英語で"ダウン(down)"とは、綿毛や羽毛の意。ダウンジャケットは主に、キルティング加工した生地にグース(がちょう)やダック(かも)といった水鳥の羽毛を詰めて仕立てた上着を指します。保温性が高く、アウトドアシーンをはじめ、極寒地で作業する人たちにも重宝されてきました。近年では機能性はもちろん、スタイリッシュさを兼ね備えたデザインが増加。シティユースに適した様々なタイプが販売されています。ファッション性が高く高性能のダウンジャケットで支持されている、定番ブランドを集めました。
目次
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1. デュベティカ(DUVETICA)
イタリアのベニス近郊にあるモリアーノ ベネトで、ダウンのスペシャリストらによって2002年に創業したダウン専業ブランド。ブランド名は、フォアグラの産地としても知られる南フランスのペリゴール地方で、グレイグース(がちょう)の副産物として採取された胸元のダウンボールとフェザーのみを使用していることから、フランス語で”ダウン”を表す "Duvet(デュベ)"と、イタリア語で”倫理・道徳”を意味する"Etica(英語:Ethics)"を掛け合わせています。高機能素材とコンテンポラリーなデザインをが特徴。フランスの規格協会が最高品質のダウンと認めた「キャトルフロコン」マークを取得しています。
製品の特徴
定番モデル「ディオニシオ(dionisio)」は、ブランドアイコンでもあるフードトップまで続くフルジップデザインが特徴で、ショート丈のダウンジャケット。表地、裏地、ジップの3ヶ所にはそれぞれ違う色を配色しています。表素材にはフランス・ソフィレタ社製の艶やかなウルトラシャイニーナイロンを採用。トレンドやコーディネートを選ばないミニマルなスタイルに仕上げています。
■デュベティカ(DUVETICA):公式サイト
2. カナダグース(CANADA GOOSE)
1957年、カナダ・トロントでサム・ティック(Sam Tick)がウールのベストやレインコート、スノーモービルウェアを専門とするメトロスポーツ社(Metro Sportswear Ltd.)を創業。1970年代にサムの義理の息子デーヴィット・リース(David Reiss)が入社してからは、衣服に大量のダウンを入れることができる機械を発明し、ブランド「スノーグース(Snow Goose)」を設立。その後「カナダグース」に改名しました。カナダ製で寒さの厳しい環境に対応できるよう作られているため、南極探検隊や北極探検隊、エベレスト登山隊なども着用しています。
製品の特徴
南極のマックマード調査ステーションで働く科学者達のために開発された「エクスペディション パーカ(Expedition Parka)」や、カナダ北極圏警備隊やファーストエア航空の地上職員などの制服にも採用されている「スノーマントラ パーカ(Snow Mantra Parka)」は、ブランドの原点とも言えるダウンジャケット。いずれも-30℃以下になる極寒地での実次試験にクリアしています。「シャトー パーカ(CHATEAU PARKA)」がベースの日本企画モデル「ジャスパー(JASPER)」は、ダウンステッチやアウトポケットなどが表に出ていないためスマートな印象。オンオフ問わず着用でき、男女共に人気のモデルです。
3. ザ・ノース・フェイス(THE NORTH FACE)
1966年にサンフランシスコで登山用品を扱う小売店としてスタートした「ザ・ノース・フェイス」は、1968年に自社ブランドの登山用アパレルやアウトドア用品の開発を始めました。同時期、ヨセミテ公園のハーフドームの北壁をモチーフに新しいロゴを作り、自社製品に生涯保証制度を導入。アウトドア用ダウンジャケットの基礎ともなったシェラ・パーカや、快適に使用できる最低温度表記「最低温度規格表示」を導入したスリーピングバッグ、世界初のドーム型テント「オーバルインテンション」などを開発し、アウトドア用品に革新をもたらしてきました。
製品の特徴
アウトドア向けに作られた「バルトロライトジャケット(Baltro Light Jacket)」や「ヌプシジャケット(Nuptse Jacket)」は極寒地で耐えられる高機能を備えつつ、ファッションアイテムとしてストリートでも定着しています。マウンテンジャケットにダウンを封入した「マウンテンダウンジャケット」や、1970〜80年代に誕生した極地観測用モデル「ブルックスレンジ(BROOKS RANGE)」を都市向けにアレンジした「WSブルックスレンジライトパーカー」、1969年に発売されたシェラ・パーカのデザインを継承するヘリテージモデル「キャンプシェラショート」などシティユース向けの商品を豊富に取り揃えており、化繊わたを使用したタイプも登場。鮮やかなカラーも含めた色展開など、幅広いバリエーションから選ぶことができます。
