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日本発「タカミ」が欧州に進出 岩切グローバル ブランド プレジデントが語る世界での戦い方

 2026年7月1日付で、日本ロレアル傘下の日本発スキンケアブランド「タカミ(TAKAMI)」のグローバル ブランド プレジデントに岩切直子氏が就任した。日本生まれ、海外育ち、海外でのキャリアも豊富な岩切氏は、幅広い視点を強みとする。ブランドを代表する角質美容水®「タカミスキンピール」は、国内の美容液百貨店・直営店・Eコマースの合算売上でNo.1*を獲得するなど、日本で多くの人に選ばれるブランドの一つとして支持を集めている。今年夏には英国にも進出し、先行するアジア展開も含め、グローバルでの事業拡大を加速させている。K-beautyが世界を席巻する中、J-beautyであるタカミはどのように世界市場で存在感を発揮していくのか。ブランドの強みと今後の戦略について、岩切プレジデントに聞いた。

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*Beauté Research 調べ。2025年1月「日本2024年第四四半期版レポート」(Copyright©2025 Beauté Research SAS)に基づく、調査期間(2022年1月~2024年12月)におけるBeauté Research参加企業/スキンケア製品売上金額を百貨店・直営店・Eコマース市場で合算した上で比較

岩切直子/タカミDMIグローバル ブランド プレジデント

2007年にフランスのロレアルへ入社後、「ヘレナ ルビンスタイン(HELENA RUBINSTEIN)」「ビオテルム(Biotherm)」「キールズ(Kiehl’s)」のグローバルDMI(開発・国際マーケティング部門)で経験を積む。2018年に日本へ拠点を移し、キールズのブランド ゼネラルマネージャーとして日本市場での戦略を牽引。2022年から2026年までは日本ロレアルのダーマトロジカル ビューティ事業本部 本部長を務める。2026年7月1日から現職。

Wカルチャーを熟知していることがグローバル責任者としての強み

──フランスのロレアル社に入社してから、各ブランドの開発・国際マーケティング部門で経験を積み、直近では日本でロレアル ダーマトロジカル ビューティ ディビジョン事業本部の事業部長を務めていました。7月1日付けでタカミDMIグローバル ブランド プレジデントに任命された理由をご自身でどう分析していますか?

 私は、日本人でありながら海外で育ち、海外でも仕事をしてきたという、いわばダブルカルチャーであることに加え、これまでスキンケアブランドを軸にキャリアを重ねてきました。そういったことから、タカミがスキンケアブランドとしてどのような価値を持っているのか、それをロレアルグループや日本、海外のお客さまにどう伝えていくのか。その部分を担えるのではないかと思っています。

──グローバルプレジデントとしてのミッションは?

 当然ながら、日本を含む世界でタカミをさらに発展させることが大きなミッションと捉えています。グローバル市場でも、タカミが大切にしているブランド哲学や価値は変えません。その上で、海外のお客さまにも分かりやすく、自分ごととして捉えていただき、日々のスキンケアに取り入れていただけるようなコミュニケーションを考えていきたいと思っています。

──タカミの「肌を育む」という哲学は、どのような考え方なのでしょうか?

 タカミはタカミクリニックのノウハウを活かしたスキンケアブランドとして、1999年に誕生し、20年以上の歴史があります。「正しいスキンケアを続けていれば、肌は応えてくれる」という考えの基、美容皮膚科の知見を生かしたスキンケアを開発してきました。角層を剥がさずに肌を整える人気製品 スキンピールをはじめとするさまざまな製品を揃え、角質美容を提案しています。

 それは、毎日丁寧にケアをし、自分の肌と向き合っていくことで、長期的にも継続できる肌の効果を実感していただくという考え方です。タカミは、短期的な変化だけを追い求めるのではなく、長期的に肌を育んでいくことを大切にしています。そしてわれわれが「肌」として見ているものが、角質です。角質そのものが肌の見た目の美しさを作っているとも言えます。そのため、20年以上、肌と向き合ってきたタカミの美肌ケアの方針として、毎日、自宅で角質ケアを行うことで、肌を育んでいくという考え方です。

 さらに、ジャパニーズマインドフルネスともいえる、心と肌がつながっているというウェルネスを大切にした包括的な美容への向き合い方をベースにしている点でも、特化した考え方ではないでしょうか。

ブランドを代表する「タカミ スキンピール」

Image by: FASHIONSNAP

アジア圏では前年超え 英国市場も堅調に推移

──世界中でK-beautyが席巻している中で、タカミのそういった考え方は海外の人にも受け入れられるのでしょうか?

