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日本から「普通にかっこいいもの」を作りたい マガジンハウスがウェブ漫画事業に参入し目指すもの

 マガジンハウスが、デジタル漫画領域に新規参入した。同社は、1990年代まで漫画雑誌を刊行していた時期もあったが、現在は「アンアン(anan)」や「ブルータス(BRUTUS)」など各媒体に掲載された漫画作品の単行本化や書籍企画として漫画の出版行っており、漫画媒体は持っていなかった。そんなマガジンハウスの新規事業として、漫画のwebサイト「SHURO(シュロ)」を6月30日に立ち上げた。

 SHUROの編集長を務めるのは、リイド社のウェブ漫画メディア「トーチWeb」を立ち上げた関谷武裕氏。同氏は、当時時代劇漫画を専門的に取り扱っていたリイド社において、20代でありながら自身が発起人となり青年向け漫画媒体を立ち上げた人物。1年ほどの準備期間から約9年間編集長を務めた。

 「マガジンハウスらしく、楽しんでやってください」という言葉だけ上層部からかけられ、事業計画も組織編成もまっさらな状態から一人推し進めてきた関谷氏が、1年半の準備期間を経てたどり着いた「マガジンハウスらしい漫画メディア」のあり方とは、時代に求められる「面白いコンテンツ」とは何か?話は村上隆氏のスーパーフラットにまで及ぶ。

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異世界転生から美容系まで 個性豊かな編集部

最初は関谷さん1人の漫画準備室だったとか。

 今年の4月から漫画編集部になって部員も5人になりましたが、僕が入った1年半前はまだ1人ぼっち。最初はとにかく、漫画家と編集者を集めるところからはじめました。

編集部のメンバー構成を教えてください。

 はじめに、漫画家の川勝くん(川勝徳重)が、「なんでもいいから働きたい」と言ってくれて、フリーランスの編集者として加わってくれました。彼は漫画家であり、戦前〜現代までの漫画の研究者でもあります。連載企画のほかに復刊や海外作品の翻訳企画もやってくれています。彼の持っている知見や漫画家としての経験を身近で聞きながら仕事に活かせるし、転職して半年以上は川勝くんと二人きりで、精神的にも支えられました。最初に声をかけたのは、講談社の「モーニング」や「モーニングツー」編集部でフリー漫画編集者として活動していた柳川さんです。SHUROにも掲載する、サウナ漫画の「サ旅」や「そうです私が美容バカです。」という漫画を担当している編集者で、ギャグ〜恋愛系の漫画まで幅広く企画も得意です。他にも、今年の4月以降に異世界転生モノというか「なろう系」を得意とする編集者や、ピッコマから転職してきた編集者がいます。

経営層からは「マガジンハウスらしく、楽しんでやってください」というオーダーがあったそうですが、「マガジンハウスらしさ」とは何だと思いますか?

 マガジンハウスにはいろいろな側面があって、「アンアン(anan)」と「ポパイ(POPEYE)」「ブルータス(BRUTUS)」でも全然方向性が違いますよね。マガジンハウスの歴史を遡ると、前身の平凡出版や更にその前の凡人社が出版した雑誌「平凡」や「平凡パンチ」は大衆文芸および大衆芸能誌でした。そんな戦後から今に続くマガジンハウスらしさ…って簡単に言うのは難しいけど僕が思うイメージは、「誰もが読んで楽しい、日常からちょっと離れた夢のような世界、 まだ知らない文化や面白い人・物を紹介する」というのがマガジンハウスらしさですかね。そして作ってる人たちも楽しんでいる。それを漫画編集部でも体現していきたいです。

面白さは怖さ、社会が求めるのは「痛み止め」

掲載作品の特徴を教えてください。

 SHUROは、「楽しくて、刺激的で、役に立つ」漫画作品を紹介していきます。「楽しい」はエンタメを追求した恋愛・ヒューマン・アクション・ファンタジー系の作品(南Q太「ボールアンドチェイン」、黄島点心「シュロを切り倒せ」大橋裕之「ジャンプ少年ヒトシ」など)、「刺激的」つまりオリジナリティを追求したオルタナティブ系作品(西村ツチカ「リモートどうぶつ会議」、ぴょんぬりら「ぼうぼう」、大島智子「おかえり ただいま」など)、「役に立つ」は日常に活かせる技術や知識が得られるエッセイ・実用書系の作品(まんきつ「そうです私が美容バカです。」、タナカカツキ「マンガ サ旅」、道草晴子/坂口恭平「生きのびるための事務」、堀道広「金継ぎおじさん」など)、あらゆるタイプの漫画を掲載します。加えて、過去にマガジンハウスから出版している高野文子さんの「棒がいっぽん」、「ラッキー嬢ちゃんのあたらしい仕事」も紹介したり、漫画自体の面白さを紹介する記事も掲載します。異世界転生を含むなろう系作品の掲載は、年明けになりそうですね。

