(左から)MOWALOLA、JW ANDERSON、ERDEM、Simone Rocha
2023年秋冬シーズンのロンドン・ファッション・ウィーク(London Fashion Week)が2月17~21日(現地時間)に開催され、42ブランドがフィジカルなショーを発表した。クリエイティブディレクターにダニエル・リー(Daniel Lee)を迎えた新生「バーバリー(BURBERRY)」や「ジーニアス」の新コンセプトを披露した「モンクレール(MONCLER)」が話題をさらったが、他にも見どころが満載。ユニークなコンセプトで会場を魅了した「JW アンダーソン(JW ANDERSON)」「アーデム(ERDEM)」「シモーン・ロシャ(Simone Rocha)」「モワローラ(MOWALOLA)」の新作発表を振り返る。
「JW アンダーソン」のミューズはあのカリスマダンサー
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JW アンダーソン(JW ANDERSON)は、イギリスのダンサー兼振付師であるマイケル・クラーク(Michael Clark)とのコラボレーションを発表した。1980年代に“パンク・バレエ”で一世を風靡したクラークは、長年アンダーソンにとって憧れの存在だったという。今回のコレクションでは、クラーク率いるダンスカンパニーのアーカイブポスターを取り入れたセットを設置。男性器やコカ・コーラ風のフォントで描かれた「Enjoy God's Disco」といったグラフィックもポスターから引用されたデザインだ。
そして逆さまになったスマイルマークのサロペットや、イギリスの大手スーパー「テスコ(Tesco)」のビニル服をあしらったドレスなど、クラークの代表的な衣装がルックに落とし込まれた。「SHAM MAN(偽物の男)」「THE DENTIST(歯医者)」といった意味深な文字を取り入れたトップスもその一部だという。
Image by: JW ANDERSON
Image by: JW ANDERSON
Image by: JW ANDERSON
Image by: JW ANDERSON
そのほか、ファーやフェザーなどを部分的に使ったユニークなシルエット、ビッグサイズのトートバッグなどもアクセントをプラス。また、ラペルを拡大したアウターやカンガルーポケットのベアトップ、襟元や袖口がチューブ状になったニットなど、過去のアーカイブアイテムをブラッシュアップして復活させ、15周年の節目にあらためてJW アンダーソンが持つ前衛的なアプローチを示した。
Image by: JW ANDERSON
改装した古い家に現れた女性たちの亡霊「アーデム」
「アーデム(ERDEM)」の2023年秋冬コレクションは、ホーンテッドハウスのような少し不気味な空間でショーを開催した。会場では階段や床板を踏みしめる⾜⾳や、ドアの開閉音が鳴り響く。着想源となったのは、デザイナーのアーデム・モラリオグル(Erdem Moralıoğlu)自身がブルームズベリーの古いタウンハウスを解体していくうちに発見した、かつての住⼈の⾯影だ。そこはヴィクトリア朝時代に設⽴された「A Home of Hope for the Restoration of Fallen Women(社会から転落した⼥性のための希望の家)」と呼ばれた施設。1892年までに3216⼈の⼥性が⼊所していたことが判明したという。
アーデムは今回のショーで、その女性たちを現代へと解き放った。無数の電球が吊り下げられた薄暗い空間に、ヴィクトリア調のドレスをまとったモデルが次々と登場。アーデムが得意とするフラワープリントが取り入れられ、イエローやライラックといったカラーリング、そしてパフトップのオペラグローブなどが幻想的なムードを盛り上げた。
Image by: Jason Lloyd Evans for ERDEM
神秘的な儀式をリボンとラフィアに込めた「シモーン・ロシャ」
「シモーン・ロシャ(Simone Rocha)」はウェストミンスターメソジスト教会でショーを発表した。会場にはブラッドレッドの絨毯が敷き詰められ、ケルトの音楽に合わせて中央階段からモデルたちが降りてくる。インスピレーション源となったのは、シモーンの故郷アイルランドで開催される収穫祭「ルグナサド(Lughnasadh)」。細く垂れ下がる赤いリボンは、子供の顔に血を塗って悪霊を追い払うアイルランドの伝統文化を反映したものだという。日本で活躍するモデル モトーラ世理奈も起用され、両目の下や耳、胸元にリボンをあしらったルックでランウェイを歩いた。
また、小麦の収穫を祝うかのようにストロー素材が随所に取り入れられ、ドレスのクリノリンにラフィアを詰めたルックも登場。太陽を思わせるメタリックなドレスも、シモーンのシグネチャーであるボリューミーなパフスリーブで展開された。
究極のローライズデニム!? 「モワローラ」が見せるNYスタイル
ナイジェリア出身のモワローラ・オグンレシ(Mowalola Ogunlesi)が手掛ける「モワローラ(MOWALOLA)」は昨年6月にパリでデビューし、「ニューバランス(New Balance)」とのコラボレーションシューズを発表するなど、今勢いのあるブランド。今シーズンはロンドンファッションウィークで、私たちの日常生活を取り巻くテクノロジーやインフラからインスピレーションを得たコレクションを発表した。
会場の中央には大きな穴が描かれており、映像で見ると建物が崩壊したかのようなトリックアートとなっている。スウェットやキャップには、ヤンキースロゴ風の「MY」や、MoMA風の「MoWA」グラフィックなど、ニューヨークを代表するモチーフを引用。また、膝までずり落ちたローライズデニム、あるいはハイレグのショーツで大胆なルックを完成させた。デザイナーが得意とするレザーアイテムも多数展開し、ショー終盤には顔周りを電飾で光らせたモデルも登場。最初から最後まで、ユニークなギミックで観客たちを驚かせた。
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