃん”となって登場。ウェアは今年のスーパーボウル・ハーフタイムショーでも話題になった「ザラ(ZARA)」をセレクト。特殊メイクはハリウッドなどで活躍するアーティストのマイク・マリノによるもので、シワ、たるみ、目の窪み、シミに至るまで細かく作り込まれている。ネイルはジェニーやジジ・ハディットなどを手掛けるメイ・カワジリが担当した。
スティーヴィー・ニックス:ザラ
“ロックの歌姫”ことスティーヴィー・ニックス(Stevie Nicks)はザラのドレスで登場。スクエアネックにコルセット、パニエによってスカート部分に広がりを持たせたヴィクトリア調ブラックドレスにシルクハットをスタイリング。ニックスのインスタグラムでは、ザラとのパートナーシップを締結しているジョン・ガリアーノ(John Galliano)のアカウントもタグ付けしていることから、9月に発表予定のコラボレーションコレクションを前にガリアーノがドレスのデザインに携わったのではないかと噂されている。
ケンダル・ジェンナー:ギャップ




メットガラではラグジュアリーブランドのクチュールドレスを着用するのが定番だが、ケンダル・ジェンナー (Kendall Jenner)は「ギャップ(Gap)」から、クリエイティブディレクターのザック・ポーゼン(Zac Posen)による新ライン「ギャップ スタジオ(GapStudio)」のドレスをセレクト。ポーゼンが、世界でも著名なアート作品のひとつである「サモトラケのニケ」に着想を得て制作した。レザーのコルセットとビスチェは、ケンダルの身体を3Dスキャンして成形。その上に、ギャップの白いTシャツをベースに、リキッド ジャージー素材で彫刻のようなドレープを施したドレスを重ねた。生地は紅茶で手染めし、大理石のニュアンスを演出。また、翼のようなピースには、オリジナルの彫刻の翼をデジタルプリントしている。
カイリー・ジェンナー:スキャパレリ
カイリー・ジェンナー(Kylie Jenner)はダニエル・ローズベリー(Daniel Roseberry)による「スキャパレリ(Schiaparelli)」のドレスを着用。レオナルド・ダ・ヴィンチが確立したと言われる絵画技法のスフマート技法で装飾されたヌードカラーのビスチェに、高級サテン生地のダッチェスサテンのドレスを重ね、ドレスをウエストまで脱いだようなデザインに仕上げた。スカート部分には2000個以上のサテンステッチのボールや、1万個以上の天然バロックパールを施し、7000個以上のパール調の鱗模様を、1万1000時間かけて手作業で刺繍した。
エマ・チェンバレン:ミュグレー
欧米のティーンから絶大な支持を集めるファッショニスタのエマ・チェンバレン。昨年クリエイティブディレクターにミゲル・カストロ・フレイタス(Miguel Castro Freitas)による「ミュグレー(MUGLER)」のカスタムドレスを着用した。マーメイドラインが美しいネイキッドドレスを元に、アーティストのアナ・デラー=イーが40時間かけてペイントを施した。ラッフル部分は150メートルの生地を880本のラインにして縫い付けており、優雅に広がる裾は直径9メートルもあるという。
アノック・ヤイ:バレンシアガ



Image by: BALENCIAGA
スーパーモデルのアノック・ヤイ(Anok Yai)は、ピエールパオロ・ピッチョーリ(Pierpaolo Piccioli)による「バレンシアガ(BALENCIAGA)」のカスタムドレスで登場。ブラックのシルクで仕立てられたドレスは、“ブラックマドンナ”をイメージ。ピッチョーリは「単なるドレスやテーマの話ではなく、美を器として、そして不屈の精神をメッセージとして伝えるという、共通の意図に基づいたものでした」とコメントしている。また、慈悲を表すような、涙の雫をあしらったメイクにも注目が集まった。
サラ・ポールソン:マチエール・フェカル
女優のサラ・ポールソン(Sarah Paulson)は、「マチエール・フェカル(MATIÈRES FÉCALES)」の2026年秋冬コレクション「THE ONE PERCENT」のボールガウンドレス(西洋文化圏での女性用の礼服)をチョイス。同シーズンは「権力に伴う貪欲さと腐敗」を表現しており、ポールソンのドレスは引き裂いたチュールで仕立てている。1ドル札を模したレザーマスクは「金に目がくらんだ様子」を表したという。
どうなるメットガラ? “依存体質”脱却へ
近年のメットガラは、華やかなレッドカーペットの裏で、チケット価格の高騰が議論の的となっている。今年のチケット価格は最大10万ドル(約1500万円)と3年で2倍に跳ね上がり、テーブル席では約35万ドル(約5300万円)に達した。
これほどまでに高額な理由は、コスチューム・インスティチュートの特殊な運営体制にある。METにある17の学芸部門のうち、同部門は唯一、館からの予算が出ず、独立した採算制度をとっている。メットガラで得られる寄付金は、3万3000点におよぶ収蔵品の修繕やスタッフの給与、新たな研究費に活用。今年は過去最高となる約4200万ドル(約66億円)の資金調達が見込まれている。
しかし、チケット価格の高騰や、緊迫した社会情勢の中でセレブが集まることに対し、SNSを中心に「富裕層の祭典」と批判されることも少なくない。また、1995年から主催に携わってきたアナ・ウィンターの影響力が変化しつつあることも運営改革を後押し、同部門はメットガラに依存している収益体制の改善に動き出している。ボルトンは2030年(早ければ2028年)までに、メットガラに頼らず運営資金を確保できるとの見通しを明らかにした。
なお、ジェフ・ベゾス夫妻がリードスポンサーに加わったことに対して、ニューヨーク市民を中心に批判の声も上がっている。アマゾンが労働者問題を抱え、トランプ政権を支持している点なども理由だが、こうした巨大な資本が文化的な場に介入しすぎることで、イベントの公平性や質が損われることへの警戒心の現れともいえる。
豪華なパーティーという枠組みを超え、服飾史研究を支える持続可能な仕組みへと進化できるか。メットガラの存在意義が、これからの開催において再び問われていくことになりそうだ。
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