編集部も個性的ですが、作品もオールジャンルなんですね。

 様々なタイプの作品が共存している空間というか環境を作りたいんですよね。漫画は時に日常を癒やし、生活を彩り、認識が一変するような様々な読書体験を与えてくれます。どんな系統のものであれ、その全てが「漫画」なので。例えば僕はどちらかというとオルタナティブ系の作品や実用書系の作品を作ったり読んだりするのが好きで、一方なろう系を嗜好する編集部員は全く毛色の違うものを作っていますが、それでいいんです。各々が好きなものを夢中で作っているということが重要で、どんなタイプの作品であるかは問わない。読者も問わない。SHUROを訪れる全ての人のエンパワーメントと公平性を重視したサイト運営を心がけていきたいと思っています。オールジャンルの作品が並び、世界中の人たちに楽しんでもらえるようにするのが雑誌編集者というか、僕たち編集部員の腕の見せどころでもあるので、そんなSHUROが今後どのようになっていくのか見てもらえたら嬉しいです。

様々な掲載作品に共通して大切にしている軸や「面白さの基準」はありますか

 面白さも色々なタイプがあると思いますが、例えば「オリジナリティのあるもの」は面白いと考えています。じゃあオリジナリティって一体なんなのって話になりますよね。それは独自性なんだけど…突き詰めて考えると独自性というのは他者が簡単に理解できるものではない「怖い」ものだと思うんです。どんなに仲が良くても、他人のことを全て理解しきることはできませんよね。それってよく考えたらちょっと怖くないですか?  同じものを見て、同じことを感じているようで、完璧にシンクロすることはできない。でも、それでも同じように感じている気がする瞬間があったりするのが最高に嬉しくて楽しいわけじゃないですか。その瞬間が訪れる作品を僕は「面白い」と感じます。「怖さ」の中にある親近感みたいな。怖いだけだと居心地悪くて拒絶したくなるし、逆に身近に感じすぎると物足りなく思うかもしれない。作品を読むことは作者と読者がコミュニケーションしているようなところがあると思うんですが、オリジナリティを伝えるコミュニケーション技術もあるということは重要な基準というか前提になるかもしれません。

「怖いもの見たさ」のような好奇心を煽る「怖さ」ですね。

 僕が思うに「怖い」の中には、「cool、冷たい」や「dope、ヤバい」が含まれていて。一方で、身近に感じるものは「エンターテインメント」だと思うんです。「エンターテインメント」の語源を調べたことがあるんですが、ストレンジャーをもてなすことといった意味だったように記憶しています。エンターテインメントは僕の中では日本語に訳すと「おもてなし」。クールとかドープがエンターテインメントと同居している、なにやら緊張感があってスリルがありそうな状態ですが、それがオリジナリティであり、僕にとっての面白さの一つなのかなと思っています。もちろん他の編集部員にもそれぞれ考える面白さがあるし、「楽しい」も、「役に立って嬉しい」もあるので、「オリジナリティ」の話は一例です。

漫画事業がビジネスである以上、顧客の需要を満たす必要もあると思いますが、今社会が求めているものって何だと思いますか?

 いきなりめっちゃ難しい質問ですね。社会のどこの誰を想定するかで回答が違ってくるような気がしますが、前に言ったように漫画は時に日常を癒やし、生活を彩り、認識が一変するような様々な読書体験を与えてくれます。そして僕たちは「楽しくて、刺激的で、役に立つ」漫画を、世界中の読者と共有することを目的にSHUROをはじめました。日常に癒やしを求めている人は、もしかしたらとてつもない”痛み”を抱えているかもしれない。まず痛みを止めないと何もできないから、「痛み止め」として機能する漫画が求められているかもしれなし、エッセイや実用書のような作品から他者の技術や経験を学ぶことで生きやすくなりたいと思っている人もいますよね。個人的に求めているものはアカデミー賞の作品賞を非英語作品で初めて獲得した「パラサイト 半地下の家族」や、今年のアカデミー賞作品賞を獲得したA24製作の「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」のような、自国の社会状況を批評的かつクールに描きつつもめちゃくちゃエンタメしてて商業的にも成功したものが最高ですね。

