パリ最注目の若手として、“糞便”を意味するこのブランドを挙げる者は多いだろう。2025年秋冬シーズンにデビューした「マティエ フェカル(MATIÈRES FÉCALES)」だ。創設者のハンナ・ローズ(Hannah Rose)とスティーブン・ラジ(Steven Raj)は、ブランド設立前からエイリアン風のヴィジュアルがSNSで話題を集め、リック・オウエンス(Rick Owens)が自らメンターを買って出たことでも知られている。
ADVERTISING
2026年秋冬は世界人口の1%の超富裕層にフォーカスし、彼らの虚栄心を強烈に風刺。2027年春夏は対照的に社会的弱者に焦点を当て、99人の有色人種モデルによるショーで喝采を浴びた。強烈なメッセージとフェティッシュなルックが耳目を集める一方、ドーバー ストリート マーケット パリ(DOVER STREET MARKET PARIS)の支援のもと作られる製品の仕上がりは美しい。レディー・ガガやゼンデイヤなど多くのセレブリティに愛されるのも頷ける。
まさに飛ぶ鳥を落とす勢いだが、システムを内側から解体しようと挑む彼らの目に、業界やブランドの現状はどう映っているのか。「もう誰もブランド物を買っていない」「商業化は大歓迎」と語る2人に、ラグジュアリー産業の矛盾と未来、反体制的な表現とマスマーケットの関係性、パリでの暴動への本音などを尋ねた。

2026年春夏コレクション
Image by: ©Launchmetrics Spotlight

2025年秋冬コレクション
Image by: ©Launchmetrics Spotlight
目次
批判的思考をデザインで促す
──「糞便」を意味する挑発的なブランド名ですが、なぜこのような名前をつけたのですか?
ハンナ・ローズ(以下、ハンナ):私たちはファッション業界における無駄なものについて話したかったの。とても華やかな業界だけど、ネガティブな部分も多くある。私たちのブランドはそうした現実を反映したもの。それから、人々が服を見るときに、ブランド名ではなく、ただデザインにも魅了されて買ってほしいという願いの表れでもある。この業界では、単に有名ブランドだからという理由だけで購入し、服そのものやデザインの意図には関心がないという人々があまりに多いと思う。ある種、そういう業界への問題提起でもあります。
スティーブン・ラジ(以下、スティーブン):醜い言葉だし、ファッションにおけるブランディングや、その美しさを語る上で使われる言葉ではない。けれど、僕たちのあらゆる創作プロセスがそうであるように、その醜い言葉を再文脈化することが重要なんだ。僕たちは、大半の人が嫌悪感を抱くようなものからインスピレーションを受けてきたし、醜いとされているものにも平等に美しさが宿るということを示したい。

