
韓国・ソウルで開催された「2026 Qoo10 メガデビュー アワード」の様子
「韓国コスメの購入ならECモール『Qoo10』」と、若年層を中心に支持を集めるQoo10が、さらなる成長フェーズに入った。大型セール「メガ割」を武器に急成長を遂げてきたが、今、同社の戦略は、“売る”をメインとした販促ではなく、“ブランド育成”に。昨年から開始した初出店ブランドをサポートする施策「メガデビュー」はその代表例だ。初年度は参加200ブランドのデビュー後累積売り上げが35億円を超え成功裏に終わった同施策は、2年目さらにバージョンアップするという。韓国・ソウルで開催された「2026 Qoo10 メガデビュー アワード」では、これまでの成果に加え、今後の展望が明かされた。
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目次
メガ割では1時間で「7億円」売り上げるブランドも Qoo10の強み

韓国・ソウルで開催された「2026 Qoo10 メガデビュー アワード」の様子
Qoo10は2010年に誕生し、2018年に日本国内での事業を担うQoo10.jpがeBayによって買収されて以降、同社の下で運営。ショップ数は3万店、アイテム数は13億点、月間プレビュー数は7億8000万を超えるマーケット型総合ECモールだ。主要顧客は若年層で、10代から20代が中心となる。メンバーシップ数は今年3月時点で2800万人を超え、流通総額は2022年以降、毎年2桁成長を続けている。
ストアでは、アパレルやコスメをはじめ、家電、食品、日用品など、国内外のさまざまな商品をラインナップ。独自のクーポン施策が高頻度で行われ、韓国コスメやアパレルなどを比較的安価に購入することができる点などがユーザーの支持を集めている。
他のECモールと比較した出店者側へのメリットとしては、「初期・月額費用がかからず最短1週間で販売開始できる点」、「日本語のほか、韓国語、中国語に対応する部署を構え、出店者に向けた言語的なサポートが受けられる点」などが挙げられる。
Qoo10の最大の強みと言えるのが独自のプロモーションで、四半期に1度20%のディスカウントを行う「メガ割」が代表的だ。2025年2月28日から3月12日に開催された同イベントの総取引総額は、490億円(前年同時期開催比25%増※期間は1日増)を記録。毎年売上記録を更新しているという。トップブランドでは1時間で7億円を売り上げるケースもあるという同社最大の販促イベントだ。一見するとブランド側の不利益に映る大幅割引だが、そこには合理的な仕組みが存在する。
まず、割引額の半分をQoo10側が補填し、ブランド側への負担を低減。加えて、単品ではなくセット商品を中心に割引対象に設定することで販売単価を引き上げている。結果として出店者の納得感を生み、積極的な参加を促すことができている。
そのほかの施策として、10%のディスカウントとポイントを付与する「メガポ」も用意。ユーザーがメガポで獲得したポイントを、メガ割で使用するといった“循環”につながっている。また、9月10日にスペシャルクーポンを配布する「Qoo10 DAY」など季節限定イベントや、初出店のブランドにフォーカスする「メガデビュー」といった施策を、実施時期を分散させて連打することで、ユーザーが常に何らかの企画に触れられる状態をつくっている。これにより、大型セール前の買い控えを防ぎ、継続的な購買につなげる狙いにもなっている。
さらに、同社の事業を支える韓国政府や関連団体とのパートナーシップ体制も見逃せない。韓国では小規模事業者の輸出を奨励するための予算を用意しており、同社は直近6〜7年間で、政府関連機関と60件以上の協力事業を実施。政府からの支援金は累計200億ウォン(約23億円)を超える。こうした資金の大半は、Qoo10への出店やマーケティング支援のための集中投資へとつながっている。
日本初上陸Kブランドが Qoo10から始めるわけ
2025年、Qoo10を通じて約200ブランドが日本に初上陸した。日本進出のプラットフォームとして選ばれる背景には、前述した「メガデビュー」という独自の支援プログラムがある。
同プログラムは、2025年にQoo10によって発表された「企業価値1000億円規模のK-Beautyブランドを20社、100億円規模を100社育成する」という経営方針の一環として同年にスタートした。毎週火曜日にQoo10の特設ページ上で4ブランドをリレー形式で紹介するという施策で、それぞれのブランドには個別にカスタマイズされたマーケティング支援や、プラットフォーム内外での包括的なプロモーションを提供。新規進出ブランドの認知拡大と販売促進を後押しする仕組みだ。
メガデビューを通じて日本上陸した韓国発インナーケアブランド「ニアル(NE:AR)」担当者は、「メガデビュー初日時点で数百万円だった売り上げが、数日で数千万円にまで伸長しました。それだけではなく、インプレッションやカート投入数、購入率などさまざまな指標においても2倍から3倍成長することができました」と語る。

