ADVERTISING

シンフラックス、ケリングらが審査の国際イノベーションアワードでグランプリ獲得 日本企業の受賞は初

授賞式の様子

Image by: Global Fashion Agenda

授賞式の様子

Image by: Global Fashion Agenda

授賞式の様子

Image by: Global Fashion Agenda

 サステナブルファッションを推進する非営利団体「Global Fashion Agenda(GFA)」などが主催するアワード「トレイルブレイザー プログラム(Trailblazer Programme)」が、2026年度の受賞者を発表した。今年は、「Tech-Powered Transformation(テクノロジー主導の変革)」部門で日本企業として初めてファイナリストに選出されたデザインラボラトリー「シンフラックス(Synflux)」がグランプリを受賞。受賞直後のシンフラックス 代表取締役CEO 川崎和也氏に、受賞の感想や手応えについて話を聞いた。

ADVERTISING

シンフラックスの川崎和也氏

Image by: Global Fashion Agenda

 トレイルブレイザー プログラムは、GFAとファッション領域のイノベーションを支援するPDS Venturesによって2024年に創設されたイノベーションプログラム。ファッション産業が抱える環境課題を、革新的なテクノロジーで解決する次世代のリーダー(Trailblazer/先駆者)を発掘・育成することを目的としている。2026年度は「Working With Nature(自然との共生)」「Closed-Loop Pathways(循環型経路)」「Tech-Powered Transformation(テクノロジー主導の変革)」の3部門を重点テーマに設定。世界中から集まった多数の応募の中から、シンフラックスを含むファイナリスト9社が選出された。

 ファイナリストらは、5月5日から7日までデンマーク・コペンハーゲンで開催された「Global Fashion Summit: Copenhagen Edition 2026」に参加し、自社ソリューションの展示・発表を実施。審査委員長を務めるケリング(Kering)のマリー=クレール・ダヴー(Marie-Claire Daveu)サステナビリティ最高責任者兼機関広報責任者をはじめ、GFAのフェデリカ・マルキオンニ(Federica Marchionni)CEO、PDSグループ共同創設者のファイザ・セス(Faiza Seth)氏らが審査員を務めた。

「Global Fashion Summit: Copenhagen Edition 2026」での登壇の様子

Image by: Global Fashion Agenda

 シンフラックスは、「FASHION FOR THE PLANET/惑星のためのファッション」をミッションに掲げ、川崎氏が共同創業者の佐野虎太郎氏と2019年3月に創業。機械学習、3Dシミュレーション、アルゴリズミックデザインを駆使した、衣服生産時に排出される素材の廃棄を減らす独自のデザインシステム「アルゴリズミック・クチュール(Algorithmic Couture)」の開発・事業化をはじめ、ファッション企業との新商品開発や、大学・研究機関との共同研究など、多角的に事業を展開してきた。過去には、H&M財団グローバルチェンジアワードや、第41回毎日ファッション大賞 新人賞・資生堂奨励賞受賞、Kering Generation Award Japanファイナリスト選出など、国内外で高い評価を受けている。

 今回の選考では、独自のデザインシステム「アルゴリズミック・クチュール」が、生地の廃棄量を最大3分の2、材料使用量を最大15%削減できるという定量的な環境負荷の低減と、既存の生産工程を複雑化させない商業的妥当性を両立している点が評価された。「ザ・ノース・フェイス(THE NORTH FACE)」や「エイポック エイブル イッセイ ミヤケ(A-POC ABLE ISSEY MIYAKE)」「ダブレット(doublet)」など、既に国内外の主要ブランドで商用化が進んでいる実績も、グランプリ受賞の決定打となった。

Image by: Global Fashion Agenda

 GFAのフェデリカ・マルキオンニCEOは、「我々に必要なのは、実際の経済や規制、サプライチェーンの制約の中で機能するソリューションだ。シンフラックスは単に革新的なだけでなく、既存のシステムに統合可能で、実際にインパクトを与えることができる商業的価値を備えている」と称賛した。

 なお、シンフラックスには、財務・法的デューデリジェンスおよび投資委員会の最終承認を経て、PDS Venturesから最大20万ドルの投資を予定。また、PDSグループによる商業・運営面での支援に加え、イノベーションに特化した子会社 Positive Materialsによる開発・商業化のサポートが提供される。

(左)マリー=クレール・ダヴー氏、(中央)ファイザ・セス氏

Image by: Global Fashion Agenda

 川崎氏は今回の受賞について、「ケリングのマリー=クレール・ダヴー氏が議長を務める審査員と、国際的なサプライチェーンのネットワークを持つPDSによって、シンフラックスが高く評価されたことを光栄に感じている。Global Fashion Agendaはファッション産業におけるサステナビリティをけん引してきた世界最大級の企業連合体であり、彼らとのつながりが得られたことは非常に有意義だった」と喜びを語った。また、最終日のセレブレーションディナーでは、デンマーク王妃陛下に拝謁し、同社の受賞と事業内容を紹介する機会も得たという。

 「Resilient Future(レジリエントな未来)」をテーマとした今年のサミットでは、「サプライチェーンの脆弱性の顕在化、コストの増大、AIの台頭など、ファッションがさまざまな危機に直面する中で、改めてサステナブルファッションの存在意義が問われていると感じた」と川崎氏。そのような状況の中で、「実験より実装、遅さより速さ、テクノロジーに対する恐怖より挑戦が求められる中、それらを満たす次世代のビジネスとして評価された」と現地での手応えを語る。

Image by: Global Fashion Agenda

 また、審査員や他のファイナリスト企業との交流を経て「グローバルなファッション産業のプレイヤーたちは、日々新しい技術の可能性を探り、政策について学び、新たなビジネス創出に向けて絶え間ない努力をしていることに改めて気づかされた。サステナブルファッションは絶え間ない長期的な試みであるべきだが、その方法はより強く、早く、創造的であらねばならないと感じた」と振り返った。

 今後の展望については、「依然としてサステナビリティやサーキュラーエコノミーをけん引する欧州との連携を強化していきたい。今年は初めてスイス拠点のベンチャーキャピタルから資金調達をしたため、それを足がかりに進めていく」と言及。加えて、実際の衣服の製造現場となるアジア圏との連携も積極的に推進し、国内の商社との連携も模索していく予定だという。川崎氏は「今回の受賞は、これからの事業展開に活かすのみならず、日本のファッションやテクノロジーを世界に発信する良い機会にしたい」とさらなる飛躍への意気込みを語った。

最終更新日:

FASHIONSNAP 編集記者

佐々木エリカ

Erika Sasaki

埼玉県出身。早稲田大学国際教養学部卒業後、国内大手アパレルメーカー、ケリング傘下ブランドのMDなどを経験した後、2023年にレコオーランドに入社。現在はウィメンズファッションをメインに担当。ファッションやカルチャーへの熱量と同様にジェンダーや社会問題にまつわるトピックにも関心があるため、その接点を見出し、思考や議論のきっかけとなるような発信をしていけたらと願っている。

ADVERTISING

現在の人気記事

NEWS LETTERニュースレター

人気のお買いモノ記事

公式SNSアカウント