■面白いから続ける
―ソフはNIKEと早い時期から協業していて、ネイバーフッドはアディダス オリジナルスやバートンなど、グローバルメーカーとのコラボが増えていますね。
滝沢:自身のブランドだけではできないプロダクトを作ることができるのは魅力。手がけるスタッフもお互いにクロスオーバーしていくことが面白いし。日本のブランドが世界に知ってもらう機会にもなれば。
清永:NIKEとは長い付き合いになるけど、他の仕事でも自分がつなぎ役になることもあるから、関係性は大事。シンちゃんの場合は、奥さん(モデルとして活躍する滝沢眞規子)とコラボしたらウィメンズも売れそう(笑)。
滝沢:さすがにそれはない(笑)。でも、うちは女性のお客さんもいるし、今ウィメンズのベーシックなウェアの展開は考えてるんだよね。
―ファッション以外で興味あることは?
滝沢:最近まで音楽もやってたけど、やっぱりバイクとかモータースポーツかな。
清永:シンちゃんは多趣味だよね。うちはサッカーチームのスポンサーをしているから、試合観戦は仕事でもあるけど自分のライフスタイルにもなっていて。事務所とお店の場所を千駄ヶ谷にしたのも、国立競技場が近いからだし。選手用のスーツの依頼もあるけど、いずれは日本代表のユニフォームをやりたいな。
滝沢:モータースポーツ関連だとうちも色々と話はあるけど、ユニフォームはまだやってない。
清永:でもさ、これがいざオリンピック日本代表のユニフォームになった時には、やっぱり相澤くん(ホワイトマウンテニアリングのデザイナー)と落合くん(ファセッタズムのデザイナー)も言っていたけど、国を代表するデザイナーがやるべきだよね。イギリスだったらステラマッカートニーだったり。
滝沢:競技場もエンブレムもそうだけど、問題があったのにも関わらずデザインを募集するとか、リスキーなことになっているのを感じたな。いまの世の中は過敏になり過ぎてて、何か表現をすることは面白いはずなのに、つまらないものしか出てこない状態で。一番悲しいのは「何でもいいや」っていう人が多いことだな。
―今の日本のファッション界を、どう見ていますか。
清永:ブランドをやってくのは難しい時代だと思う。陣取り合戦に例えれば、場所がないというか。僕らの時代だと何もないものを作ることから始めたんだけど、今は何でもあるからね。
滝沢:僕らは独自のやり方で20年以上やってきて、これからも東京をベースに模索していくんだろうけど、この時代だからこそ表現についてもう一回考えたいと思う。いまは仕事内容が多岐になっている中で、たまにひたすらデザインだけをする1日があるとモチベーション上がるんだよね。
清永:自分はクリエイターと企業の間の仲人とか通訳的な役割もやってるから、裏方が向いているのかもしれない。ソフについてはこれからも変わらずに、みなさんに必要とされている場所に出ていきますよ。
滝沢:ファッションは趣味とは違うし、この仕事をしてなかったら何になっていたかわからない。厳しい世界かもしれないけど、なんだかんだ面白いから続けてるんだろうな。
■滝沢伸介 Shinsuke Takizawa / NEIGHBORHOOD 代表兼デザイナー
1967年生まれ。モーターサイクルやその周辺のカウンターカルチャーに傾倒し、1994年に東京原宿でNEIGHBORHOODをスタート。「モーターサイクル、ミリタリー、アウトドア、トラッド等の要素を独自の解釈で消化したベーシックな服作り、またそのライフスタイルの提案」というコンセプトはそれぞれのシーズンテーマの中に息づき、NEIGHBORHOODが関わるプロダクトやプロジェクト全てのベースになっている。2009年にイギリスからの影響を感じさせるデザインやラインナップの「LUKER BY NEIGHBORHOOD」、2011年にキッズライン「NEIGHBORHOOD ONE THIRD」をスタート。NEIGHBORHOOD原宿とNEIGHBORHOOD渋谷を拠点に、百貨店のインショップ、国内6カ所と海外3カ所で展開する「HOODS」、その他国内外のセレクトショップで取り扱っている。
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■清永浩文 Hirofumi Kiyonaga / SOPH.co,ltd. 代表兼デザイナー
1967年生まれ。1998年にSOPH.co,ltd.設立。2002年にブランド名を「SOPH.」から「SOPHNET.」に改名し、ミニマムなデザインを軸に、音楽、アート、インダストリアルデザイン...、様々なカルチャーからのエッセンスを一つのファッションとして体系的にまとめることで、ブランドのアイデンティティを確立。ストリート、アウトドア、トラディショナルなど、現代のメンズファッションには欠かせない要素をすべてトータルで併せ持つ。架空のフットボールチームから発展し独立したブランド「F.C.R.B.」ではNIKEとコラボレート。2008年春夏から「fragment design」の藤原ヒロシと共に「uniform experiment」をスタートし、ビジネスシーンに於ける新たなユニフォームを創造したコレクションを展開している。地元大分のプロサッカークラブ「大分トリニータ」をスポンサードするなど、サッカーをはじめスポーツとファッションに関する様々なプロジェクトに携わっている。
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■同世代デザイナー対談
・vol1. ホワイトマウンテニアリング相澤陽介×ファセッタズム落合宏理