 例えばそれこそ社会が求めていると言ってもいいほど世界中で人気が高まった韓国ドラマを仕事のリサーチも含めて片っ端から見てハマったり、「コミックシーモア」という電子書店があって他の電子書店と同様に好調に売上を伸ばしてるんですが、そこの「少女・女性」カテゴリのランキングに入ってる作品もリサーチで読んでたらめちゃくちゃ面白くて…シーモアの売上ランキング上位にランクインするのは、紙で売れている作品や漫画賞を受賞した作品と全く違う作品が並んでいてとても興味深いです。スマホで誰にも気づかれずに読めるからなのか、人間の様々な欲望がむき出しになったようなタイトルがならんでいて刺激的です。契約結婚、不倫、浮気、略奪、復讐、溺愛、悪役令嬢モノなどなど。電子で気軽に楽しんで、刺激的な快感を得えられる漫画が求められているということかもしれません。面白い漫画は読者を夢中にさせることができます。夢中でいる間は日常で抱えているストレスや痛みすらも忘れられるのかもしれません。それは癒やしとも言えるし、一時的ではあるかもしれないけど読者を救う「痛み止め」とも言えるかもしれない。そういった漫画も作っていきたいと思っています。

日本の特異性を起点に「普通にかっこいいもの」を作りたい

続いてSHUROのサイトについて。大きな絵が目を引くサイトデザインですね。

 日本のウェブ漫画のサイトって、細かくグリッドで分かれていて沢山の作品画像が小さく並んでて、一つ一つがどんな絵なのかよくわからないし、情報量がめちゃくちゃ多い印象で、僕なんかはどこにフォーカスしていいか分かりづらくて、あまり好きじゃないんですよね。だからSHUROは一つ一つの作品を大きく表示しています。それとちょっと真面目な話になりますが「連綿と続く日本美術史の延長に位置している"漫画"についてもう1回しっかり考え直してみようじゃないか」と思っていて、そのためにも漫画の「絵」と改めて向かい合う必要があるんじゃないか?というのもTOPの絵を大きく表示した理由です。SHUROは漫画作品の掲載の他にも、漫画自体の面白さを紹介する記事や、作品や作家を紹介するテキストも掲載するんですが、そこではこの絵がなぜ魅力的なのかを僕たちなりに紹介したり、その作家が何に影響を受けてそういったスタイルになったのかなども伝えていきます。それとwebサイトに加えて、SNSでも漫画の絵を発信していきたい。漫画って、どうしても今はTwitterを中心に発信されていますが、グラフィックやヴィジュアルとしての魅力はInstagramでも伝えられるんじゃないかと考えています。やってみないとどうなるか分かりませんが、「絵」の魅力を言語化したり、グラフィックとしてのカッコよさを改めてプレゼンテーションするような漫画媒体って今のところ無さそうなので、そこはSHUROの特徴の一つになるかもしませんね。

 サイトのUIは、スムーズで快適に読めるのは大前提ですが、作品の世界観にあわせてロゴやサイトの背景の色が変えられるような設定になっていて、作品への没入感を高められるような工夫をしていたり、いかにスマホで見やすいかを追求したりしています。webのエンジニアとアートディレクションは「せんとくん」というあだ名で呼ばれる人物(Yota shiraishi)が兼任していて、SHUROのロゴも彼の仕事なんですが、このロゴはChatGPTと一緒にプログラムを書いて作ってくれたジェネレーターで作られたもので、無限のロゴパターンを生成できるようになっています。ボタン一つで新しいロゴデザインが生成されるので、極端なことを言えば毎日ロゴを変更できます。色々と遊びの要素を入れているので楽しんでもらえたら嬉しいですね。

