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【服好き必聴アーティスト】スケプタ編 グライムシーンの旗手であり、ロンドンのファッションアイコン

スケプタの写真

IMAGE by: NIKE

スケプタの写真

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【服好き必聴アーティスト】スケプタ編 グライムシーンの旗手であり、ロンドンのファッションアイコン

スケプタの写真

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 機材や環境の発達により、1日で数百~数千曲がリリースされる昨今の音楽産業。歓迎すべきことではあるものの、その膨大すぎる量がゆえ自ら触手を伸ばすことを躊躇い、真に評価を受けるべきアーティストとの邂逅が消失し、気付けば過去のお気に入りばかりをリピート再生している......という状況に心当たりがある方に向け、月に1回"ファッションシーンとの親和性も高い"アップカミングなアーティストを紹介する連載【服好き必聴アーティスト】。(文:Internet BoyFriends)

 早耳な音楽フリークの方々にとっては既に知られた存在が登場するだろうが、復習も兼ねてファッション的新情報を得られるという心持ちで読み進めていただければ幸いだ。第2回は、イングランド・ロンドン発祥の音楽ジャンルの1つであるグライムを牽引するビッグネームの1人であり、同国のファッションアイコン スケプタ(Skepta)をお届け。

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 スケプタについてを読み進める前に、聞き馴染みの無い方も多いであろうグライムについて簡単に。グライムは、1990年代半ばのUKガラージにヒップホップやレゲエのエッセンスが混じり合い、2000年代前半のアンダーグラウンドシーンで主にカラードによってハウスミュージックから派生する形で興った歴史の浅いジャンルだ。ピッチが速く激しいビート、アグレッシブなサウンド、繰り返されるリリックを特徴とし、ヒップホップからの影響を強く感じる点が数多く見られるが、あくまでハウスミュージックの派生ジャンルであることを覚えていただきたい。2000年代後半は、MCたちが綴るメッセージ性の強いリリックと特異な音楽性ゆえに偏向したイメージで捉えられ"冬の時代"とも言われたが、2010年代に入るとインターネットラジオ局の台頭もあり若者を中心にグライムに魅せられる人々が増え、現在では毎週のようにチャートを賑わすジャンルにまで成長した。そんなグライムシーンで早くから旗を振っていた人物こそが、スケプタなのである。

ディジー・ラスカルが2003年にリリースした1stアルバム「Boy in da Corner」は"グライムのバイブル"とまで呼ばれているので、気になった方はこの機会に聴いてみてはいかがだろうか。

 ようやく本題に入るが、スケプタこと本名ジョセフ・アデヌーガ(Joseph Adenuga)は、1982年に北ロンドンのトッテナムにてナイジェリア人の両親の下に生を受けた。もともと音楽好きだった彼がグライムと出会うのに時間はかからず、20歳頃に地元トッテナムで友人たちとグライム・コレクティブのメリディアン・クルー(Meridian Crew)を結成。同コレクティブのギャングスタなリリックは、グライム史上最も優れていたと言われるが、この時スケプタはMCではなくDJとして活動していたという。そして2005年に解散すると、ロール・ディープ(Roll Deep)での活動を経て実弟JMEと共に新たなコレクティブとなるボーイ・ベター・ノウ(Boy Better Know)を2006年に結成し、MCとしての活動を本格化させることに。2007年に1stアルバム「Greatest Hits」、2009年に2ndアルバム「Microphone Champion」、2011年に3rdアルバム「Doin' It Again」をリリースすると、どれもチャートの上位に食い込むことはできなかったものの、コンスタントに市場に作品を供給したことで強固なファンを獲得することに成功した。