ニアル 担当者によるプレゼンテーションの様子
支援対象ブランドの選ぶ基準についてQoo10担当者は、「明確な基準はないが、ある程度の商品群がありQoo10をメインチャネルに売上アップを目指しているブランドが対象となることが多い」というが、選定プロセスでは「商材の適正」および「他モールでの販売履歴」などを重視し、専門チームによるコンシューマーインサイトと検索データを掛け合わせることで、主要顧客層である20代女性に相性の良い商材を見極めているという。
メガデビュー「“成功する構造”を作り上げることができた」

韓国・ソウルで開催された「2026 Qoo10 メガデビュー アワード」の様子
約200ブランドが日本上陸した2025年のメガデビューでは、累計売上35億円に達し、約25%にあたる51ブランドが四半期売上1000万円を突破した。一部ブランドにおいては、デビュー前後で売上が15倍、フォロワー数が20倍以上までに伸長するなどQoo10の成長にも大きなインパクトをもたらした。
eBay Japan合同代表 グ・ジャヒョン氏は「顧客に求められるブランドや商品を見つけ出し、拡大・安定着地させる成長インフラを構築することが可能となった。これは単なる数値以上に重要で、“成功する構造”を作りあげることができた」と手応えを明かす。

eBay Japan合同代表 グ ジャヒョン氏
「2026 Qoo10 メガデビュー アワード」では、支援対象ブランドの中から、売上・成長率・顧客定着指標などの実績データを基に11ブランドを韓国・ソウルに集め、表彰した。
売上高や成長率、デビュー後定着率など、すべての成果指標に基づくグランプリは、スキンケア「シャルド(CHARDE)」が受賞した。「化粧品の本質に集中する」を掲げるブランドで、上半期にメガデビューをして以降認知が急拡大。インフルエンサーマーケティングなどの戦略も奏功し、昨年1月には250万ウォン程度(約25万円)だった単月売上が、デビュー期間中に10億ウォン(約1億円)規模にまで成長を遂げた。
シャルド担当者は「機能性スキンケアへの高い関心と評価基準を持つのが日本市場。韓国内のテストを経て機能性には自信を持っていたものの、それをどのように認知につなげていくかが課題だった。メガデビュー期間の大型プロモーションを通じて、多くのお客さまにブランドを知らせるきっかけを作ることができた」と、メガデビューの効果を語った。
急成長軸の「ライジングスター賞」
インナービューティ「ニアル(NE:AR)」/ボディケア「バレン(baren)」/ヘアケア「ラ フルム(La ferme)」/メイクアップ「リスキー(RISKY)」/スキンケア「シシベラ ビューティ(CICIBELLA BEAUTY)」
売上指標の「ベストパフォーマンス賞」
インナービューティ「ヴィーガナリー バイ ダルバ(Veganery by d'Alba)」/ボディケア「ワイトニング(Ytning)」/ヘアケア「ラブパスポート シノル(LOVEPASSPORT SINORU)」/メイクアップ「アオウ(AOU)」/スキンケア「イロム(EIoM)」
メガデビューを成功に導く「3つの成長アプローチ」