 確かにK-beautyは勢いがあると思いますし、その波がアジアのスキンケア全体への興味・関心を世界中に広げてくれたとも思っています。K-beautyの強みはトレンドを素早く取り入れるスピードや、即効性ではないでしょうか。

 数年前には、欧州を含めた世界中で即効性を求めるような風潮もありましたが、そうしたケアを続けることが、本当に自分の肌にとって良いのかと考える方も出てきています。コロナ禍を経て、消費者が品質・低刺激・マインドフルネス・ロンジェビティを求める流れが明確になりました。今、世界はロンジェビティを受け入れつつありますが、日本は、何十年も前からその考え方が根付いていると思います。

 西洋では、新しい世代を「クリーンガールズ」と呼んでいます。抹茶を飲んで、睡眠を管理して、サプリを摂って、ピラティスをする——そういうマインドフルな世代です。彼女たちは「肌を罰するのではなく、慈しむルーティン」を求めています。これは、日本的な価値観と深く共鳴します。肌を健やかに保ち、できるだけ長く良い状態を維持したいという思いは、国や地域を問わず、多くのお客さまに共通するものなのです。

 タカミが目指しているのは、一時的な変化ではありません。日々のケアを続けることで、長期的に肌と向き合っていくこと。そうした考え方が新鮮に感じられたり、共感してくださる方が、海外にも多くいらっしゃるのではないかと思います。

──現在のアジアの展開国とビジネス状況を教えてください。

 アジアでは、中国、台湾、マレーシア、シンガポールで展開しています。直近では、インドネシアでもビジネスをスタートさせました。アジア圏の売上は順調で、前年を超えて推移しており、日本ブランドへの信頼や、タカミが発信する肌への向き合い方が評価されていると感じます。

──今夏、欧州に進出し、高級ビューティ専門店「スペースNK(SPACE NK)」での販売が始まりました。イギリスのドクターインフルエンサーがタカミの20年間変わらない処方、安全性・高い品質・長期的な効果に惚れ込み、スペースNKとつないでくれたとお聞きしました。始まってみていかがでしょうか?

 スペースNKは、スキンケアにおいて卓越した実績を持つトップリテーラーで、「ぜひ英国で最初に展開したい」と積極的に言っていただき導入が決まりました。オフラインとオンラインで取り扱っており、開始からまだ間もないものの、販売店の方々からは大きな期待や興奮が感じられて、売上も堅調に推移しています。

海外市場では「ファクトベースの訴求」と「ローカライズ」が鍵に

──タカミの価値を海外で伝えていくうえで、具体的なコミュニケーションは?

 タカミの哲学や製品の本質は変えずに、各市場のお客さまが理解しやすい言葉や表現に置き換えて伝えることを重視しています。例えば、海外ではピーリングという言葉から、刺激の強いものをイメージされる場合があります。そのため、スキンピールの製品名を「ソフトピール」とし、肌を整え、更新していくような製品の価値が伝わりやすい表現にしています。

 また、海外ではダイレクトなコミュニケーションや、ファクトに基づいた説明が重視されます。そのため、臨床試験の結果や処方に関するデータを用いながら、どのような効果が確認されているのかを具体的に説明しています。タカミの製品は、使い続けることで長期的な効果が持続していくことが、分かっています。こうしたエビデンスと合わせて伝えることで、「肌を育む」という考え方を、感覚的なメッセージだけではなく、納得感のある価値として理解していただけると考えています。

──その効果を発信するための背景に、どのような強みがあるのでしょうか?

 美容皮膚科タカミクリニックの美容現場から得られた25年以上の知見と、ロレアルグループの持つ、研究開発や処方、臨床試験に関する科学的な知見が背景にあります。この2つを掛け合わせることで、現場で培われた肌への理解と、科学的なデータの両方から、タカミの製品価値を伝えられると考えています。

欧州に続き米国も タカミが目指す次のステージ

──今後の目標を教えてください。

 日本国内では、スキンピールが美容液部門でナンバーワンの売上を誇っているため、その地位を維持しながら、さらなる成長していきたいと考えています。同時に、スキンピールだけではなく、さまざまな肌悩みに応えられるスキンケアブランドとして、確固たる地位を築きたいです。そのためにも、シミ・ニキビが気になる方に向けた商品など、さまざまな肌悩みに応えられるよう、ポートフォリオを拡充していきます。

 また、オフラインチャネルも拡大していきます。現在は百貨店を中心に、バラエティストアやドラッグストアにも出店しており、約70店舗で展開しています。スキンケア製品は、お客さまの肌悩みに合わせた製品選びや使い方の提案が重要です。肌測定やビューティアドバイザーによるカウンセリングを通じて、お客さまに合った製品を提供できることは、実店舗ならではの価値だと考えています。

──海外では、どのような目標を掲げますか?

 海外では、まず現在展開しているアジアの市場で、売上だけでなく、タカミへの認知や信頼を高めていきたいと考えています。お客さまがタカミを好きになり、友人や大切な人に勧めたいと思っていただけるような、強い絆をつくることが目標です。

 日本で培ってきた定期便の運営やCRMのノウハウも生かしながら、一人ひとりのお客さまと継続的な関係を築いていきたいと思います。ただし、その仕組みをそのまま持ち込むのではなく、各市場の生活習慣や購買行動に合わせて展開していくことが重要です。そのうえで、イギリスをはじめとするヨーロッパの主要市場への展開をさらに進め、将来的にはアメリカへの進出も目指します。日本発のスキンケアブランドとして、タカミの「肌を育む」という価値を世界中のお客さまに届けていきたいです。

photography: Hikaru Nagumo, interview editing & writing: Akiko Fukuzaki, Sho Hiramatsu (FASHIONSNAP)

最終更新日:

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