■ザ・ノース・フェイス(THE NORTH FACE):公式サイト
4. デサントオルテライン(DESCENTE ALLTERRAIN)
デサントオルテラインから展開されている水沢ダウンの開発のきっかけは、バンクーバー五輪日本代表ウェアの提供でした。寒さと雨の多い現地の気候を考慮し、雨や雪にも強い防寒ウェアというコンセプトと「職人の手から生まれるハイテクダウンジャケット」「今までのコンセプトを覆すユニークなダウンジャケットをつくりたい」との想いから、2007年にプロジェクトがスタート。翌2008年、岩手県奥州市(旧水沢市)にあるデサントアパレル水沢工場の技術とノウハウを集結させたダウンジャケットが誕生しました。国内でも珍しいダウンウェアの一貫生産体制が整えられており、裁断からダウンパックの形成、熱圧着加工、ダウン詰めまでの全工程を、熟練の職人が手掛けています。
製品の特徴
ステッチを最小限に排除したミニマルなデザインが特徴。熱接着ノンキルト加工とシームテープ加工で防水性と耐水性を高めたことにより、雨や雪の日も快適に過ごすことができます。水沢ダウンの原点「アンカー(ANCHOR)」、ハイスペックモデル「マウンテニア(MOUNTAINEER)」などが代表モデルで、いずれも表地に4WAYストレッチ素材DERMIZAX MICRO STRETCH、裏地には光を熱に変換し保温性能を発揮するHEAT NAVIを採用。軽量モデルの「シャトル(SHUTTLE)」は、ISPOアワードやJAPAN GOOD DESIGN賞の特別賞などを受賞しています。
■デサントオルテライン(DESCENTE ALLTERRAIN)
プロダクトライン:水沢ダウン
公式サイト
5. ヘルノ(Herno)
1948年にジョゼッペ・マレンツィ(Giuseppe Marenzi)がイタリア北部のレーザで創立したアウターウェアブランド。雨が多い気候から製作されたレインコートにはじまり、カシミヤコートやジャケットなども展開しています。イタリアならではのエレガントで最高級品質のアウターを追求し、伝統を守りながら進化を続けています。
製品の特徴
チェスターコートやモッズコートなどアウターをメインに幅広く取り扱う中でも、ヘルノの代名詞と言えるのが軽量ダウンです。ダウンパックを使用しない製法などクラシカルな要素とハイテクノロジーを融合し、ソフトな着心地を実現。極薄ナイロンやスマートな印象を与えるシルエットにより、高品質のハイカジュアルなスタイルが大人の男女に支持されています。2018年秋冬シーズンにスタートした新コレクション「LEGEND」は、メンズの過去のベストセラーモデルからセレクトして定番化。全て撥水加工された20デニールのマットなナイロン素材と天然ダウンが用いられています。
■ヘルノ(Herno):公式サイト
6. ユニクロ(UNIQLO)
ファーストリテイリングが運営するユニクロは、1984年に広島市に1号店を開店。現在では日本全国をはじめ世界各国で展開しています。LifeWearをコンセプトに、低価格で機能的な日常着を幅広く展開。東レや島精機製作所といった外部企業との提携や、パリR&Dセンターのアーティスティック・ディレクターとして起用したクリストフ・ルメール(Christophe Lemaire)などトップデザイナーとの協業でも知られています。
製品の特徴
ユニクロが展開するウルトラライトダウンジャケットは、薄くて超軽量。保温性に優れ、アウターとしてだけではなくコートやジャケットのインナーとしても活躍します。付属する収納袋に納めてコンパクトに持ち運ぶことができ、手入れは家庭で手洗いが可能。ベストやロングコート、縫い目がないシームレスタイプといった様々なデザインで色展開が幅広く、老若男女に支持されています。
7. パタゴニア(patagonia)
米国カリフォルニア州のベンチュラで1973年に創立。クライミングギア・サプライヤーとして米国最大の規模まで成長させたイヴォン・シュイナードが、アウトドアウェアを製造販売する会社として立ち上げました。クライミングをはじめ、スキー、スノーボード、サーフィン、フライフィッシング、パドリング、トレイルランニングを楽しむ人に向けたウェアを提供。シンプルさと実用性に徹したデザインを追求し、徹底した品質主義と環境行動主義で知られています。
製品の特徴
パタゴニアが使用するバージン・ダウンは、NSFインターナショナルの基準であるアドバンスト・グローバル・トレーサブル・ダウン・スタンダードの認証済み。強制給餌や生きたままの羽毛採取などを行わない供給が保証されています。定番アイテムは、軽量でコンパクトに収納できる「ダウン・セーター・ジャケット」。また防風性を備え悪天候にも対応する「メンズ・ジャクソン・グレイシャー・ジャケット」は、100%リサイクル・ダウン(ダウン製品から再生されたダックダウンとグースダウン)のインサレーション入り。ベビーやキッズサイズのダウンウェアも揃い、普遍的なデザインで長く愛用することができます。