eBay Japan マーケティング総括 キム・ジェドン氏
こうしたメガデビューの成果の裏には3つの戦略的なアプローチがあったとeBay Japan マーケティング総括 キム・ジェドン氏は語る。
1つ目は、売上の90%以上に関わるという「クーポン施策」だ。これはメガデビュー対象ブランドに適用されるもので、メガ割の20%を上回る30%オフの割引特典をユーザーに提供することで、購入を後押しする強力なフックとなる。2つ目は、Qoo10のアセットを活用した「全方位的な露出設計」だ。アプリやメルマガといった自社リソースのほか、InstagramやXを中心としたSNSによる発信、インフルエンサーとの連携を実施。加えて、オフラインイベントも開催し、ユーザーとの接点を増やしている。
そして最後の3つ目が大きな違いとなる。購買の決定打となる「レビューの事前取得」。ユーザーが新規ブランドの商品を購入する上での不安感を解消するため、デビュー1ヶ月前からQoo10内のサンプルマーケットを稼働。デビュー前にリアルな口コミ情報を集めることで、販売開始と同時に“安心して買える状態”を整えた。
メガデビュー2年目、支援をスケールアップ

同社はメガデビュー2年目となる今年、プログラムをさらにスケールアップする。毎週火曜日に新ブランドを発表するというサイクルは維持しながらも、現在1週間としているプロモーション期間を、2週間に拡大。あわせて対象ブランド数を4から6へと増やし、年間で約300ブランドの支援を目指す。
この背景には、売上の9割以上に関わる「30%割引クーポン」の使用期間を長くする狙いがあるという。一方で、期間延長とブランド数増加により、最大12ブランドが同時に露出する形となり、注目が分散する懸念もある。この点についてキム・ジェドン氏は「広告への投資強化を進め、各ブランドにおける露出機会を担保していく」と対策について説明した。加えて、メガデビューブランドの再プロモーション施策「アンコールメガデビュー」を今後6月・9月・11月のメガ割期間で実施予定であるとした。事前テストでは、前後1週間での売り上げが7倍にまで拡大したブランドもあったという。
さらにプロモーションだけでなく、ブランドの成長段階に合わせた支援体制も構築する。デビュー直後の「ルーキーブランド」に対してはメガデビューを起点に段階別の支援プログラムを提供。また、韓国ブランドを中心とした150の新興ブランドには、3ヶ月間の集中育成プログラムを実施する。加えて上位50ブランドを対象に、ライブ配信や特別展示を掛け合わせた「メガコラボ」や、対象ブランド数を50まで拡大した「メガ推し」施策を展開。グローバルブランドへの成長を後押しする。
またオンラインに留まらず、オフラインにも注力し、今年下半期には2つのポップアップストアを開店予定で、2027年には東京に旗艦店をオープンする計画もあるという。
「ビューティ」領域に限らない成長へ Qoo10が描く新たなフェーズ
Qoo10では、売上の約70%以上をビューティカテゴリーが占めており、日本国内のオンラインビューティ市場では約30%のシェアを持つ。「成長するためには、世代・商材・国のいずれかを拡張しないといけない」と、事業成長支援本部 部長のキム・テウン氏。既にビューティ領域で一定の規模を築いたことから、今後は韓国コスメ中心の展開から、日本ブランドへ広げていく考えだ。その一環として、今年の8月25日には、東京・赤坂の「ザ・プリンス パークタワー東京」では、アパレルや家電など全カテゴリーの日本セラーを対象とした初のカンファレンスを開催予定。ブランドオーナーやメディア関係者ら約800人を招き、Qoo10のサポート体制やマーケティング施策について説明する。
この1年間でメガデビューやメガ推しを通じて蓄積したブランド育成ノウハウを、日本企業にも広げ、新規ブランド施策から大型ブランド販促まで、日本ブランド向けにカスタマイズした支援策を用意しているという。ビューティ領域に限らない国内ブランドの誘致を通じてさらなる成長を目指す構えだ。
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