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【インタビュー】洗えるレザートートからドローン専用バッグまで 土屋鞄出身者が手掛ける「オブジェクツアイオー」がニッチな製品を開発する理由

―顧客層はITの方が多いと仰っていましたが、男性が多いですか?

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角森:最初は男性が多かったんですけど、最近は小物類を充実させているので女性も増えてきて、いまは半々くらいです。

沼田:それこそ、白い「ウォッシャブルレザートート」は女性の方がむしろ多いかもしれないですね。

ウォッシャブルレザートート

ウォッシャブルレザートート

Imaged by FASHIONSNAP

―家庭用洗濯機にそのまま入れて洗っていいんですか?

角森:はい。できればひっくり返して入れていただいて。

―革は洗ってもこのままの品質が保持される?

角森:多少、革が伸縮したりシワのよれみたいなのは出てきますが、大きく変色したりということはないですね。

―ウォッシャブルレザートートは西武渋谷店にオープンしたそごう・西武のOMO店舗「チューズベース シブヤ」でも見かけました。ブランドとしても百貨店初出店ですよね。

沼田:これまでも百貨店から出店のお声がけを頂く機会はありましたが、他の場所で販売すると顧客の声が聞けないということで、自分たちのチャネルで売ることに徹していました。チューズベースに関しては立ち上がりから少し手伝っていたこともあり、その流れで商品も置いていただくことになりました。チューズベースのようなビジネスモデルはアメリカで見てきたのですが日本では前例のない取り組みになるので、自分たちも協力できると良いなと。

―オープンしてからの反響は?

沼田:想定していたよりも売れていると聞いています。低価格商品を増やしているっていうのもあるんですけど。

―今後もそういったリアルの場に出て販路を広げるといった構想はありますか?

角森:そこまではあまり考えてないですね。やはり顧客の声を重視したいので。

沼田:現在のブランドスタッフも5〜6人程度で、人数的にもそんなに規模が大きいわけでもないですし。製品開発に集中したいというのもあります。

―顧客の声が製品づくりの要になっているんですね。

角森:初期からずっと大切にしています。ショールームの来店予約をされたお客様には今でも私や沼田が接客することがありますし。お客様のワークスタイルや生活スタイルを聞いて、それを参考にしながら製品に落とし込んでいます。

オブジェクツアイオー ショールーム

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沼田:先程のドローンのバッグのように、製品開発自体も特定の人が抱える課題の解決を目指した物が多いんですよ。

角森:そういったニッチな商品を私たちは「外れ値」と呼んでいます(笑)。ただ我々としては単純にそういう製品づくりに取り組むのが面白いというのもあるし、新しい発見が得られると長期的に使える製品開発のアイデアにもつながったりもします。

―ブランドの規模が大きくなっても続けていきたい?

角森:やりたいと思っています。今ならウーバーイーツの配達員の方が持つバッグとか作りたいですね。そのために私、ウーバーの配達員の登録しましたから(笑)。

―それはすごい熱量です(笑)。

本革はサステナブルか?

―生産面で土屋氏から支援を得ているという話がありましたが、出資は受けているのでしょうか?

沼田:出資等は特には受けていないです。

―ブランドの年商はいまどのくらいの規模ですか?

沼田:具体的な数字は非公開ですが、年々成長を続けられている状況です。

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コロナ禍で生活様式が大きく変わりましたが、ブランドへの影響は?

沼田:製品の動きよりも、いま本当に困っているのは素材の調達ですね。革は中国やインドネシアなど海外から仕入れることも結構あるのですが、素材自体が原料不足だったり、工場がロックダウンで休業してしまったり。

―原皮価格も上がっている?

角森:種類によりますね。原皮の高騰に関しては、幸いにも我々はそんなに影響を受けてはいないですが、今後は読めない部分があります。

―環境に負荷をかけないものづくりを目指す動きが世界的に広まっています。エコレザーなど代替素材を使う構想はありますか?