左:ハンナ・ローズ、右:スティーブン・ラージ
──美醜の二元論だけではなく、あらゆる固定観念や支配的なシステムに挑戦しているように感じます。ファッションデザインなどの創作活動を通じて、具体的に何を達成しようとしていますか?
スティーブン:批判的思考を広めることかな。マティエ フェカルに影響を受けた人々が、自分たちの生活や社会、メディア、産業、消費の構造、批判を抑圧するようなあらゆる権力に対して、疑問を投げかけるようになってほしい。僕たちの作品のコンセプトや、そこで提示している美しさを目にすれば、好奇心が刺激されると思う。それは疑問や熟考の種になって、二つの物事が対立し分断しているような状況において、対話を生み出すことができる。それこそが、僕たちが達成しようとしている長期的なゴールだね。
──過去4回のコレクションについて、反応はどうでしたか?
スティーブン:デビューから2年で、しっかりとした顧客基盤ができたと思う。熱狂的なファンに支えられ、取り扱ってくれるショップも増え、マティエ フェカルを愛用してくれるセレブリティとの縁も広がった。これの何が素晴らしいって、この不快なブランド名が社会に少しずつ溶け込み、醜いと見なされていたものが美しいものとして受け入れられたことさ。誤解されていたとしても、自分に忠実に表現を続けていれば、遅かれ早かれ人々は理解してくれるということを示せた。以前であれば僕たちを受け入れられなかったかもしれない人々が、作品を理解していくのは素晴らしい経験だった。
レッドカーペットを席巻するマティエ・フェカル
SNSで生まれた“エイリアン”のコミュニティ
──ポストヒューマン的な美学や、グロテスクで皮肉めいた表現が持ち味ですが、お二人のバックグラウンドはどのように影響していますか?
スティーブン:僕たちは非常に保守的な環境で育ち、居場所がないと感じていた者同士。どこかで自分がエイリアンであるかのような感覚を抱いていた。その他者性はクリエイションにも反映されていて、だからこそ人ならざるものの美に強く惹かれたのだと思う。もし我々が人間でなかったら身体の形はどうなっていたのかという好奇心が、ユニークな美のヴィジョンを生み出したんだ。
──ブランド創設以前のSNSでの発信においても、そうした表現は一貫しています。
スティーブン:SNSでの発信を始めたのは約11年前。僕たちが感じていた疎外感に共感する人々は段々と増えて、コミュニティが形成されていった。それぞれの環境で「自分には居場所がない」と感じている人は多くて、そうした人々がこのコミュニティに帰属意識を持ってくれるのは美しい現象だった。それは、僕たちが出会ったときに、互いに与え合ったものでもあるからね。
今はマティエ フェカルを通じて、そのヴィジョンをさらに推し進めているところ。人類の起源と今日の姿を比較すると、大きな違いがあるよね?なら、100年後の僕たちだって今とは違う姿をしているかもしれない。人間の可能性を拡張して、いろいろな在りようを認めていくことに、僕たちは関心を持っているんだ。
伝統を学んでこそ、伝統を破れる
──過激なコンセプトに注目が集まりがちですが、服自体は丁寧に美しく作られている印象です。
ハンナ:製品の品質はとても重要。この業界には多くの無駄があると批判した通り、このブランドではよく出来た長持ちする服しか作らないと決めていて。私たちのジャケットは精巧に作られているから、何シーズンも、何年も、手入れ次第では一生着られる。私たちはファッションスクールで出会い、そこでパターンメイキングや縫製などの基礎を叩き込まれたから、服が適切に作られているかどうかはよく分かる。もの作りとしての質の高さがあるからこそ、コンセプトが破壊的だとしてもバランスが取れ、調和が生まれるのだと思う。だから、品質はとても大切なの。



スティーブン:そもそも、コレクションは私たち自身の経験や関心を反映したもの。社会で物議を醸すような要素があっても、それは二人にとっては単に興味深いものに過ぎないんだ。そうしたトピックと同様に、僕たちは質の高いもの作りを愛していて、工芸や職人技といったものにも強い関心を持っているということ。品質を最大限高めるために研究し続けているし、それはコレクションの伝え方においてもそう。ブランドを作るとは一つの世界を作ることで、その作り込みも製品自体の仕上がりと同等に重要だからね。
──品質についてのこだわりは、服作りを始めた当初から変化がありましたか?
ハンナ:変わらない。学生時代からずっと、すぐに壊れてしまうような質の悪いものを作る気はなかったし、そんなものを作るくらいならブランドなど立ち上げない方がいいと考えていたの。例えば、ツイードであれば全て質の高いフランス製を使いたい。


スティーブン:ただ、マティエ フェカルを立ち上げる前に、SNSを通じてハンドメイドの服をオンライン販売していたことがあって、その頃はリサイクル素材を使って手頃な価格のアップサイクル作品を作っていたんだ。今みたいに豊富なリソースがなかったから、作れるものにも限界があった。その経験があったからこそ、優れた工場やアトリエと仕事ができ、開発や生産のスペシャリストたちと協力しながら、妥協のないもの作りができる今の環境にワクワクしているんだ。僕たちはまだ4シーズン目を迎えたばかりの新興ブランドで、伸び代はたくさんあると思う。
──伝統的な美の規範を解体しつつ、服の仕上がりについては完璧さを追求するというのは、ある種の二面性がありますよね?
ハンナ:それは意図的なもの。例えば、このスーツは一見クラシカルな「シャネル(CHANEL)」風だけど、裾はほつれて今にも崩壊しそうでしょ。対立する二つの思想を並置することが重要なの。ファッションにおいては、それらが融合することで美しさが生まれるから。
スティーブン:僕たちは、クチュールに象徴されるような伝統的な服作りを、カッティングや縫製などにおける技術的な正しさを尊重している。しかし同時に、それらすべてを解体する自由にも影響を受けているんだ。そして、伝統を学んでこそ初めて伝統を破れるということを理解している。ファッションスクールで極めて伝統的な服作りを学んだことで、今それを解体する自由を得られているのだと思う。


