お買いモノインタビュー・対談

カシミヤ専業ブランド「ボーディ」が目指す、上質でボーダーレスな日常着

 ユニセックスのカシミヤアイテムを提案する「ボーディ(BODHI)」。国内では珍しいカシミヤ専業ブランドとして2018年にデビューした。アイテムは、奇を衒わないシンプルなフーディーやクルーネックなど、日々のワードローブに欠かせないものばかり。着込むほどに心地良さを実感できる、最高級のホワイトカシミヤを使用している。数々の有名アパレルブランドでトレンド最前線を駆け抜けたデザイナー水谷倫は、なぜ「究極の日常着」に行き着いたのか?

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アパレルの生産から販売戦略、店頭接客まで一通り経験

はじめに、これまでのキャリアについて教えてください。

水谷倫(以下、水谷):大学を卒業後、大手アパレル企業に新卒入社して11年ほど在籍しました。当時はOJT(On The Job Training=職場内訓練)真っ盛りでしたので、全ての仕事は現場で実践あるのみ。店頭販売からバイイング、マーケティング、生産、MDまで一通り担当し、海外ブランドのローンチや、業務提携していたメンズライフスタイル雑誌とのオリジナルブランド開発など、大手アパレルならではの領域でノウハウを学びました。キャリア系ブランドでは、国内生産工場でモノ作りを経験。編み組織の技術などを基礎から身につけました。ウィメンズからユニセックス、メンズまで複数ブランドに携わったのちに退社し、2018年にボーディを立ち上げて今に至ります。

なぜカシミヤ専門のブランドを立ち上げようと思ったのですか?

水谷:前職で数々のブランド異動を経験したことで、変わらないことを続けたい気持ちが強くなったんです。また、当時は「H&M」や「フォーエバー 21(FOREVER 21)」といったファストファッションが全盛期だった時代。トレンド性の高いアイテムはいわゆる消耗品として捉えられ、そこでいかに売り上げを取るかというファッションシステムに疑問を感じていました。

一つのものを大事にする価値を伝えたい

水谷:トータルブランドをいくつも経験しましたが、僕自身がスウェットとニット好きだったから、トップスに特化したブランドを作ろうという流れは自然でした。古着も好きでよく着るのですが、スウェットなどはどうしてもヴィンテージだと色褪せてきてしまう。その点ニットは、経年劣化しにくいアイテムなんです。ちょうどその頃は合成繊維が体質に合わなくなってしまい、天然素材について詳しく調べるようになった時期でもありました。突き詰めると、一番劣化しにくく体に優しい素材がカシミヤだった。自分が作りたい"一生モノとして大事に着られるスウェット"にぴったりな素材でした。 

飽きのこないシンプルなシルエットなので、素材の良さが際立ちますね。

水谷:「究極の天然素材を日常で着る」と決めて、自分が好きなスウェットのボックスシルエットに落とし込んでいます。妥協せずに作った上質なカジュアルをまとえることが、一番の贅沢。心地良さに加えて性別やトレンドなどにも縛られない、ボーダーレスなアイテムを作りたいと思いました。ボックスシルエットのニットは色々なボトムスとバランスがとりやすく、そこが個性の見せどころ。人それぞれ、自由なスタイルで楽しんでもらいたいですね。

カシミヤと聞くと高級素材ゆえ、どうしても普段着として着るには取り扱いが難しそうなイメージがあります。

水谷:カシミヤニットは水洗いができるんです。細い直毛で強度があり、耐久性が高く、毛玉に"なりにくい"のが特徴です。糸から染める工程で仕立てるので、色褪せることもない。決して扱いにくい素材ではないのですが、今の市場では質の良いものからそうではないものまで、さまざまなクオリティのものが出回っており、消費者に伝わりにくくなっていると感じます。一過性のトレンドアイテムではないからこそ、お客さまとのコミュニケーションを密に取りながら、大事に着続けられることを伝える必要がある。実際、全国の卸先ショップを廻るツアーを開催していて、店頭に立って顧客に素材の魅力やお手入れについて細かくお話ししています。

家具や器を作る感覚でニットを作っている

ボーディはどんなお客さまに支持されていますか?

水谷:ユニセックスで提案しているので、客層は幅広いです。20代から70代まで、年齢も実にさまざま。素材に年齢や性別って関係ないんです。僕がやりたかった"ボーダーレス"のコンセプトを追い求めると、素材に行き着きました。コレクションを作っているというよりは、家具や器といったプロダクトを作るのに近い感覚でモノ作りをしています。プロダクトに性別は関係ないですよね。

水谷:ボーディのものづくりの本質は、普遍的な素材やプロダクトという土台にありながら、ファッションという移り変わりゆく波に抵抗なく浮かんでいるイメージ。これまでの自分のキャリアと真逆に振り切っていますね(笑)。"都会の能動的なパワーだけでなく、自然から与えられる受動的なエネルギーを求めるようになった"感覚というか。前職の経験があったからこそ生まれたマインドですね。

毎シーズン、どのようにコレクションを考えていますか?

水谷:常に手帳を持ち歩いていて、ちょっと気になったことやイメージソースなどを書き留めるようにしています。手を動かす方が、内容を覚えているんです。カートリッジ式のラミーペンの質感が記憶に残りやすい。モノ作りも道具も、触った肌感が大事なんですよね。何気ない日常からアイデアが浮かんできます。

 2022年秋冬のキーワードは"薄さ"。これは気候変動の影響も大きく、アウトドアウェアのようにレイヤードで調節できるアイテムが欲しいと思ったのがきっかけでした。これまでは出来るだけ度詰めにしたり、肉厚にしたりすることを追求していたので。ポロやクルーネックをハイゲージのフリーサイズで提案したことや、12ゲージのスタンダードニットでイエローやパープルといったカラーバリエーションを増やしたことも気軽に着て欲しいと思った新しい取り組みの一つです。カシミヤをロンT感覚で、気軽に着てもらいたいですね。

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今後の展望や課題を教えてください。

水谷:日本で珍しいカシミヤ専業ブランドとして、海外に出ていきたいです。来季は韓国のショップとの取引が決まるなど、少しずつ進めています。目指すのは「カジュアルの上質化」。"ドレスダウン"の対義語のように言えば、例えば "カジュアルアップ"のように日常の豊かさや上質さを身近に感じ取れる提案していきたいです。

 コロナを経て生活様式が激変し、マスクを通した人との距離などに皆が敏感になっている今、カシミヤを手に取った時に改めて感じてもらえる心地良さや安心感があると思うんです。もっともっとブランドを認知してもらって、カジュアルの上質化を広げていきたい。ボーディのニットを1枚持っていれば世界一周旅行の道中をしのげるような、究極の日常着が理想ですね。どこでも生活できるタフでクオリティーの高いワードローブをカシミヤアイテムを通して作っていきたいです。

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ブランドについてもっと詳しく
「ボーディ」とは?——取扱店舗の情報からこだわりのカシミヤパーカーまで解説

BODHI 2023年 issue03

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BODHI 2022年秋冬コレクション

一井智香子(Chikako Ichinoi)

1986年神奈川生まれ。慶應義塾大学商学部を卒業後、三越伊勢丹に入社。伊勢丹新宿本店メンズ館の紳士雑貨でアシスタントバイヤーを務めた後、2011年にINFASパブリケーションズ入社。「WWDジャパン」記者として、主にメンズファッションを担当。ピッティ、ミラノ、パリメンズコレクション取材を始め、セレクトショップや百貨店、ファッションビルのビジネス動向を取材。現在はフリーランスとして、ファッションやライフスタイル系の記事執筆を手がける。男児と女児の母。

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