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映画の中の悪役の装いといった“ワル”のイメージが根強いためか、日本のサングラスの普及率は、欧米と比較するとまだ低い。しかし、強い光を目に入れ続けることは、虹彩の色素が欧米人よりも濃い日本人にとっても健康被害を誘発するおそれもある。年々過酷になる夏の暑さやまぶしい日差し、紫外線を前に、もはやサングラスは身を守るための「夏の必需品」のひとつと言えるだろう。濃い色のレンズは眩しさの軽減に有効だが、レンズの色が薄くても紫外線カット率自体は変わらないことから、近年はメガネ感覚で身につけられる淡いカラーやクリアカラーのサングラス、紫外線量に応じてレンズカラーが変化する調光レンズにも注目が集まっている。
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大手アイウェアSPAからデザイナーズ、ラグジュアリーブランドまで、多くのブランドが実用性を備えたファッションアイテムとしてのサングラスを提案する中で、今年は「ユニクロ(UNIQLO)」やファミリーマートのオリジナルブランド「コンビニエンスウェア(Convenience Wear)」も本格参入し、日本人にとっての"サングラス元年"になるという声もある。各社に動向を聞いた。
目次
ユニクロ、クレア肝煎りのエッジの効いたデザインに注目
ユニクロは、世界的にUVカットへの関心が高まっていることを受け、今春夏はサングラスの打ち出しを強化、2026年はユニクロの「サングラス元年」になると期待する。型数は昨年とほぼ同じ18型だが、クリエイティブディレクター クレア・ワイト・ケラー(Clare Waight Keller)が初めて監修し、機能とデザインを両立させたアイテムを提案している。価格は2490円で統一し、ラインナップの変化が一目でわかるようにするために、パッケージや陳列方法を見直した。これまでは袋状のパッケージに入れて左側を上にして吊るしていたのに対して、横向きに吊るすことができる箱型のパッケージに変更することで、かけた時の印象に近い見え方でフロントのデザインが確認しやすい売り場に刷新した。新作サングラスコレクションは、2月の発売以降売れ行き好調という。

ユニクロ新宿本店の店頭の様子

新しい箱型パッケージ
幅広い客層に似合う玉型のバランスを追求したデザインがポイントで、一番人気はベーシックなスクエアだが、ナローやビッグシェイプ、ヘキサゴン(六角形)などのトレンドを取り入れたデザインも好調。全てのモデルに紫外線99%カット、ブルーライト25%カット機能を搭載しており、UVカット加工はコーティングではなく紫外線吸収剤をレンズに練り込んでいることから、レンズの裏面に反射して目に入る紫外線もカットする。スポーツサングラスはヒンジをバネにすることで、ランナーも着け外しがしやすい構造になっており、レンズは偏光レンズを採用した。幅広い商品ラインナップによって多様なニーズに応えることで、カテゴリー全体が面で成長を遂げている。





2月に開催した展示会の様子
郊外ロードサイドに商機、ファミマ「コンビニエンスウェア」の躍進
落合宏理と共同開発するファミリーマートのコンビニエンスウェアは、昨年6月に発売した「コンビニサングラス」が3週間でほぼ完売、累計販売7万個の大ヒットとなっている。好評を受け、今年3月から定番の黒に加え、ブラウンカラー2色(ブラウンミックス、クリアブラウン)を販売している。黒は男性の購入者が多かったが、柔らかな印象を与えるブラウンは特に女性客から好評で、すでに追加生産に入っているという。
コンビニエンスウェアの商品は北海道から沖縄の離島まで、日本全国のファミリーマートで販売。24時間、さまざまなシーンで、多様な客層が来店するコンビニという販路だからこそ、デザイン面では「ベーシックなものの良さ」を追求する。ボストンとウェリントンをミックスした「ボスリントン型」のオリジナルフレームに、肌馴染みの良い透け感のあるレンズを合わせ、世代や性別、シーズンの垣根を超えて通年で使いやすいデザインに仕上げた。メガネ店と異なり購入後にフィッティングができないことから、丁番をバネ状にすることで着用者の顔の幅に合わせてテンプルが広がる構造を採用しており、ワンサイズ展開でも着用者の顔にフィットすることも人気の理由だという。

左から定番の黒、新色のクリアブラウン、新色のブラウンミックス
全国的に売れ行きの良いサングラスだが、特に好調なのは郊外のロードサイド店舗。運転中に急な日差しが気になったドライバーが買い求めるサービスエリア内の店舗のほか、スキー場やゴルフ場の近隣店舗など、温暖なリゾート地に限らず、全国的に幅広くサングラスの需要を感じていると担当者は話す。
こうした手応えを受け、今年からは目玉商品であるTシャツと並び、店舗入り口すぐの目立つ場所に専用什器を設けて打ち出している。