誰もがマティエ フェカルを着る世界へ
──反ブルジョワジー、反保守的なメッセージを発信していますが、一方でブランド自体は、排他的でエリート主義的なハイファッションの世界で活動しています。この点に矛盾や葛藤を感じることはありますか?
スティーブン:僕は、ラグジュアリー産業の世界とは正反対の環境で育った。貧しい家庭の生まれで、有色人種であり、マイノリティ。僕のような人間がこの世界に立ち入ることは、本来想定されていないことなんだ。自分に与えられた才能のおかげで、なんとかここにいる。マティエ フェカルが目指しているのは、僕と同じような境遇の持たざる人々をそこへ引き入れることなんだよ。排他的な空間で活動していると言うなら、確かにその通り。けれど僕たちはブランドの活動を通じて、今までアクセスが叶わなかった人々をコミュニティごとその空間に連れて来る。この業界では決して耳を傾けられることのなかった人々の物語や現実を、コレクションやヴィジュアルで伝えているんだ。
ハンナ:そもそも、ファッションばかりが資本主義との結びつきを批判されるのはフェアではないと思う。ファッションはアートで、アートもビジネスなのに。音楽や映画、絵画と同じで、私にとって服は一つのメディアに過ぎない。だからこそ、ファッションを通じてメッセージを伝えることが重要で、何らかの意味を持ち、人々を助け、高揚させるためのものでなくてはならない。アーティストが制度批判を含む絵画を高値で売ることは問題視されないのに、ファッションではあれこれと言われる。

──一方、マティエ フェカルの服は高価で、それを楽しめる人は限定的だというのが現実です。経済的な理由で商品を購入できないファンと、どのような関係を築いていきますか?
スティーブン:それは僕たちにとって最も重要な問題。だからこそ、経済的な障壁なしに世界中の人々とコミュニティを築けるSNSは素晴らしいんだ。少なくとも我々のプラットフォームやメッセージ、ファッションショーは誰もが自由に楽しめる状態にあるからね。ご指摘の通り、僕たちの服は精巧に作られている分、とても高価。より手に取りやすい価格帯の商品を開発する必要があるし、そのために多くの計画を立てているよ。僕たちの目標は、町中の誰もがマティエ・フェカルを身につけているのを見ること。つまり、可能な限り多くの人々に僕たちの美のヴィジョンを共有し、共感してもらいたい。ただ、ブランドはまだまだ発展途上で、実現には時間がかかると思う。
ハンナ:「コム デ ギャルソン(COMME des GARÇONS)」も、彫刻作品のような素晴らしいコレクションを毎シーズン発表しながら、誰もが買える小さなハートのついたTシャツも用意しているよね。見習うべきところがたくさんある。ただ、あの川久保玲さんでさえ、この世界で半世紀以上活動して今のポジションを築いた。私たちにもまだまだ時間がかかると思う。それでも、先日のパリでのショーには500人以上の若者を無料で招待して、フロントロウに座ってもらったの。通常はごく限られた人々にしか許されない排他的な空間へのアクセスを、同じコミュニティの若者たちに提供できたことを誇りに思っている。微力でも、こうした取り組みはどんどん拡大していきたい。

デヴィッド・ボウイが示した、万人に届く異端
──ファッションの歴史では、反体制的な表現が商業的なトレンドとなり、単なるイメージとして消費された例が多くあります。ブランドのメッセージをどのように守っていきますか?
スティーブン:僕たちは消費されたいし、商業化されることも大歓迎だよ。「商業的であること」を再定義したいんだ。ハンナや僕のように社会で拒絶され、発言力のない弱い立場にあり、困難を強いられてきた人々を、影響力のある存在として社会に認識させることを目指している。商業的な領域にそのメッセージを持ち込むことで、多くの人々が受容できる閾値を広げ、僕たちの生き方や美のあり方を知ってほしいんだ。現実として、商業的なものにはやはりパワーがあるから。僕たちが守りたい価値を損なわない範囲で、メッセージを消費させて広めたい。
──具体的には何を守ろうとしているのでしょうか?
スティーブン:表現の自由、コミュニティ、愛、寛容さ。それらの価値がトレンドの渦の中で摩耗して、使い捨てられないように守らなくてはいけない。ただ、刹那的なトレンドがある一方で、メガトレンドというべきものも存在する。数十年あるいは数世紀にわたって機能し、人々が進むべき方向性を示す大きな流れだね。僕たちが目指すのはまさにそのメガトレンドを生み出すこと。自分たちのクリエイションとヴィジョンが、社会の多くの人々がその一部になりたいと望み、価値を認めるものになることを願っている。


