
2008年にメイクアップアーティストとして活動を開始し、TWICEやBLACKPINKのロゼ、少女時代のソヒョンなど、名だたる韓国スターのメイクを手がけているウォン・ジョンヨ(Won Jungyo)。涙袋メイクの第一人者としても知られる彼女は、一人ひとりが持つ魅力を引き出すことを大切にしている。目元の陰影やチークの重ね方、肌の質感の整え方など、今の時代の「かわいい」を表現するメイクの考え方と、その先にある喜びについて聞いた。
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◾️ウォン・ジョンヨ
韓国のアイドルや女優のメイクを手がけるメイクアップアーティスト。ソウルのヘアメイクサロン「Bit&Boot」の共同代表を務め、2022年には自身のコスメブランド「ウォンジョンヨ(Wonjungyo)」を立ち上げる。プロのメイクテクニックを日常に取り入れやすいアイテムとして展開し、日本でも幅広く支持を集める。Instagramは@bit.boot_jungyo
目次
かわいいは、「作り込むより引き出すもの」
⎯⎯ 日々さまざまなアーティストの「かわいい」をメイクで表現しているウォンさんは、最近のメイクをどのように捉えていますか?
最近は、作り込んだかわいさよりも、その人が元々持っている魅力を引き出すような、ナチュラルなメイクを意識しています。メイクアップは自由ですが、その人自身のかわいさを見つけていくことが大切だと考えています。
⎯⎯ メイクにおけるかわいらしさは、時代と共に変わってきたと感じますか?
以前は、色を使ってかわいさを表現するメイクが主流でした。発色の強いカラーを使い、メイクをしていることがひと目でわかるような仕上がりが好まれていたと思います。それに対して、最近は肌になじむ自然な色を使い、気になる部分を補いながら、その人が持つ魅力を生かすメイクが注目されています。まつげも、黒く太くボリュームを出すというより、繊細で自然に整った仕上がりがトレンドです。
また、色そのものを目立たせるのではなく、顔の立体感を表現することも重要になっています。リップやチークの色、ツヤでボリュームを出したり、肌に自然な光沢を与えたり。さまざまな角度から見ても肌がきれいに見えるような奥行きのあるメイクが、今の"かわいい"という印象につながっていると思います。

⎯⎯ 今の日本のメイクトレンドは韓国から入ってくることも多いですが、これから流行りそうなメイクはありますか?
やはり、ニュートラルで彩度を抑えたカラーを使いながら、自然なツヤで健康的な肌を表現するメイクがトレンドになっていくのではないでしょうか。ハイライトも、ただ光らせるのではなく、顔の立体感を引き立てるように使うことが大切です。肌になじむ色で自然な陰影をつけ、その人自身の美しさを生かしていく、私自身も、そんなヘルシーなメイクを提案していきたいです。
⎯⎯ 反対に、日本で見つけたヒントはありますか?
日本は、パウダーがとても優秀だと思います。キメが細かいパウダーですよね。あらゆるブランドのアイテムに驚き、愛用しているものもありますよ。こういった製品レベルの高さは、アイドルメイクを作るうえでも非常に役立つと同時に、勉強になりますね。
かわいさの印象を決めるのは目元 陰影で自然な大きさを引き出す
⎯⎯ 普段、メイクはどのパーツから仕上げていきますか?
いつも目元から始めます。目が顔全体の印象に与える影響は大きく、アイメイクによって雰囲気がかなり変わるからです。例えば、クールな印象にしたい時は目尻を少し上げ、かわいらしい印象にしたい時は目尻を下げるなど、目元を最初に決めることで、その後のメイクの方向性も定まります。
⎯⎯ 例えば、コスメブランド「ウォンジョンヨ」で人気のアイシャドウパレット「ウォンジョンヨ W デイリームードアップパレット」を使う時、かわいい目元に仕上げるためのポイントを教えてください。

デイリームードアップパレット 05 ピーチモカ
Image by: Wonjungyo
最近は、まぶた全体を強く輝かせるよりも、マットな質感をベースに、部分的にシマーな質感を取り入れるメイクが多いと思います。ただ、マットなアイシャドウだけではなく、中央上にあるような繊細な輝きを持つカラーを薄くのせると、まぶたの丸みが引き立ち、明るく澄んだ印象に仕上がります。