沼田:まだ我々は基本的に牛革しか使ってないんですけど、牛革の加工の過程でサステナブルな製法で生産するECCO Leatherと取引したりしています。本革以外の新しい選択肢を模索しているところなんですけど、やっぱり色々と難しいですよね。代替レザーを謳っていても、実際はあまり環境に良くないこともありますし。

角森:サボテンから作られたレザーも試作品として製品開発に使っていますが、やや硬めの質感であり、接着などもしにくいため、我々の製品開発の上では課題も色々ありまして。

サボテンから生まれたレザー

サボテンから生まれたレザー

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沼田:牛革と同水準の耐久性を追求すると難しいんですよね。環境にやさしい素材であっても、パソコンの重さに耐えられなくてちぎれちゃうと良くないですし。環境負荷に配慮しながら耐久性を担保できるように、バランスを上手く取って行きたいなと思っています。来年にはそういった素材を使った製品を出せるように進めています。

―「本革は食肉の副産物なのでサステナブルだ」という見方もありますが、それについてはどのような意見を持っていますか?

角森:どういう視点で見るか、だと思うんですよ。耐久性があるという意味ではたしかにサステナブルかもしれませんが、畜産業がもたらす環境へのインパクトにつながる部分もあります。自分たちなりに良いところと悪いところをバランスをとって見ながら、素材についてリサーチを重ね、完璧とは言えないかもしれませんが、その時々で最善と思える選択ができればと考えています。

沼田:長く使えることも「良いもの」と言えると私は思っています。仮にうちの商品で一部壊れたとしてもその部分だけ補修すれば引き続き使えますし。とは言え、新しい選択肢については中長期で考えていかなきゃいけないですよね。

新素材が生まれる皮革産業でイノベーションを

―現在のブランドの目標は?

沼田:デバイスと掛け合わせた製品が多かったですが、自分たちのものづくり自体に、特に素材からイノベーションを持ち込んでいきたいですね。

角森:この革もすごい面白い素材だなと思っていて。持つとすごく軽いんですよ。

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―本当ですね。1反が片手で軽々と持ててしまう。

沼田:これもECCO Leatherのもので、開発力がすごいんですよね。他にもいろんな変わり種があるんですよ。この透明なレザーとかも珍しくないですか? 新しい素材がどんどん出てくるので、サステナブルなものと、こういったちょっと面白い素材も合わせて色々探しています。

透明なレザー

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本の表紙が透けて見えるデザインに。

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―皮革産業も新しい取り組みに挑戦する企業が増えているんですね。

角森:洗濯できる革もこれまではあり得なかったですからね。その代わりに、今までにない課題も生まれて大変でした。水に弱い芯材を中に使えなくなっちゃうので、限られた制限のなかでどうやって製品として成立させるのかとか。

沼田:角森がもともと職人だったからこそ、製品化できたというのは結構大きいかもしれないですね。

―これまでにないレザーを使った新作にも期待したいですね。

沼田:ありがとうございます。ただ、コロナの影響でサプライチェーン全体が安定しない状況ではあります。それこそiPhone13のケースも力を入れて開発してきたんですが、いざiPhone13の発売日を迎えても同時に売ることができなかったんです。

―それは悔しいですね。コロナ収束後の消費動向も気になるところでは?

沼田:消費は回復していくと思いますが、前と全く同じ生活に戻るかはわからないですよね。私自身ライフスタイルが変わりましたし、働き方もリモートとミックスしています。なので、新しいライフスタイルに合わせた製品を引き続き作っていきたい気持ちは強いですね。

角森:私もコロナが収束したとしても生活スタイルが完全に元に戻るとは思っていません。その顧客のスタイルがどう変わったのか、我々も観察してより柔軟に対応しながら製品に落とし込んでいきたいですね。

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(聞き手:伊藤真帆)

■オブジェクツアイオー:公式サイト

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