東京の街を舞台に、どこか既視感がある日常ながらも物憂げで時には思わずクスッと笑ってしまうスナップ写真を撮るオカダキサラ。そんなオカダによる連載「歳時キサラ」。独自の観察眼で切り取られたその季節ならではの4枚の写真を、それぞれに付随するタイトル&テキストと共にお届け。だんだんと暖かくなってきた3月の東京。オカダがついついシャッターを切りたくなったのはどんな瞬間?
さいじ‐き【歳時記】
1,一年12ヵ月、または季節に分かち折々の自然・人事などを記した書物。
2,俳句の季語を集めて分類・整理し、解説や例句を載せた書物
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Image by Kisara Okada
でも愛は収まりきらない
3月に入って間もなく、近場の公園の河津桜が満開になった。
このスポットは記念撮影する人で多少賑わうけれど、混み合うほどではない。
平日は特に気に入るショットが撮れるまで、みんな気兼ねなく粘れる。
ワンちゃん、赤ちゃん、子ども、友人、お嫁さん、お婿さん、カップル、伴侶、家族、自分……
愛おしいものを桜と一緒にフレームに収めて、春の始まりを満喫している。

Image by Kisara Okada
町の魚屋さん
今どき珍しい「町の魚屋さん」を見つけた。
店先で寸胴鍋を乗せたガスコンロがフル稼働していた。
何を作っているんだろう?
訊いてみると、店主はニカッと笑って蓋を開けてくれた。
香ばしい煙と共に現れたのは鯖の燻製。
鯖を干すところから始まるので、作るのに3日以上はかかるという。
お腹の全虫が鳴いた。
一ついただいて帰る。
サンドイッチにするとおいしいよと教えてもらった。
花見に行く時、作ろう。

Image by Kisara Okada
紙焼きの思い出
暖かな日差しの中、素敵なドレスとスーツ姿の3人が互いに写真を撮り合っていた。
卒業記念だという。
私が学生の頃、記念写真を撮るときに使われていたのはインスタントカメラで、写真の交換は焼き増しのプリントだった。
高校を卒業した時に撮ったクラスの集合写真は今も玄関に飾られている。
だいぶ色あせて、表情も読み取りづらくなってしまった。
けれど、記憶が補填してかつての級友たちの顔を思い出させてくれる。

Image by Kisara Okada
鉄道前線
いすみ鉄道と菜の花を撮りに行った。
地元の方や現場にいたカメラマンに撮影スポットを教えてもらいながら、初の鉄道撮影にチャレンジ。
普段、踏切で電車が通過するのを待っていると長く感じるのに、
カメラで捉えようとすると、車体は一瞬で通り過ぎてしまう。
追いかけるのに必死だ。
ベテランカメラマンも「撮り逃してしまったので、また1時間待ちます」と苦笑していた。
鉄道写真の道は、線路のように果てしない。
1988年東京生まれ。武蔵野美術大学映像学科卒業。大学在学中に東京をテーマにストリートスナップを撮り始める。忘れられてしまうばかりの瞬間には、毎日の見方を変える不思議な仕掛けが隠されているのではないか。そんな思いで街にレンズを向け続けている。第4回1_WALLファイナリスト、2015年度ユーナ21入選、2016年度コニカミノルタフォトプレミオ入選。
公式オンラインストア
■開運ブックマーケット「未知しるべ」にオカダキサラが出展
日時:2023年5月3日(水)9:30〜13:45
会場:中野サンプラザ13Fコスモルーム
公式サイト
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