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【連載ふくびと】第2話 トーガと古田泰子——スキンヘッドの女子高生、モードを志す

古田泰子

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古田泰子

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【連載ふくびと】第2話 トーガと古田泰子——スキンヘッドの女子高生、モードを志す

古田泰子

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第1話からつづく——

 中学生にしてクラブカルチャーや映画に没頭した古田泰子。ファッションやヘアスタイルへのこだわりも強く、雑誌で見た「ヴィヴィアン・ウエストウッド」に衝撃を受けた。やがて進学先に悩んだ古田は、東京の服飾専門学校をいくつか見学することに。そこで得た刺激と新たな環境に胸をふくらませ、エスモードジャポンへの入学を決意する。——「トーガ(TOGA)」の創業デザイナー古田が半生を振り返る、連載「ふくびと」トーガと古田泰子・第2話。

・訳ありのバイト代で

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 中学校の入学式の前日、姉が髪を切ってくれました。当時流行っていたYMOをまねた左右段違いのテクノカットで、初日から完全に浮いていたと思います。ユーロビートやハウスミュージックなども聴き始めて、姉たちが通うディスコに「私も行ってみたいな」と初めて連れて行ってもらったのも中学生。頑張っておしゃれして、こっそり入れてもらっていました。

 ディスコに通ううちに、だんだんと年上の知り合いもできました。その頃に見ていたのはSusanne Bartsch(スザンヌ・バーチ、ニューヨークのナイトライフにおける女王的存在)とか、ドキュメンタリー映画『パリ、夜は眠らない』。孤独を感じた時には、本や映画にどっぷり浸かることで救われた気がしたものです。

 初めて自分のお金で買った服は「ヴィヴィアン・ウエストウッド(Vivienne Westwood)」。『an・an』にヴィヴィアンのクリノリンのスカートが載っていたのを見て値段を調べると、何十万円もする。さすがに親にはねだれないし、中学生だからバイトもまだできない。それでも内緒で働けるところを見つけ出して、リネン・サプライのアルバイトをしました。従業員の顔ぶれは、外国からの労働者ばかり。病院などのシーツをローラーに載せて、反対側から引っ張るという単純な作業も、初めてのバイトだったので楽しかった。なんとかお金を貯めて名古屋まで行って手に入れたヴィヴィアンは、本当に嬉しくて。そんな私を、親はいつも信じてやらせてくれていたんだと思います。

・床屋に駆け込み坊主頭

 将来はファッションの道へ進もうと、おぼろげに考えていました。なので進路としては、立体裁断を教える被服科がある高校に入りたかった。でも叔母が勤務している学校だったので、なんだか見張られる気がして却下。

 入学したのは普通校ですが、ヤンキー風の派手なチームか、おとなしくて真面目なチーム、2種類しか人種がいないようなところでした。自分はどちらにも属していなかったので、ここでも浮いていたと思います。ある日、森万里子さん(後に世界的な現代美術家となる)のベティちゃんのような髪型に憧れて、髪をベリーショートにしてピンカールパーマをかけました。その時の美容師さんが、私が高校生だと知らなくて「色も変えてみよう」と。その提案を受け入れて、新しい髪型で学校へ。

 すぐに先生に見つかって「パーマや染めた髪は、その部分を切らなきゃいけない校則を知ってるか!」と言われました。その様子を見ていた同級生に「ヤスコ、坊主しかないんじゃない?」と笑われたので、「よ~し、切ってやる!」と帰りに床屋に行って、本当に全部切っちゃった。家に帰ったら、母が私の坊主頭を見てびっくり。学校に駆け込んで「女子の髪は短すぎちゃダメという校則を作ってください」とお願いしに行ったくらい。でも自分でやったことだし、何を言われても負けん気というか「下を向いちゃダメだ」と思っていました。

・「環境を変えたい」

 進学先を選ぶときは一人で上京して、東京モード学園、文化服装学院、エスモードジャポン、と一通り見に行きました。ピンときたのはエスモード。一階がマクロビオティックのレストランだったんです。当時は「マクロビオティックってなんだ?」という感じで「知らないことばっかりで楽しそう!」と。校舎も綺麗だし、先生たちが日本人だけじゃないというところにも惹かれました。「ここにしよう!」。

エスモードジャポン

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 その頃、父親がふらっと現れて「一緒に学校を見に行こう」と言ってくれたのを覚えています。私がファッションの道へ進むことについても、何も言いませんでした。

 ただ、「ファッションを勉強したい」というよりも「環境を変えたい」という気持ちの方が強かったのかもしれません。「服を作る新しい世界、きっと面白い人がたくさんいるんだろうな」と、わくわくする期待を持って上京しました。——第3話につづく

第3話「何を伝えたくて服を作っているのか?」は、8月15日正午に公開します。

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