 そして、スケプタは2012年中に4thアルバムをリリースする予定だったが諸々の事情で延期となり、迎えた2014年に転機が訪れる。当時カニエ ・ウェスト(Kanye West)の右腕を務めていた、ヴァージル・アブロー(Virgil Abloh)との出会いだ。スケプタは知人の誘いでヴァージルがDJを披露するパーティーに足を運んだところ、今は亡きメリディアン・クルーの楽曲でフロアを沸かせているのを目の当たりにし意気投合。すぐにヴァージルとの出会いをもとにした楽曲「That's Not Me」を制作し、彼を通じてエイサップ・バリ(A$AP Bari)とのコラボ楽曲「It Ain't Safe」も発表するなど、イングランドのグライムとアメリカのヒップホップとの間に橋を架けたのだ。すると翌年、カニエがUK最大級の音楽の祭典「ブリット・アワード2015(Brit Awards 2015)」に出演した際に共演し、「That's Not Me」がドレイク(Drake)の楽曲「Used To」で引用され(ドレイクはのちにBBKに加入)、その最中にリリースした「Shutdown」がスマッシュヒットを記録するなど、勢いを加速。こうしてUS勢の手助けもあってグライムシーンのビッグネームとなった彼は、2016年に満を持して4thアルバム「Konnichiwa」を投下。すると、同作は全英チャートで2位を獲得するだけにとどまらず、「アップル・ミュージック(Apple Music)」で年間ベストアルバムに選ばれ、UKおよびアイルランドで毎年最も優れたアルバムに対して贈られる「マーキュリー賞」も受賞する快挙を成し遂げたのだ(グライム・アーティストとしては、2003年のディジー・ラスカル以来13年ぶり)。ちなみに同年、彼はアルバム名の兼ね合いで東京から「ボイラールーム(BOILER ROOM)」の配信を行っていた。

 その後、スケプタはグライムの牽引役という立場からオクタヴィアン(Octavian)やノベリスト(Novelist)、ベイカー(Bakar)といった国内の若手MCを積極的にフックアップすると同時に、エイサップ・ロッキー(A$AP Rocky)ら国外勢とも楽曲を制作することで世界各国にグライムを広め、浸透率が上がった2019年のタイミングで5thアルバム「Ignorance Is Bliss」をリリース。残念ながら悲願のトップを手にすることはできなかったが、全英2位をはじめ各国のチャートで軒並みランクインを果たし、"グライムの帝王"としての地位を確固たるものとした。しかし、「Ignorance Is Bliss」のリリース後から急速に活動を落ち着かせ、2021年には一切楽曲を製作せず引退も視野に入れていることをインスタグラムで告白。それでも最近の投稿を見る限り楽曲制作自体は続けているようなので、古参ファンは過去の楽曲を聴き直し、新規ファンは楽曲に触れてみるちょうどいい機会となっている。

ナイキによるスケプタの写真

 ここまで音楽面での功績をつらつらと書いてきたが、スケプタは若い世代のファッション感にも強い影響を与えている。一時期は例に漏れず、煌びやかなラグジュアリーブランドを身に纏うこともあったそうだが、基本的にはトラックスーツに「ナイキ(NIKE)」のスニーカーとキャップを合わせるシンプルなスポーツスタイルの姿勢。これは、グライムがアンダーグラウンドなシーンで誕生した背景と合わせて、若い世代に向けて"高い値段の洋服を無理して買うことは不健康だ"というメッセージを込めているそうだ。また、2014年のヴァージルとの出会いがファッションシーンへの参画を後押しし、「ナシアー・マザール(Nasir Mazhar)」の2015年春夏メンズコレクションでランウェイを歩いたかと思えば、2016年にはUK国内における「ユニクロ(UNIQLO)」のアンバサダーの1人に選ばれ、自身のファッションブランド「メインズ(MAINS)」もローンチ。だが何よりも大きな動きは、プライベートで普及に努めていた「ナイキ」とのパートナーシップ契約だろう。

ナイキによるスケプタの写真

 両者の関係は2017年からスタートし、処女作「エア マックス 97 Sk "ロンドン × マラケシュ"」を皮切りに、現在までに「エア マックス デラックス」や「エア マックス テイルウィンド V」、フットボール用スパイク「ファントム」など全6モデルを発表。ハイプなスニーカーとは決して言えないが、コアなファンの心を撃ち抜くスケプタらしいストイックなデザインに仕上がっている。この他にも、後進育成のため「リーバイス(Levi's®)」と音楽教育プロジェクトを行ったり、「メインズ」で若手デザイナーを発掘したり、自身のルーツであるナイジェリアに学校を設立したりと、あらゆる領域で先導者としての漢気を見せるスケプタ。新曲が聴ける日はいつになるか分からないが、ぜひ本稿を機に彼の生み出す作品、そしてグライムの世界に足を踏み入れてはいかがだろうか。

アーロ・パークスのポートレート写真

【服好き必聴アーティスト】第1回

アーロ・パークス編 ディオールやグッチも注目するライジングスター

CULTURE今月の必聴アーティスト

クリエイティブコレクティブ

インターネット・ボーイフレンズ

Internet BoyFriends

東京とロンドンを拠点に活動するエディターやライター、スタイリスト、フォトグラファー、グラフィックデザイナーが所属。

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