──マイノリティに市民権をもたらそうとしている?
スティーブン:繁華街を歩くと、マクドナルドみたいなものも含めて多くのブランドが並んでいる。マティエ フェカルのようなブランドがそこに存在することが重要なんだ。オルタナティブな生き方や美のあり方を社会に認めさせるにはね。例えば、デヴィッド・ボウイ(David Bowie)はメイクをし、ドレスを着てハイヒールを履いた男性だったけど、彼の音楽は全ての人に届き、そのメッセージは万人のためのものだった。そして、それはもれなく商業的だった。彼はその世代で最もレコードを売り上げたアーティストの一人だったわけだから。僕たちも、まだ理解してもらえていないコミュニティにまで出向き、メッセージの力を制限しないことが重要なんだ。そして多くの場合、それは商業的なマスマーケットなんだよ。魂を失うことなく、その領域での成功を掴み取らないといけないんだ。
終わりゆくラグジュアリーの夢、映し鏡のファッション
──お二人のメンターであるリック・オウエンス(Rick Owens)は、まさに独立性を守りながら商業的な成功を達成したデザイナーの一人ですよね。どのような影響を受けましたか?
スティーブン:メンターというよりも、パリで出会った最初の友人だと言いたい。ニューヨーク・タイムズで僕たちに関する記事を読んだらしく、メールをくれて会うことになったんだ。すぐに打ち解けて、最も親しい友人の一人になった。彼のパートナーのミシェル・ラミー(Michele Lamy)も同様にね。彼らとの友情は、この活動を続けるための大きな後押しになった。彼は、「モンクレール(MONCLER)」のような巨大な企業と協業しながらいかに自分に忠実であり続けるか、どのように30年以上ブランドの独立性を保ってきたか、その術を教えてくれた。アドバイスの一つは、「ホバリングすること」だった。つまり、ヘリコプターのように巡回しながら全体を見守るということ。

2026年秋冬コレクションのショーにモデルとして出演したミシェル・ラミー
Image by: ©Launchmetrics Spotlight
ハンナ:常に自分の目で細部まで注意を払い、管理するということね。リックはコントロールフリークで、私たちも完璧主義者だから共感できる。
スティーブン:彼は今も可能な限りアトリエで過ごし、創作プロセスの中に身を置いて、ブランドを構築するあらゆる局面に自ら関わっている。それは僕たちがすでに行っていたことだけど、キャリアの頂点にいるリックが今もそれを実践していると聞いたことで、その重要性を理解できたよ。
──これからのファッション業界において、最も根本的に変わるべきものは何だと思いますか?
ハンナ:もっと自由を持つことかな。あまりにも一つの枠組みに囚われていて、その枠の外に出ることが難しいように見える。自由であり、その自由を守り続けるために闘うこと。周囲の雑音に耳を貸さずに、自分のやっていることをやり続けることが重要だと思う。
スティーブン:今最も求められていることは、有色人種が敬意を持って扱われ、見せかけの多様性ではなく真に活躍できる環境だと思う。有色人種のデザイナーとして、また社会の最底辺からラグジュアリーの世界までを実際に経験した人間として、一面的ではない多様な声を取り入れるためにやるべきことが山ほどあると感じている。そして、その変化はきっと内側から始まる。僕たちの前回のショーでは、99人の有色人種モデルを起用したんだ。彼らが自分自身を力強く、美しく、価値ある存在として認識できるよう後押ししたい。そのメッセージが社会に伝わり、前向きな影響を生むことを願うよ。