そして、私が特に大切にしているのが陰影カラーです。目を大きく見せたいときは、パレットの右下と中央下に入っている陰影カラーを使い、二重のラインに沿って色をのせます。このとき、二重のラインにぴったり重ねるのではなく、少しだけ間隔を空けて色を入れるのがポイント。目の大きさや見せたい印象に合わせて陰影を調整することで、自然に目元の存在感を高めることができます。
東洋人の目元は、色をたくさん重ねるとかえって重たく見えたり、腫れぼったい印象になったりすることもあります。だからこそ、肌の色に近いカラーを中心に、シンプルに陰影をつける方法がおすすめです。
⎯⎯ ウォンさんが発信した"涙袋メイク(涙袋がぷっくりと立体的に見えるメイク)"をしたい時も、このパレットで叶いますか?
もちろん。パレット左下のような明るいカラーと、ダイヤ型の淡いチークカラーを混ぜて塗布するのがおすすめです。明るいカラーは、涙袋のくすみや凹凸をカバーできるようにこだわって作っています。まず明るいカラーをのせ、その上からピンクのチークカラーを重ねると、白さが目立ちすぎず、自然なふっくら感を演出できます。
目元の細かな部分もメイクの印象を左右しますから、色をただ足すのではなく、陰影をつける、マットとシアーの質感を組み合わせる、といったことを意識してみてください。
血色感と立体感を生むアイテムの活用法
⎯⎯ 今後発売予定の新製品にも、かわいいメイクに取り入れてほしいものはありますか?
おすすめしたいのは、ミルクのような白みを含んだ明るいカラーのチーク※です。もちろん頬にそのまま使ってもいいのですが、くすみが気になる部分にのせると、肌を明るく見せながら、気になる部分をカバーすることができます。

※「ベアブルームチーク」(全3色、各1650円)、2027年1月に限定発売
Image by: Wonjungyo
例えば、クマが気になる目の下や、少しくぼんで見える部分に最初にこのカラーを使い、その上から好みのチークカラーを重ねてみてください。明るい色がベースにあることで、血色感を加えながら、自然な立体感やボリューム感を表現できます。チークが似合わないと感じている方にも、ぜひ試してほしい使い方です。

⎯⎯ チークを頬以外にも使うのですね。
実際のアイドルメイクの現場でも、このような使い方をしています。ナチュラルな色味なので、他のチークを使うときの下地としても使えますよ。チークカラーを頬の中央にくっきりのせると、かわいらしさが強くなりすぎたり、アニメのような印象になったりすることがあります。そこで、このアイテムをベースカラーとして使い、ポイントとなる他のチークカラーとの境目を自然につなげるようにする。そうすることで、チークの色が浮かず、肌に溶け込むような血色感が生まれます。顔の立体感も自然に引き立つので、色をのせる位置だけでなく、どのように色をつなげるかも意識してみてください。
コスメの用途を限定する必要はありません。ひとつのアイテムでも、使う場所や重ね方を変えることで、さまざまな表現ができます。アイテムの特性を生かしながら、自分に合う使い方を見つけられたら、自分の新しいかわいさをもっと引き出せるはずです。
大人のかわいいは肌と眉を丁寧に整えること
⎯⎯ 年齢を重ねてもかわいいメイクを楽しみたいと思っています。意識してほしいことはありますか?
年代ごとに似合うメイクは違うと感じています。30代以降になると、濃い色や派手なカラーをたくさん使うよりも、上品さを意識することが大切。特に丁寧に仕上げてほしいのは、肌の質感とまつげの毛流れ、そして眉です。肌に自然なツヤを与え、自分に似合う形に眉を整える。こうした基本的な部分がきれいに仕上がっていると、顔全体の印象も美しくなります。
色をたくさん使って華やかさを加えるより、肌や眉などのベースを丁寧に整えることに力を入れてみてください。年齢に合わせてメイクを変えることは、かわいさを諦めることではありません。その時の自分に合う方法で、魅力を引き出すことが大切です。
⎯⎯ メイクの土台という意味では、スキンケアも重要なのでしょうか?
そうですね。メイクも大切ですが、その前に肌の土台を整えることが欠かせません。肌のコンディションが整っていなければ、どんなにきれいな色を使っても、理想の仕上がりには近づきにくいと思います。
私はメイクアップアーティストとして、基本的なケアをとても大切にしています。そのため、唇をケアする「ケアマスターリップマスク」や、肌にうるおいを与えて整える「モイストアップレディスキンパック」など、メイク前の土台作りをサポートするアイテムも開発してきました。毎日多くの方にメイクをする中で、ベースとなる肌の状態が仕上がりを左右することを実感しています。かわいいメイクを楽しむためにも、色をのせる前のケアから大切にしてほしいですね。
メイクで自分の魅力を引き出し、自信につなげてほしい
⎯⎯ 最後に、これからもっとかわいくなりたいと思っている人たちへ、メッセージをお願いします。
メイクには、自分の魅力を引き出す力があります。なりたい雰囲気も、メイクによって表現することができます。トレンドやアイテムの使い方を知り、少しずつ自分に合う方法を試していけば、メイクを通して自分のかわいいを引き出せると思います。
私がこの仕事をしていて1番嬉しいのは、メイクを終えた方の反応を見る瞬間です。鏡に映った自分を見て思わず写真を撮ったり、それまで少しうつむきがちだった方が、自信を持って前を向いて歩けるようになったり。そうした姿を見ると、その人の1日に自信や喜びを届けられる仕事なのだと実感します。これからもメイクを通して、一人ひとりが持っている美しさを引き出していきたい。それと同時に、多くの人が自分の「かわいい」を引き出せるようなコスメを作っていきたいと思います。

photography: Katsutoshi Morimoto, interview: Akiko Fukuzaki, Hikaru Kimura(FASHIONSNAP)
最終更新日:
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