■パタゴニア(patagonia):公式サイト
8. タトラス(TATRAS)
イタリア・ミラノ発のアウトフィットレーベルとして2006年秋冬にスタートしました。「in everywhere」をブランドコンセプトに、「ベーシック」「ミリタリー」「エレガンス」、ワンランク上の洗練されたデザインやクオリティを追求する「R LINE」、モノづくりにフォーカスした「ATELIER LINE」の全5ラインで構成。「機能的」「洗練された」「唯一無二」3つの普遍的テーマから造形美を追求しています。
製品の特徴
ドレッシーダウンと称されるスマートなシルエットが特徴。王道モデルは、ブランドデビュー当初からの定番「KRAZ」と、後継モデル「BELBO」。シャイニーな質感のナイロン素材で、ファッション性が高くタウンユース向けにデザインされています。ウィメンズでは、女性らしいAラインの「POLITEAMA」が人気。
9. ウールリッチ(WOOLRICH)
1830年、創業者ジョン・リッチ二世により、アメリカ東海岸ペンシルベニア北部プラムランに設立された毛織工場が始まり。南北戦争時には北軍のためにブランケットを供給し、アメリカ政府からは南極探検隊の衣料一式の依頼も。ハンター用ジャケットやパンツなどのアウトドアウェアを中心に生産し、原料から製品までアメリカ国内で一貫生産する体制を整えています。ハンター同士の誤射を防ぐために開発された赤×黒の「バッファローチェック」はブランドのアイコン。
製品の特徴
定番モデルは、1972年にアラスカのパイプライン作業の耐寒ウエアとして開発された「アークティックパーカ」。創業180周年の2010年には38年ぶりにシルエットがモダナイズされ、2012年には着丈などのディテールをアップデート。イタリア名門サッカーチームAC・ミランのベンチウォーマーに採用されるなど、機能とファッション性を兼ね備えたダウンジャケットとして支持されています。
10. スノーピーク(snow peak)
1958年創業のキャンプ・登山・アパレルを中心としたアウトドアブランド。ものづくりの町として栄える新潟県燕三条で、金物問屋としてスタートしました。創業者の山井幸雄は登山家でもあり、職人技術を生かしてオリジナルの登山用品を開発。1963年にスノーピークの名称を商標登録し、1976年には自社工場を設立しました。息子の山井太が入社した1986年以降、ハイエンドなキャンプギアの開発を開始し、オートキャンプブームを牽引。アパレルは2014年から本格的に展開しています。
製品の特徴
スノーピークの製品は、キャンプシーンでの実用性を考慮した作りが特徴。難燃加工を施したタキビ(TAKIBI)シリーズは、2018年秋冬にアップデートしました。「タキビダウンジャケット」にはテイジンと2年がかりで開発し、消防服などにも使用されるメタ系アラミド素材を加えたオリジナルの新素材を使用。また耐久撥水加工を施した素材の「ピローダウンジャケット」は、背裏のメッシュポケットに収納すると枕として使うこともできます。
11. ストーンアイランド(Stone Island)
ボローニャ出身のアートディレクターで「C.P.カンパニー(C.P.COMPANY)」を立ち上げたマッシモ・オスティ(Massimo Osti)が、1982年にイタリア・モデナ郊外のラヴァリーノで「ストーンアイランド」をスタートしました。翌年にはクリエイティブディレクターで現社長のカルロ・リヴェッティ(Carlo Rivetti)が参画。繊維やテキスタイル関連の最高峰の研究の象徴となることを目指し、最先端の素材技術や革新的なデザインを取り入れています。これまでに自社のカラーラボラトリーで生み出された染色配合は6万以上で、染色や加工の実験を通じて実用化された、縫製後に手を加える独自の仕上げ方式が特徴。ボタン留めのラベルにはコンパスが描かれています。
製品の特徴
ブランドの代表的な技術ガーメントダイ(製品染め)による独特の風合いと質感が特徴。定番のダウンジャケット「GARMENT DYED CRINKLE REPS NY DOWN」は、内側に樹脂加工を施すことで防風性を高めています。薄手のナイロン100%の生地は軽い雨を防ぐことができるウルトラハンマード仕上げ。樹脂でコーティングし染料液を不均一に浸透させることで、表面が細かいマーブル模様となっています。また最高品質の羽毛には、縫製後の染色に耐えられる加工が施されています。
■ストーンアイランド(Stone Island):公式サイト
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