──差し迫った社会問題として、パリで起きている抗議活動についてはどう思われますか?
ハンナ:フランス全土で学校が老朽化し、このままでは教育そのものが崩壊してしまう。数学の授業がなくなってしまったとか、校内がネズミだらけだとか、冬は暖房がつかない教室で防寒着を着ているとか、そういった話を友人たちからもよく聞いていた。だから、学生たちが自分たちの権利のために闘い始めたことを嬉しく思う。時に暴力的になってしまうのはもちろん悲しいことだけど、学生たちに抗議を続けなくてはならない理由があるのは事実なの。
スティーブン:抗議活動が、虐げられている世界中の人々に勇気を与え、それぞれの社会で起きている不正義に立ち向かうきっかけになるといい。今は非常に極端な時代で、もしも革命が起きていなければ逆に恐ろしいくらい。ヨーロッパ中に広がる抗議活動は、自由の反映なんだ。現状に同意しない人々の自由がまだ存在していることの証。彼らを救い得る権力との間で対話が行われ、より良い変化が生まれることを願っている。
──世界的な不況の中で、ファッション業界やラグジュアリーファッションに対する人々の態度の変化を感じることはありますか?
スティーブン:もう誰もブランド物を買っていないよね、それに尽きると思う。「メゾンのハンドバッグを買えば、全ての問題が解決する」といった、分かりやすいラグジュアリーブランドの夢を、誰も信じなくなった。今の人々が求めている贅沢は、家族と食事をして、仕事に行き、学校に行って学び、ただ平和に生活をすることなんだ。それは残念ながら、今や贅沢なんだよ。そういう現実を踏まえてラグジュアリーな世界も変革するべきで、そこには外の世界をよく理解している人々がもっと関与するべきだと思う。僕たちはその両方の視点を持っているからこそ、ラグジュアリーファッションの内側と外側を自由に行き来する役割があると思うんだ。

ハンナ:ただ、暴動で起きている略奪のような敵意を向けられると、私は少し恐怖を感じる。暴徒が小さな商店に押し入るのを見ると本当に悲しい。その人たちはただ生計を立てるためにビジネスをしていて、暴利をむさぼる悪質な企業ではないのに。人々がとても怒っていて、国や世界に現状を知らしめたいがために破壊行為に及んでいるという事情は理解するけどね。
スティーブン:暴動の件でもう一つ重要なことは、超高級ブランドで働いているスタッフは、生活のために働いている同じ人間だということ。物事はそれほど白黒はっきりしているわけではないんだ。分断ではなく、団結する方法を見出す必要がある。2026年秋冬では世界人口の1%の超富裕層に、2027年春夏では残りの99%の中でも最下層に生きる弱者に、それぞれ対極にある人々にフォーカスしたコレクションを作った。これは僕たち二人の正反対の生い立ちを反映したもの。ハンナはカナダで最も裕福な地域で、僕は最も貧しい地域で育った。けれど、僕たちは互いに愛し合う方法を見つけ、人生経験が全く異なる中でも繋がりを作る方法を見出したんだ。僕たちの関係が、分断を埋める対話のヒントになれば嬉しい。
ハンナ:結局のところ、私たちは皆人間だということ。立場や生い立ちが違っても、共存していかなければならないと思う。

2026年秋冬コレクション

2027年春夏コレクション
──つまり、マティエ フェカルはまさしく今の社会情勢から生まれたものだということですね。
スティーブン:その通り。未来の人々が現在のファッションを振り返るとき、この時代に生きることが何を意味したのかを読み取れないのではないかと思うことがある。しかし、僕たちのコレクションを見れば、50年後の人々は当時の社会がどのような情勢であったかを正しく理解できるはず。僕たちが目指しているのは、今僕たちが生きている世界そのものをデザインに反映すること。そしてそれこそが、優れたファッションが果たす役割だと思う。デザイナーやメディア、インフルエンサー、モデルなど業界に携わる全ての人々が、「世界で今起きていることから創造する」という意識を持ってほしい。なぜなら、今この瞬間こそがデザインを通じて表現すべき時代だからね。
最終更新日:
ADVERTISING
PAST ARTICLES
【インタビュー・対談】の過去記事
RELATED ARTICLE
関連記事
RANKING TOP 10
アクセスランキング

カシオが「Gショック」初号機の機能美を継承したアナログ時計を発売 初搭載機能も






