黄色いウェブサイトのデザイン 

Imaged by マガジンハウス

黒いウェブサイトのデザイン

Imaged by マガジンハウス

赤いウェブサイトのデザイン

Imaged by マガジンハウス

ロゴは、カラフルでインパクトがありますね。

 せんとくんと「ロゴ誰にお願いしようか」と話していたら、ある日「ロゴ作ってみました」って持ってきてくれたことがあって。それまで僕は彼ことをwebのエンジニアだと思っていたので、めちゃくちゃビックリしたし嬉しかったんですよね。そのロゴはせんとくんの特徴が活かされた、せんとくんだからこそ生み出されたデザインで感動しました。それがキッカケでアートディレクションまで一人でやってくれることになったという…。このロゴ・システムについても紹介する「ARTWORK」のページも作っていて、ローンチ時には漫画家の新田章さんと宮崎夏次系さんのアートワークも掲載します。今後も漫画家やイラストレーター、グラフィックデザイナーにSHUROに関するアートワークを継続的に依頼して、SHUROにアーカイヴしつつSNSにも発信していく予定です。ロゴをモーショングラフィックで動かしてもらったものがあってもいいし、3Dだったり陶芸作品だったり、アニメーションになってるのもいいですよね。日々の発信が、僕たちが何を良いと思っているのかの表明になると思うので、誰とどんな交流をしていて、何を美しいと思ってるのか知ってもらるようなものにしていきたいし、仕事なんだけど遊びがあって、それが自然と宣伝にもなっているようなことをしていきたいです。

ピンクのロゴ

Imaged by マガジンハウス

ロゴが屋外看板広告に掲出される様子

Imaged by マガジンハウス

立て看板に掲載されたロゴが路上に倒れている様子

Imaged by マガジンハウス

今後やっていきたいコラボなどの取り組みはありますか?

 FASHIONSNAPさんに取材されているからとかではなく本当に思っていることで、ふざけて言うわけでもないんですが、僕がマガジンハウスで作るSHUROを通じてで1番やりたいことは服を作ることなんですよね(笑)。元々、カルチャー誌の編集者か漫画の編集者になりたくて、その時にたまたま募集していたリイド社に拾われて漫画の編集者になったんですが、漫画以外の文化全般への興味は持続していて服も好きです。ちょっと誇大妄想すぎる話に聞こえると思いますが、いま僕は漫画の編集者なので漫画を中心に据えて「日本の特異性」というか、普通にかっこいい日本の表現を再発見して世界中の読者に向けてプレゼンテーションしていこうとしているわけですが、それがもし認めてもらえるようになったとしたら、例えばハイブランドとコラボレーションして服を作ったりする世界線は全然あり得るというか、ジブリ作品だったりジャンプのキャラクター起用されたりしていますからね。今はただの馬鹿げた夢想なんですが、SHUROのプロジェクトの先にそういうヴィジョンもなぜか自然に持っています。

ロゴが刺繍されたキャップを持つ人の手

勢いで作ってしまったというSHUROキャップ

Imaged by FASHIONSNAP

ヒントはヴァージルと村上隆 思い描くウェブ上のリゾート地

今更ですが「SHURO」の意味は?

 さっき話したこととちょっと重複するんですが、連綿と続く日本美術史の延長に位置している「漫画」は、恐らく他のジャンルと同様に、ドメスティックな世界の中で芳醇な発酵文化を形成しつつ、欧米化・脱日本化的な試行錯誤を繰り返しながら、伝統大衆文化の一つとして日常的に親しまれてきました。この「漫画」を中心に据えた架空のリゾート地=行楽地に生えている代表的な植物の一つ、長らく日本に自生していながらもエキゾチックな印象を与え続けている棕櫚(シュロ)の樹の下で、ふと気持ちのいい風を感じているいるシーンを想像してみてください。そこに「SHURO」があります。みたいな。棕櫚というヤシ科の植物があって。多分見たら、「あー」となるやつです。樹皮の部分がたわしになったり、箒になったりする…

学校の校庭とかに生えている植物ですね。

 そうそう。家の軒先や広場、狭い路地、神社、お寺など、どこにでも生えています。どことなく南洋に生えていそうな、リゾート感もある木。諸説あるみたいだけど、昔から日本や中国、ミャンマー辺りに自生している植物らしい。神戸層群から1500万年前のシュロ属の化石が見つかっているとか。1000年前に書かれた枕草子にも、唐風(中国風)の植物として登場していたりと、当時から異国情緒のある木だと思われている不思議で魅力的な植物です。

棕櫚の木の異国情緒に「日本の特異性」を見出している?