什器のイメージ
2490円という手に取りやすい価格もヒットの要因のひとつ。伊藤忠商事傘下であり、全国に1万6000店以上を展開するファミリーマートだからこそ実現できる価格と品質のバランスもコンビニエンスウェアの特徴だ。サングラスをはじめ、靴下やタオル、傘など、各種専業メーカーと共同開発し、高いコストパフォーマンスを実現している。コンビニエンスウェアは今年でブランド立ち上げから5周年を迎えたが、年々人気は高まっており、当初は1台だった什器を現在3.5台にまで拡大。より幅広い商品ラインナップの展開が可能になった。消費者からはサングラスの定番デザインの一つであるスクエアを求める声も多いことから、7月には新型のスクエアサングラスを発売する。今後も「ベーシック」を起点にデザインバリエーションの追加を検討しているという。

7月に発売するスクエアサングラス
通年の紫外線対策需要が拡大
ファッションSPAやコンビ二など、アイウェア専業以外の参入が目立つ中、大手アイウェアSPAのサングラス提案にも今年はさらに気合いが入っている。
ジンズはサングラスの投入を前倒し 幅広い世代が購入
「ジンズ(JINS)」では、サングラスカテゴリーの商品を昨年から約20SKU増やし、150種類以上を展開。世間的なトレンドを反映し、カラー調光とクリアレンズサングラスを今年初投入した。このほか、折りたためるサングラスなどのトレンド性が高いアイテムや、需要が増えているキッズサングラスを強化していく方針だ。また、ニーズの早期化に合わせて、従来は春ごろから盛夏にかけて順次発売していたサングラスを3月時点でまとめて打ち出すようにした。立ち上がり時に幅広いラインナップを揃えたことに加え、各カテゴリーの強みを明確化し、売り場、プロモーションに反映。サングラス選びに不慣れな客層にも選びやすい設計が幅広い世代の購買を呼び、3月のサングラスカテゴリー全体の売り上げは前年比27%増、既製品サングラスのみでは同80%増を達成した。
サングラスで急成長のゾフ、通年訴求を強化
アンバサダーの目黒蓮を起用したCMの放映などが奏功し、昨年サングラスを起点に売り上げを大きく伸ばした「ゾフ(Zoff)」。昨年7月からは戦略を変え、サングラスを「季節商材」ではなく、「目を守る必需品=SUNCUT Glasses」として再定義し、通年で積極的な打ち出しを続けている。現在もオンラインストアの売り上げ上位はサングラスが占めており、今年1〜3月の完成品サングラス(度なしサングラス)の売り上げは前年同期比21%増と好調。同社が力を入れる紫外線100%カットのクリアレンズサングラスは、1月の売り上げは前年の5.1倍、1〜3月でも2.3倍と成長しており、通年での紫外線対策需要の高まりが顕著だ。また、フレームにカスタムすることができる調光レンズは、1月の売り上げが前年の2.5倍と高い水準で伸長した。
個性派デザイン人気にも追い風
K-POPアーティストやラッパーを火付け役に、ファッションアイテムとしてアイウェアをスタイリングに取り入れる風潮が高まっている昨今。デザイナーズブランドやラグジュアリーブランドのサングラスにはどのような変化があるのか。ベイクルーズが運営するアイウェア専門のセレクトショップ「アイシンク(EYETHINK)」でも、サングラスの売り上げは伸びているという。マスクとのバランスを考慮してサングラスよりも伊達メガネの需要が増加傾向にあったコロナ禍を経て、今年のサングラスの売れ行きはコロナ前に対し約20%増ペースだ。
◆注目キーワードは「カーブ」「ボリューム」「ヴィンテージ」
アイシンクの三島正コンセプターによると、オーバルやリムレスの人気が幅広い層に広がる中で、よりファッショナブルで大胆なデザインにも注目が集まり、曲線的なフロントが特徴的なカーブサングラスの人気が加速している。このほか、大胆なボリュームやヴィンテージ感のある色調、ディテールなどに注目が集まると予想し、買い付けを強化しているという。

Image by: EYETHINK

Image by: EYETHINK
カーブサングラス
◆急成長する注目ブランド「プロジェクト プロダクト」
アイシンクで一番販売数が増えているのは韓国発のアイウェアブランド「プロジェクト プロダクト(PROJEKT PRODUKT)」だ。

外側に吊り上がった「キャットアイ」風でありながら、レンズは丸みを帯びたオーバル。内径と外形のニュアンスが異なるモデルはかけやすく、定番の人気商品。(4万2900円)

オーバルでありながらシャープな印象を与えるモデル、2025年にスマッシュヒットしたと三島氏。(4万9500円)
エッジが効きつつも日本人の顔に馴染みやすいモデルが揃う
◆「ブラン」「フェティコ」など国内デザイナーズコラボも人気
年間を通して人気なのは、瞳が見えるくらいの淡色のオリジナルカラーレンズ。また、特に3〜4月は他社と同様に調光レンズが好調で、中でも全モデルに調光レンズをセットして販売している「ブラン(BLANC)」とのコラボシリーズは全店舗1位の人気ぶり。年間1000本以上の別注を依頼し、毎月100本以上を売り上げている。このほか、今年で3年目となる「フェティコ(FETICO)」とブランのコラボモデルも毎年人気だ。


最新のブランとのコラボモデル。クラシックな雰囲気を残しつつ、角丸の柔らかな印象に仕上げたウェリントンモデル
Image by: EYETHINK
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