 日本の良さみたいなものを漫画を中心に再発見していこうと思った時に参照したものの一つが、村上隆さんの「スーパーフラット」です。もはや当たり前で僕みたいな部外者が改めて言及するのはおこがましいんですが、スーパーフラットって日本から世界に発信されためちゃくちゃエポックメイキングなステイトメントだったと思うんですよね。現代美術において日本美術の立ち位置を「西洋美術史から独立して存在しているエキゾチックな国・日本の特異な文化がコレです」って西洋美術史観のゲームと違うルールを現代美術の手付きでプレゼンテーションして世界に受けいられたみたいなのが僕の雑な認識です。これは彼がアメリカに留学している時に、外から日本を改めて見ることができて考えられたからこそ言語化できたんじゃないかと勝手に想像します。

 そこで、SHUROでは「Made in Jipangu」というコンセプトを打ち立ててみました。「ジパング」って13世紀にマルコ・ポーロがどこかで見聞きした、まだ見ぬ黄金の国として言い伝えて広まったものですよね?見たこともないのに、イメージばかり先行していった架空の国と言ってもいい「黄金の国ジパング」なるものが、マルチバース的世界観でそのまま現在まで存在していたと仮定して、その架空の国「ジパング」をweb上に作ってみようという実験というか演劇です。それがSHUROというマガジンハウスが開発したweb上にある架空の"MANGA"リゾート・サイトなんですが、このマルチバース的世界観から日本(ジパング)を観察してみたら、日本の文化をフラットに改めて見つめることができて、自分たちの特性を認識できるんじゃないかと考えています。

スーパーフラット:アーティスト村上隆氏が2000年に提唱した概念。西洋絵画の歴史が立体感やリアリティの追求を軸に語られるのに対し、日本の浮世絵や漫画、アニメーションは、余白の多い画面の中に輪郭線でモチーフを切り取り、極めて平面的な表現の中で空間や物体を描写する独自の特性を持つことを唱えた。

黄色いウェブサイトにネイビーのロゴ

開発中の画面 右下には「Made in Jipangu」の文字

Imaged by マガジンハウス

村上隆さん以外にも影響を受けたものはありますか?

 入社してからしばらくは、もうひたすらリサーチしていました。それこそマガジンハウスの歴史を調べたり。そのリサーチの過程で特に面白いと思ったのは、ヴァージル・アブロー(Virgil Abloh)ですね。どうやって「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」のクリエイティブディレクターになるまでに至ったのか、「 オフホワイト(Off-White™)」というブランドを立ち上げるにあたって、どういう思考を経ていったのかを本で読んで、影響を受けました。もともと所属していたストリートカルチャーに現代建築と現代美術のアプローチをファッション業界に持ち込んで、フランスのストリートカルチャーとハイブランド、ハイカルチャーを接続していく彼のプレゼンテーションに、読んでてめちゃくちゃ興奮しましたね。彼が「私にとっての弁護士」と語ったマルセル・デュシャン(Marcel Duchamp)についても学んでみたり、楽しい時間でした。韓国ドラマはスピーディーで飽きさせない刺激的な脚本作りと演出、絵的な映えのこだわりが素晴らしいです。NewJeansのアートディレクターのミン・ヒジン(Min Hee-Jin)さんの仕事も好きだし、それこそNewJeansの「Attention」「Hype Boy」「Ditto」の作曲をしている音楽プロデューサー250のアルバム「PPONG」とか大好き。

 でも、やっぱり村上隆さんは衝撃だった。「僕にとってのY2Kはスーパーフラットだったのか!」みたいな(笑)。高校生だった当時はスーパーフラットに全く反応できてなかったんですけど、近年、村上隆さんは「工芸青花」という1000冊しか作られていない会員制の雑誌で現代陶芸のコレクターとして活発に発言していて、それを読んだことをキッカケに興味をもったんですよね。それから数年経って、マガジンハウスで漫画のことを考えていた時に、ヴァージル・アブローの流れから急に直観的にスーパーフラットについて知りたいと思ったという…。

世界と日本に向けて、歴史を踏まえた「今」の日本のカルチャーをプレゼンするんですね

 Yellow Magic Orchestraの「SOLID STATE SURVIVOR」のジャケットがすごく好きなんですが、あの赤い人民服のようなものをまとい、一見どこの国のいつの時代の一体なんなのかよくわからないけど、エキゾチックでクールでドープでありながらも親しみを感じるアートワークというかY.M.O.の活動自体はSHUROにとっての弁護士的存在だと思っていて。時間が経ったときに振り返ると、SHUROもそういった活動になっていたらいいですね。SHUROに一度ぜひ、遊びに来てください。

話をしている男性

関谷武裕

Imaged by FASHIONSNAP

(聞き手:橋本知佳子)

■SHURO
サイトオープン日:2023年6月30日(金)12:00
公式サイト
Instagram

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